こんにちは。データライブラリ編集部です。本編集部では、ぐるなびのデータサービス「ぐるなびデータライブラリ」のデータを元に、トレンド予想やメニューの分析を行っております。
緊急事態宣言が解除されましたが、海外で現地の最新グルメを楽しめる日はまだ少し先になりそうです。そんな状況もあってか、海外に行けない状況でも、海外のご当地グルメを日本に居ながらにして楽しもうという流れも出始めています。ぐるなびでも、2021年春のトレンドとして「バーチャル旅メシ」に注目しています。
特に身近で行きやすい国である台湾や韓国は、グルメをはじめとしたカルチャーが盛り上がっていたこともあり、コロナ禍の今でもSNSを中心に最新のグルメ情報がどんどん発信されていますね。
”ネクストタピオカ”が多すぎた問題
台湾グルメといえば、2~3年ほど前に大ブームとなったタピオカを最初に思い浮かべる人も多いかと思います。タピオカブームをきっかけに、その他の台湾グルメにも注目が集まるようになりました。そのため、ここ数年はタピオカの次に流行する”ネクストタピオカ”と謳われる台湾グルメが次々登場しましたが、結局タピオカほどのブームになったメニューは現時点では出てきていないのが実際のところです…。そこで今回は、”ネクストタピオカ”を夢見ている台湾グルメをおさらいし、データ観点で整理してみようと思います!
- ”ネクストタピオカ”が多すぎた問題
- タピオカというレジェンドグルメ…検索は94倍!
- データでも“台湾”は伸びている!
- ぐるなびが注目している台湾グルメ
- 鹹豆漿に炸鶏排…注目メニューはまだまだある
- 多様化する台湾グルメ…現地で本場の味を楽しめる日を夢見て
- 過去に取り上げた台湾グルメ記事の一部を紹介します
タピオカというレジェンドグルメ…検索は94倍!
ではまず、タピオカが実際どれだけすごかったのかをデータで見てみましょう。
2017年後半頃から見かける機会が増えていたタピオカ店、タピオカブームの時期は諸説ありますが、本記事では2018年~2019年と定義します。
下のグラフは、ぐるなびで算出している検索指数(※1)と取扱指数(※2)のデータです。
※1:検索指数→特定期間に検索100,000回あたり何回検索されたかという指標:どれくらい検索されているか
※2:取扱指数→特定時点で1,000店舗あたり何店舗存在するかという指標:どれくらい飲食店で取り扱われているか
まずは赤い線で示している、検索指数の伸び率に注目です! 2018年からのデータを見てみると、データ最小値である2018年1月と、データのピークである2019年7月の指数では、なんと94倍にも増加しています!
2019年後半からは下降を始めていますが、もはやあえて検索しなくてもよいほど定着し始めていると捉えることもできます。
緑色の線で伸び率を示している取扱指数は、2020年6月にピークを迎え、増加率でいうと検索指数ほどのインパクトはないものの、3倍というメニューの増加数で考えるとものすごい数値を叩き出しています!
取扱指数のピークは、検索指数より遅めのタイミングとなりますが、この現象はトレンドグルメによく見られる波形です。取扱指数より検索指数が先に上昇をはじめ、知名度が上がりメニュー名が定着して、あまり検索がされなくなり検索指数が下がり始めたころ、店舗での取扱は上昇を続け、双方のグラフが流行ピーク頃のタイミングでクロスしています。
- 人気が出始めメニューの内容やお店を調べるため検索が増える
- 人気を受け徐々にお店での取扱も増える
- 取扱指数が検索指数を超える
- 急増ののち、定番メニューとして高い位置で安定する
- 改めて調べられる機会も減り低い位置で安定する
データで見ても、タピオカがすごいブームだったのかということが改めてわかりますね!
データでも“台湾”は伸びている!
ネクストタピオカについて調べる前に、タピオカ人気は台湾自体の人気と因果関係があるのか、あるいは台湾人気とは関係のないスイーツブームだったのかを確認しておきたいので、まず台湾についてのいろいろなデータを振り返ってみます!
台湾への出国者数は10年で2倍に!
手はじめに、日本から台湾への出国者数をチェックしておきましょう!
