最近、「クラフトコーラ」にとてもハマっている。
クラフトコーラとは何かというと、「小規模なつくり手による、やや尖ったコーラ」みたいな感じだろうか。コカ・コーラがスーパードライなら、クラフトコーラは地元の素材で作った地ビールのような立ち位置。
広い市場に向けて売っているわけではないので、つくり手のこだわりが強く反映されたおもしろいコーラがたくさんあるのです。
なかでも昨年たくさん飲んだのが、高田馬場にある「伊良コーラ」さん。
おしゃれなカフェのような店舗があって、ここで淹れたてを飲める。
このビニールのパックがかわいい。ソーダ割りでスパイシーなコーラを味わうもよし、ミルク割りにするとチャイのようなまろやかなコーラを楽しめる。
川沿いにお店があるので散歩しながら伊良コーラを飲むのがささやかな楽しみだった。
そして僕のクラフトコーラへの傾倒を決定づけたのはこの「熊本クラフトコーラ」だった。
熊本原産の果物など“地のもの”だけを使ったクラフトコーラで、これがものすごく「パンチがある」のだ。
瓶の底には果肉や果物の皮、その他いろんなスパイスが沈んでいて、ちょっと怪しい。
でもそれを強炭酸で割ると、とても爽やかでキリッとスパイシーな、それでいて深みのあるコーラになる。
もちろんミルク割りでも楽しめる。
仕事をしながら、ちびちびとクラフトコーラを堪能する毎日。
しだいに残り少なくなっていく熊本クラフトコーラの瓶を眺めながら、ふと思いついた。
「自分でもクラフトコーラをつくってみたい」
そしてこうも思った。
さすがにコーラのプロがつくるような本格的なクラフトコーラは無理だろう。それなら素人らしく、コスパと手軽さにこだわった週末クラフトコーラを楽しんでみたい。
そう考えた。
100均でスパイスを買おう
やってきたのは100円ショップ「キャンドゥ」。都内にたくさんある。
いろんな100均があるなか、なぜキャンドゥなのか。
ここには「バニラエッセンス」があるという情報をつかんだからだ。
目当ての棚にいくと、たくさんのスパイスが100円(税別)で売られている。
ナツメグ、シナモン、バジル、パセリ……。
さて、いったいどれかを買うかである。
いくつかのレシピを見てみたところ、よく使われていたのは以下のスパイスだった。
- シナモンスティック
- ナツメグ
- クローブ
- カルダモン
- バニラエッセンス
- レモン
このうちキャンドゥで手に入ったのはシナモン(スティックではない)とナツメグ、レモン汁。
どうやらクローブとカルダモンは100円では手に入らないらしい。
ためしに別のスーパーを覗いてみたところ、たしかにクローブとカルダモンは他のスパイスよりもちょっと高かった(290円くらいした)。
さっそく「困ったなあ」と思っていたが、救世主を発見した。
「ガラムマサラ」である。
ガラムマサラとはカレーに使う万能スパイスで、そのなかにはいろんなスパイスが混ざっているのだ。
原材料:クミン、コリアンダー、クローブ、ブラックペッパー、カルダモン、シナモンとある。
つまりガラムマサラを買えば、クローブとカルダモンも付いてくるのだ。
ただ難点はクミンやコリアンダーなどの「カレー風味」をつくるスパイスも入っていること。
使い方によってはカレーになってしまう危険性もある諸刃の剣なのである。
というわけでクローブ・カルダモン問題をガラムマサラで解決し、さらに砂糖と、
小さなサイズで使いやすそうなバニラエッセンスを購入。
こうしてクラフトコーラをつくるための戦士たちが揃った。
こうやって並べてみると「本当にこれだけ!?」って心配になるが、だいたいこれくらいでできるっぽい。
(ちなみに家にレモンが余ってたので、それを使わせてもらう)
クラフトコーラ作り、スタート
レシピは思ったより簡単そうだった。
- 大きめの鍋に水(400g)を入れ、
- 砂糖(400g)を溶かし、
- レモン1つを輪切りに、もう1つは絞って皮をみじん切りにし、全部入れる
- そこに各種スパイスを適量入れて10分ほど煮込む
- 一晩寝かせたら完成
そんなに難しくない。事故が起きるとすれば「各種スパイスを適量入れて…」の部分だろう。
なんとなく、ガラムマサラが運命を握っている気がする。
まずは大きめの鍋に水を400ml入れて火をつける。
この三温糖の色がコーラの色になるのだろうか。400g入れるとなるとこの袋を1つと半分だ。
けっこうな砂糖の量に、ちょっとびびる。
レモン。1つを輪切りにする。もう1つはレモン汁をしぼり、皮は細切りとみじん切りにした。
レモンを全部入れて、ここでナツメグを小さじ1/2投入。
わかりやすく瓶の写真を入れたが、ちゃんとこういうのを使おう。
そして本来ならここにクローブ約4gとカルダモン約3gを入れたいのだが、ガラムマサラというオールインワンパッケージに入ってるので4gと3gなんて計れない。
仕方ないのでこれを約10g入れることにする。
もうここは完全に適当だ。最も大事なところだが、最もどうしていいかわからない。
ガラムマサラ先生の万能さに賭けるしかない。
そんなこんなで煮込んでいくと、
お?
