あの“リトルグルメ”の数々はどう生まれたか? マンガ『OH!MYコンブ』誕生と復活のワケを作者に聞いた

グルメまとめ

いまから30年前、伝説的なグルメマンガがあった。

 

『OH!MYコンブ』である。

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©かみやたかひろ・秋元康/講談社

月刊誌「コミックボンボン」で連載していたこの作品、作画はかみやたかひろ、そして企画・監修は秋元康が手掛けた。

料理好きの少年・なべやきコンブが毎回、子ども向けの駄菓子やおやつを使って「リトルグルメ」なる奇抜なメニューを作り出すというストーリーに、全子供が夢中になった。

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©かみやたかひろ・秋元康/講談社

「ハイぬ~ぼ~キャラメル」「五目ヌードルずし」「チョコボールホットミルク」「おっとっとごはん」「バナナキャラメルパン」「チョコフレーク納豆」……。

どれも魅力的なメニュー名。

当時は誰もが一度は真似をして、想定外の美味しさに感動したり、あるいはやや微妙な表情になったりしたものだ。

 

そんな名作に今年大きな動きがあった。

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©かみやたかひろ・秋元康/講談社

 

なんと、突然の復活。

 

しかも連載の場を週刊モーニングに移し、大人向けに『OH!MYコンブ ミドル』としてリニューアルした。

 

コンブはいま40歳になり、当時の読者もだいたいアラフォーになった。

作中のリトルグルメはコンビニ商品を組み合わせたお酒のおつまみなどに進化している。

 

そんないろいろと衝撃の料理マンガをいまも描き続けるかみやたかひろ先生ご本人に、初期OH!MYコンブの連載秘話や、今回の復活にかけた想いについて聞いた。

 

秋元康さんが会議で「オーマイ、コンブ!」と言った瞬間にタイトル決定

 

――もともとOH!MYコンブの連載はどんな経緯ではじまったんですか。

 

かみや先生:30年以上も前なのであやふやなのですが、コミックボンボンの方から、「秋元康さんとマンガを書きませんか?」というお話をいただいたことが始まりです。

秋元さんの事務所に向かい、そこで初めて、「お菓子を使った子ども向けの料理マンガを始めたい」と聞きました。

その場ではお菓子を使うということ以外、あまり細かい設定などは話し合わなかった気がしますが、秋元さんが「なんか決めゼリフがあったらいいなー」と言い出して、次々といろんな言葉をみんなで言い合っていました。

そしたら秋元さんが突然、「オーマイ、コンブ!」と言ったんです。その瞬間、僕はすごく気に入り、即座に「それがいいです!」と答えたことをいまでも記憶しています。

それがOH!MYコンブの始まりです。

なので「オーマイコンブ」という言葉、マンガのタイトルは、秋元さんと会ったその日に生まれたんです。

 

――秋元さんとはどんな役割分担だったんですか。

 

かみや先生:秋元さんは自分で「マンガは素人だからあまり口は出しません」と言ってくださっていて、マンガ作りそのものや細かい設定にはあまり関わっていません。できあがった作品に対して総合的な意見をいただいていたと思います。

なので自分も編集者の方もマンガ作りはしやすかったです。

 

編集部にお菓子を買い込み、「地獄の実験室」と呼ばれる

 

――ところで、あの奇抜なリトルグルメはどのように考えていたんですか。

かみや先生:コンブのはじめの頃のリトルグルメのレシピは「地獄の実験室」と呼ばれていました。ボンボン編集部内にお菓子や食べ物を大量に買い込んで、自分と編集の方で、とにかく思いつくまま組み合わせていました。もちろんヤバい味もたくさんできたわけで…。

一応、合格かなと思うものを他の編集の方にも食べていただいて、10人中最低4~5人においしいと言っていただいたらOKといったノリでした。はっきり言って、10人中10人がおいしいというものを考えるのは難しいです。

はじめの頃はそれで乗り切っていたのですが、途中から料理を考えてくださる方に加わっていただきました。

といっても料理のプロというわけではなく、ただの料理好きの方です。でも逆に素人だから「えーっ!」というとんでもないリトルグルメも生まれたのかなと思います。

――やっぱり試行錯誤してたんですね…。特に印象に残っているものは?