※出国者数引用元:JTB総合研究所 アウトバンド日本人海外旅行動向 日本人出国者数統計
台湾への日本人出国者数は、2009年から上昇し続けていて、2019年には初めて年間200万人を突破し、10年間で約2倍に増えています。
この出国者数の上昇がちょうどタピオカブームと重なっているのも興味深い現象です。台湾への旅行をきっかけに現地で飲んだタピオカを日本でも飲みたくなる、日本に出店している台湾人気店のタピオカにハマり台湾へ行ってみたくなった、というような相乗効果もあるとも考えられ、タピオカブームと訪台者数の多少の因果関係が推測できます。
新型コロナウィルスの流行がなかったら、2020年には記録更新し250万人に到達していたかもしれませんね。
検索は6倍に増加!ブームから定番になろうとしている
次に、台湾関連メニューのデータについて見てみましょう。
「台湾」を含むワードの検索指数と、メニュー名に「台湾」を含むメニューの取扱指数のグラフです。
多少の浮き沈みはあるものの、取扱指数・検索指数ともに2017年から上昇し続けています。それぞれの指数の最小値と最大値を比較すると、検索指数は6倍、取扱指数は1.7倍に伸びています。タピオカほどの爆発的な増加はないものの、緩やかな上昇で着実に指数を増やし、トレンドから定番となっていきそうなことがデータから推測できます。
新グルメが続々登場!“台湾”メニューランキング
では、上記のデータに該当するメニューでは、どんなものが人気なのでしょうか。メニュー名に「台湾」を含む取扱指数のランキングを見てみましょう。
「定番メニュー」は2021年2月の取扱指数の多いメニュー、「上昇メニュー」は2020年2月と比較して昨対比で上昇率の多いメニューになります。
「定番」「上昇」とも麺類メニューが目立っています。赤い印をつけたメニューは、定番メニューにはランクインしていないメニュー、つまりこの1年で取扱が増えたメニューとなります。餃子やカレーなどメニューが多様化していたり、また台湾の菜食主義料理である「台湾素食」というマニアックなメニュー名が入っているのも興味深く、台湾の様々な食文化が日本へ入ってきていることがうかがえます。また名古屋では、有名な台湾ラーメン店「味仙」の影響をはじめとして、台湾○○とつくメニューが多いのですが、ここでも「台湾ラーメン」「台湾まぜそば」などの名古屋系台湾メニューがランクインしています。
ぐるなびが注目している台湾グルメ
前置きの関連データでのおさらいが長くなってしまいましたが、いよいよ本題に入ろうと思います!過去のタピオカブームや、台湾人気を踏まえ、今後どんな台湾グルメが流行るのでしょうか。
「ぐるなびデータライブラリ」では、過去に流行したメニューのデータを多角的に分析し、そのデータと似たような傾向を見せているメニューを検出するという独自のデータ解析ロジックを利用して、今後流行する可能性があるメニューを毎月5つ選出、「トレンド予報」として掲載しています。トレンド予報に掲載している=ぐるなび所有データでの裏付けは取れている、ということになりますので、ぐるなびおすすめのメニューということになります!
毎月様々なジャンルのグルメを掲載していますが、ここ数年、台湾グルメの登場頻度は少なくありません!そこで、トレンド予報の中で台湾グルメに該当するメニューをピックアップしましたので、データ増加傾向がみられるメニューについては、2019年1月~2021年1月の取扱指数データも一緒にご紹介します。
そしてここではデータと合わせて、筆者の知人である、過去20回以上の訪台経験を持つ台湾通のyoshi_aiza氏と彼の中国語教室のクラスメイトという、台湾愛溢れる台湾名人たちのリアルなコメントも合わせてご紹介します!