おおおお!?
ちょっとコーラのような香りががしてきた。
スパイシーでツンとして、ちょっと甘い香り。そして遅れてやってくるカレーのような何か。
なんとなくだが、方向性としては間違っていない気がする。
こういう記事は「方向性としては間違っていない」というのが何よりも大事なのだ。
ちょっとずれていてもトータルでコーラの方向に進んでいるなら、「記事としてはなんとか成立するぞ」。経験がそう言っていた。
というわけで10分煮込んだものがこちら。悪くない。
これは誰が見ても「悪くない」と言ってくれるのではないだろうか。
ここにバニラエッセンスを少量垂らし、
シナモンパウダーを入れすぎた。
横着したら、小さじ1をちょっとやらかした。まあこれくらいはいいか。
一晩寝かせたら完成、100均クラフトコーラの味は!?
そしてこちらが一晩寝かせたもの。
いい意味で、禍々しさが出ている。
寝かす前とは雰囲気が違う。強いやつの「気」を感じる。
ポットに移し、さっそく飲んでみよう。
氷を入れたグラスに、恐る恐るこれくらい注ぐ。
そしてウィルキンソンの強炭酸で割ったら、
おや?
コーラじゃん。
そこそこおいしいクラフトコーラじゃん!
自分でもちょっとびっくりしたんですけど、普通に美味いです。
ピリッとスパイス感がありながらも、それなりに甘みがあって、でもレモンの酸味がうまくバランスを取っていて、なんというか「ちゃんとコーラをやっている」感じ。
えー。ちょっとすごいじゃん。
クラフトコーラって作れるんだ。
しかも100均のスパイスで。
正直、「ガラムマサラを入れたせいでカレーができあがってしまった。やっぱりちゃんとしたスパイスを買ってちゃんとしたクラフトコーラを作り直します」という追記部分を後半入れるところまで考えていた。
でもそこそこおいしいクラフトコーラができた。
これは嬉しい。
残ったレモンの皮。これも実においしそう。
コーラにちょい足しすると最高だった。これ瓶に取っておいて、レモンサワーとかにも入れてみたいな。
それ以来、自作のクラフトコーラを持ち歩く日々
「コーラ1号」作戦は成功した。
砂糖2袋、ガラムマサラ、ナツメグ、シナモン、バニラエッセンスの600円(税別)で、500mlボトル1本分の「コーラの原液」ができた。
これで10杯ほどのコーラが飲めるので、1杯あたり60円ちょっと。
悪くない。
コスパも悪くない。
僕は自分で作ったコーラを持ち歩く男となった。
リュックのなかには常にコーラの原液を入れて、お茶を飲むようにコーラを飲む。
例えばコンビニで。
氷入りのカップを買う。
ここにコーラ1号を少量注ぐ。
そしてウィルキンソンの強炭酸を静かに注ぐ。
鳩がめっちゃ見てくる。
自作のクラフトコーラを飲みながら散歩するのもいいものだ。
とてもおいしい。
(完)
ちなみにコンビニで氷入りカップとウィルキンソンの強炭酸を買うと+250円くらいかかる。「コカ・コーラのほうが安い」というのは覚えておきたい。
参考にしたクラフトコーラのレシピ
紹介したクラフトコーラのお店
著者プロフィール
narumi(@narumi)
コンビニ飯を愛するグルメライター。趣味はPodcast配信。noteでは手頃で美味しいお店について書くことが多い。西武線沿線で育った生粋の西武ライオンズファン。
Podcast:ドングリFM
Twitter:@narumi
Source: ぐるなび みんなのごはん
100均に売ってるスパイスの小瓶で「クラフトコーラ」をつくってみた。