米粉というものがある。お米を粉にしたものだけれど、米粉の中にもいくつかの種類が存在する。小麦から作る小麦粉にいろいろな種類があるように、米粉にもいろいろあり、それぞれで味や食感が異なる。
米粉を大きく分けると、「上新粉」「白玉粉」「だんご粉」「もち粉」の4つになる。それぞれで使われるお米が違ったり、製法が違ったりする。今回は米粉4つをお米から自ら製粉して、白玉にして食感などを比べたいと思う。
米粉の種類
昔はパンを作るとなると小麦粉だったけれど、近年は米粉パンなどもよく聞くようになった。小麦粉よりもダマになりにくく、うどんやビザ、ドーナツなどでも、小麦粉の代わりに使うことができる。
米粉と言ってもそのなかにいろいろな種類が存在する。先にも書いたように、「上新粉」「白玉粉」「だんご粉」「もち粉」があるのだ。全てはお米から作られた粉ではあるけれど、使われるお米などが異なる。つまり、料理に使った時の味も異なるわけだ。
同じメーカーの「上新粉」「白玉粉」「だんご粉」を手に入れた。もち粉はなかったけれど、この3つだけでも、同じ米粉というカテゴリーなのに、粉の質感が違うことがわかる。ザラザラだったり、ゴロゴロだったり、サラサラだったりする。
今回はこの4つを私が自らの手で作りたいと思う。もっともお米は買う。お米を育てるところからやると、田んぼを買わなければならないので、お米を粉にするところから始める。ちょうど私にはよめっこさんがいるのだ。彼女は製粉できるのだ。
上新粉を作る
まずは上新粉を作る。上新粉の原材料は「うるち米」である。お米はざっくり分けると「うるち米」と「もち米」になる。うるち米は普段我々が炊飯器で炊いて食べるお米だ。コシヒカリとか、ササニシキとかがうるち米にカテゴライズされる。
見た目もうるち米ともち米は異なる。うるち米は透明度があり、もち米はそれがない。専門的なことを言えば、お米はでんぷんなのだけれど、そのでんぷんには、アミロースとアミロペクチンの2種類があり、もち米にはアミロースが含まれない。
アミロースの有無が粘り気を決める。アミロースが少なければ粘り気が出て、アミロースが多いと粘りがなくなる。うるち米はアミロースがあるので粘り気が少なく、お餅を作るという意味ではうるち米は向かないことになる。
ただうるち米でお餅ができないか、と言えば違う。たとえば、五平餅などはうるち米で作られる。また「ういろう」や「かるかん」、「ちまき」などには上新粉が使われる。
ちなみに粉にする前に、うるち米を洗い乾かしている。さらにちなみに今回は上新粉と一括りにしているけれど、上新粉にも新粉や並新粉などの目の荒さにより種類を分けることができる。
もち粉を作る
次は「もち粉」を作る。ある意味「上新粉」の逆が「もち粉」になる。つまり「もち米」で作るのだ。粉にする前にもち米を洗い乾かしておく必要はある。今回はもち米に「こがねもち」を使っている。
もち米はお餅だけが用途ではなく、おこわやお赤飯などでも使われる。またうるち米に「コシヒカリ」や「あきたこまち」などの品種があるように、もち米にも「ヒデコモチ」や「峰の雪もち」、「はくちょうもち」などがある。
うるち米100%が「上新粉」で、もち米100%が「もち粉」ということになる。粉は上新粉と比べるとキメが細かい。用途としては求肥などに使われる。ただ目の前にこれだけをポンと置かれたら、何粉なのかはわからないと思う。
白玉粉を作る
次は白玉粉だ。原材料はもち米。もち米100%で作るのが白玉粉だ。でも、それだともち粉と一緒じゃないの? と思うかもしれない。しかし、製法が異なる。ただ粉砕すればいいだけではないのだ。
上新粉にしろ、もち粉にしろ、乾燥した状態で粉にしたけれど、白玉粉は水をたらふく含んだ状態でよめっこさんに入れる。あと別によめっこさんである必要はない。うちにあったのがよめっこさんで、別の粉にできる機械ならなんでもいい。私は独身で名前に惹かれて買ったのだ。
水を含んだもち米にさらに水を入れてから粉にする。できあがったものは豆乳のような、白の中の白。そして、驚くことにこれではまだ完成ではない。ここからなのだ。
本来は石うすで水びき、沈殿したものを乾燥させるのだけれど、それを自宅版に改良したのがこの方法だ。このような方法で作るから同じ米粉なのに、白玉粉だけ粒が大きいわけだ。なかなかに時間がかかったので、白玉粉は買うに限るとは思った。
だんご粉を作る
最後は「だんご粉」。流れからするとうるち米を水びきして沈殿したものを、という気がするけれど、そうではない。うるち米50%、もち米50%を粉にしたものが「だんご粉」になる。
用途しては名前からもわかるように「だんご」。白玉粉と同じと考えていい。食感が異なる感じだ。白玉粉より硬めの団子になる。うるち米の影響だ。白玉粉を使うか、だんご粉を使うかは好みの問題になると思う。
白玉を作る
適材適所という言葉があるけれど、それぞれの粉の特徴が知りたいので、同じ料理を作る。今回作った4つの粉で白玉を作るわけだ。どのような違いが出るのだろうか。
白玉粉による白玉が群を抜いてツルツルしている。とてもツルツルなのだ。食べてみても柔らかく、腰があるか、と言われるとないけれど、フワフワで美味しい。白玉粉を作るのには時間がかかったが、結果的にはよいものになった。
白玉粉が一番柔らかく、もち粉、だんご粉、上新粉と続く。柔らかさはもち米の量に比例するようだ。ただ柔らかければいいわけではない。上新粉の硬さも腰のある白玉を求めるならばあり。さらにだ、上新粉の白玉にカレー粉をふりかけると最高に美味しかった。
ういろうのように硬さも必要ならば、やはり上新粉だし、柔らかさを必要とする白玉なら白玉粉。同じ米粉でもやはり違うのだ。今回のでそれぞれの粉の原材料と特徴が分かった。ちなみに買った粉だと、自分で作るより、どれも全体的に柔らかくなります。もっときめ細かく粉にできるんだろうね。
米粉の世界は広い
柔らかさが違うので、異なる食感となった。甘みももち米に比例すると思う。ただあんこをかければ、どれも甘いからね。カレー粉かければ、どれもカレー味だしね。そして、私の舌ではどれも美味しかったしね。ただ米粉を作るのは楽しかった。
著者プロフィール
地主恵亮
1985年福岡生まれ。基本的には運だけで生きているが取材日はだいたい雨になる。2014年より東京農業大学非常勤講師。著書に「妄想彼女」(鉄人社)、「インスタントリア充」(扶桑社)がある。
Twitter:@hitorimono
Source: ぐるなび みんなのごはん
何が違うの? 「上新粉」「白玉粉」「だんご粉」「もち粉」を自分で作る