台湾カステラ
台湾の淡水地域の名物で、日本のカステラに似た巨大なスポンジケーキです。現地では「シェンカォウダンゴウ」と呼ばれていて、カステラとシフォンケーキの中間のようなふわふわでぷるぷるの食感が特徴です。
現地の専門店では、大きな天板で焼き上げ、焼き立てのものを大きめに切り分けて販売されています。台湾カステラを日本風にアレンジした東京の専門店がテレビで取り上げられたり、2021年3月には淡水の老舗が銀座にオープンするなど、注目が高まってきています。
韓国では数年前にブームとなり、台湾カステラというワードは、映画『パラサイト』にも登場しました。
データとして初めて指数に現れたのは2019年11月。その後一旦消えるものの、2020年夏頃から急上昇を見せ、2021年1月には最大値に。伸び率は10倍にもなりました。
台湾名人からひとこと
「柔らかいぷるっぷるのカステラ」(yoshi_aiza)
「SNSとかで良く見る、インスタ映えする台湾スイーツ」(30代女性クラスメイト)
芋圓(ユーユェン)
タロイモやさつまいもが原料の、台湾の伝統的な芋団子で、白玉にも似たモチモチとした食感が特徴です。台湾ではほぼ全土で食べられていますが、九份の芋圓が有名です。タピオカや小豆、仙草ゼリーや豆花など、店舗ごとにトッピングのバリエーションが豊富な点も魅力で、東京には専門店もあります。
2019年1月にわずかに指数が出ているものの、その後2019年内は取り扱いがなくなってしまいますが、2020年より上昇傾向となり、結果的に2年間で3.5倍もの増加となります。
台湾名人からひとこと
「単体でも美味しいし、豆花のトッピングでも美味しい。台湾伝統的なスイーツで、台湾の観光名所である九份の芋圓のお店は長蛇の列をなす有名店。特にタロ芋の芋圓は食感もモチモチしてて、タピオカにも通ずるものがある」(yoshi_aiza)
仙草ゼリー
乾燥した仙草を少量の水で煮詰め、その煮汁を固めてゼリー状にしたもの。原料の仙草はシソ科の植物で中国では生薬としても利用されています。
漢方のような独特な苦みがあるので、コーヒーフレッシュやシロップで甘みを足して食べるのが一般的です。
台湾では定番のスイーツですが、日本ではタピオカブームの影響で仙草ゼリーにも注目が集まっていて、タピオカ店で提供している店舗もあることから、ミルクティーに入れて飲むスタイルも人気となっています。
タピオカ店で提供されていることが多いせいか数値のピークは過ぎているものの、結果的に2年間で1.2倍の増加となっています。
台湾名人からひとこと
「味自体も他の台湾スイーツと違って、シンプルな感じかな」(yoshi_aiza)
「台湾に馴染みが無いと想像しにくいのでは。健康的なスイーツだけど、コーヒーフレッシュをかけるお店も多い」(30代男性クラスメイト)
豆花(トウファ)
豆乳をゼリー状に固めた台湾伝統のスイーツで、「トウファ」と読みます。シロップは温かいものや冷たいもの、トッピングはタピオカ、豆、野菜、フルーツなどバラエティに富んでおり、様々な味を楽しむことができます。
仙草ゼリーのデータ波形と似ていますが、結果的に2年間で2倍の増加となっています。トレンド予報で取り上げたのは、実はタピオカが少し流行り始めた2017年7月なのですが、タピオカブームのタイミングもあって、今でも高い指数となっています。
台湾名人からひとこと
「たしかに”豆花”のお店は増えてきている気がする」(yoshi_aiza)
台湾茶
凍頂烏龍茶などに代表される台湾産のお茶の総称で、現地では工夫茶と呼ばれる中国茶器を使った飲み方が伝統的です。
日本ではタピオカブームの流れで台湾茶自体にも注目が集まっていて、台湾茶専門店の新規開店が目立っています。
果物を入れたフルーツティーや、泡状のチーズを表面に浮かべたチーズティ―、オーギョーチを入れたものなど、フォトジェニックでカジュアルにアレンジされたものが人気です。
2019年から増加を続け、2020年に一度落ち込んでいるものの回復をし、結果的に2年間で約1.8倍に増加、現在がピーク値となっています。
台湾名人からひとこと
「阿里山のお茶や東方美人茶とか有名で美味しいんだけど、中国茶の一種って感じで、中国茶との差別化は難しいかも」(yoshi_aiza)
蛋餅(ダンピン)
卵を主材料としたクレープと卵焼きの中間のような料理で、台湾では朝ごはんの定番として親しまれています。
ネギの入ったもちもちとした生地に、ハムやチーズなどの好きな具材を入れ、醤油ベースのタレにつけて食べるのが一般的です。
台湾では朝ごはんも外食することが多く、鹹豆漿(シェントウジャン)などと並ぶ人気の料理。 東京では台湾料理専門店などで提供されていますが、家庭でも簡単に作ることができることから、今後注目のメニューです。
台湾名人からひとこと
「台湾THE定番朝ごはん! 個人的には、鹹豆漿との相性良し」(yoshi_aiza)
油条(イウティアウ)
中華風の揚げパンのことで、中国や香港、台湾などで食べられています。
細長くきつね色の形状で、油で揚げられていて、外側はサクッとした軽い食感で、中はモチっとしている不思議な食感も特徴です。朝食としてお粥や豆乳と一緒に食べたり、点心や飲茶とあわせて食べたりもします。
日本での知名度はまだ低いですが、輸入食材店や業務用スーパーなどで販売されていたり、東京の台湾朝食の専門店でも食べることができます。
台湾名人からひとこと
「これも朝ごはんで鹹豆漿とのセットというイメージ」(yoshi_aiza)
麺線(ミェンシェン)
そうめんのような細い麺を、かつおだしの効いたとろみのあるスープで煮込んだ台湾料理で、具材にはモツや牡蠣などが入っていて、薬味としてパクチーをトッピングして食べます。
台湾には麺線専門店や屋台が多くあり、地元で愛されているメジャーなファーストフードです。日本での知名度はまだ低いですが、東京には専門店があったり、輸入食材店などではインスタントが販売されています。
台湾名人からひとこと
「台湾の夜市でかきこんで食べる麺線の美味しさたるや…。東京でも台湾フェス系でもよく見るし、新橋の東京麺線など、麺線と店の名前についている専門店もちらほらあり、よく台湾通の友達と行きます」(yoshi_aiza)
「二日酔いに効きそう」(30代男性)
鹹豆漿に炸鶏排…注目メニューはまだまだある
ここからは、「トレンド予報」では基準を満たすデータに達していないものの、取扱指数の伸び率が高かったり、台湾名人からも注目されているメニューを紹介します。
鹹豆漿(シェントゥジャン)
台湾の定番朝ご飯のひとつで、しょっぱい豆乳のスープのようなものです。「鹹」は=塩辛い、「豆漿」は豆乳を意味します。干しエビ、ザーサイ、パクチー、油条、ネギなどの具材が入っていて、醤油・ラー油・酢などで味付けをします。
朝ご飯にぴったりの優しい味わいと、主材料が豆乳でヘルシーという点でも注目されています。日本でも台湾料理店などで提供しているお店が増えてきています。
2020年2月に数値が出現し、その後急上昇をして約1年間で4倍にも増加しています。
台湾名人からひとこと
「台湾の定番朝ごはんで、胃にも優しいスープ。五反田の東京豆漿生活は台湾通からの評価も高くて、行列ができる名店」(yoshi_aiza)
炸鶏排(ザージーパイ)
台湾のフライドチキンのことで、日本では「台湾唐揚げ」と表現されることもあります。鶏むね肉を大きな1枚のまま、五香粉などの台湾系スパイスで味つけして揚げるのが特徴です。
台湾では屋台などで売られていて、気軽に食べることのできる食べ歩きフードで、日本では浅草や渋谷に専門店があり、すでにSNSでも話題になり始めています。
「炸鶏排」「ザージーパイ」ではまだデータがなかったのですが、「ジーパイ」「台湾唐揚げ」では指数が発生していて、台湾唐揚げの8.3倍もすごいのですが、ジーパイについては1年強でなんと驚異の21倍増加という数字をたたき出しています!
台湾名人からひとこと
「最近SNSでもよく見る気がする。浅草の安心やの唐揚げは台湾人も認める美味しさだとか」(yoshi_aiza)
「ジーパイに1票です。渋谷と浅草の店は繁盛してて、インスタ女子にも人気です。台湾人からの評価も上々で、もうちょいお店増えてきても全然不思議じゃないかなあと」(30代男性クラスメイト)
多様化する台湾グルメ…現地で本場の味を楽しめる日を夢見て
ご紹介した台湾グルメのデータをまとめると、こんな感じになります。炸鶏排と鹹豆漿がやや優勢というところでしょうか。
1位:炸鶏排(ザージーパイ)
2位:台湾カステラ
3位:鹹豆漿(シェントゥジャン)
※2019年1月~2021年1月の伸び率を比較(2019年1月の数値が0の場合最初に数値が発生したタイミングと比較)
1位:炸鶏排(ザージーパイ)
2位:麺線
3位:鹹豆漿(シェントゥジャン)
※回答人数やコメントの長さから熱量をジャッジ
タピオカブームの流れを直接に受けたスイーツ系やドリンク系メニューから、ご飯系メニューまで、幅広いジャンルで台湾グルメが注目を受けていることがデータからもわかりますね!
タピオカブームの流れから、スイーツ系がメインになると思いきや、朝ごはん系をはじめ、台湾の食トレンドが広いジャンルに渡って日本へ発信されているようです。
ぐるなびのデータで独自に分析した結果、今回のようなチョイスになりましたが、ここで紹介されていない台湾の超最新グルメが、今こうしている間にも発信されているかもしれませんね!
以前のように気軽に台湾に行ける日々はまだ少し先かもしれませんが、幸いにも日本には、台湾の味を楽しめるお店がたくさんあります。いつか現地で本場の味を楽しめる日を夢見ながら、SNSなどで情報収集をしつつ、それまでは日本で台湾グルメを楽しんでみてはいかがでしょうか!
過去に取り上げた台湾グルメ記事の一部を紹介します
Source: ぐるなび みんなのごはん
鹹豆漿に炸鶏排…? “ネクストタピオカ”の座を争う台湾グルメ10選をデータで整理してみた