かみや先生:思い出のレシピとしては、やはり1巻に登場したものは強く印象に残っています。お菓子でつくった「ハイぬ~ぼ~キャラメル」や「パチパチカール」「ハムの茶巾風小枝つつみ」「スティックバナナ」などは思い出深いです。

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©かみやたかひろ・秋元康/講談社
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©かみやたかひろ・秋元康/講談社

かみや先生:まあおいしいもの同士を組み合わせているので、単純においしいのです。

 

読者からのハガキがなければネタ切れでもっと早く終わっていた

 

――当時の読者、子どもたちからの人気はすごかったですよね。

 

かみや先生:とにかく読者のみなさんのハガキに助けられました。何千、何万という料理のレシピがハガキで送られてきて感激でした。

読むだけで本当に一苦労でしたが、ものすごくニコニコして読ませてもらっていたと思います。

なので本当に心から思うのですが、OH!MYコンブは自分と秋元さんと編集者の方、そして読者のみなさんがつくったマンガです。

読者の方の力がなければ料理のネタ切れでもっと早く終わっていたかもしれません(笑)。

いまこの場を借りて、あらためてお礼が言いたいです。

「あの頃、ハガキを送ってくれたみんな、ありがとう!!」

 

ミドル世代になったコンブ、最初はもっと“暗い人生”を考えていたが…

 

――今回の復活で40歳のコンブが登場。どんな反響がありました?

 

かみや先生:いろいろな意見や反響をいただきました。

読んでましたー!なつかしいー!という声が多く、ありがたいです。「30年間忘れないでいてくれたんだ…」という思いです。

初回についてはいろいろと悩みました。

バラしちゃいますが、1度目のネームではコンブはもっと暗かったんですよね。いろんなことがありまして。

でもやっぱりコンブは基本ギャグじゃないと、ということで明るいコンブになりました。

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©かみやたかひろ・秋元康/講談社

かみや先生:読者のみなさんはどうでしょうか。大人になって性格の違ったシリアスなコンブが見たかったですかね? 機会があったら逆に聞いてみたいです。

――子ども向け作品のその後を「中年」として描く難しさもあったのでは。

かみや先生:やはり30年以上前の作品ですから、コンブを読んでくださっていた方もけっこういろいろ忘れていると思うんです。

自分ですら読み返してみて「あ、そっか!忘れてた…」ということがいくつもありました。

だから読者の方みんな、すべてを忘れているという前提で書かねばと思っています。なので昔のキャラクターの姿やシーンなどはこれからも入れていくつもりです。

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懐かしい登場人物たちが「ミドル」に登場するかも?

©かみやたかひろ・秋元康/講談社

かみや先生:中年時代といえば…きっとマンガ家の生活って普通の人とズレている部分がある気がするんです。勝手に決めつけちゃってすみません、他の先生は違うからもしれませんが…。

だから自分中心に書いちゃうと読者のみなさんと少し違う中年像になってしまう気がしていて、そこが自分では一番むずかしいですね。

 

「料理のアイデアがあったら送ってください、まじで…!」

 

――昔からの読者であるアラフォー世代、これからファンになる若い世代、それぞれにメッセージをお願いします。

かみや先生:上の世代の方には……「懐かしんでください!」とお伝えしたいです。

お菓子のリトルグルメなどはお子様と一緒に作られたら、きっといまでも楽しいですよ。

若い世代の方には……「昔こんな変な料理マンガがあったんです!」ですね。よかったら電子書籍または古本屋で探して読んでみてください。

どちらの世代にも楽しんでもらえるように、基本は笑って、たまに感動できるマンガになればと思っています。

あと最後にひとつ。

モーニング誌上では募集していないですが、料理のアイデアがあったらモーニングまで送ってください!まじで…!

またみんなでオーマイコンブをつくっていきましょう。

 

連載が続くように、大人になったみんなでリトルグルメを送ろう

 

OH!MYコンブは読者のみなさんがつくったマンガですーー。

 

かみや先生のこの言葉にちょっと感動してしまいました。マンガを読んでいた人、リトルグルメをつくってみた人、レシピ考えて送った人、みんなでコンブを支えていたんですね。

そしていまもアイデアは募集しているようです。

というか、わりと切実に募集している気がしました。

グルメ好きな「みんなのごはん」読者のみなさん、自慢のオリジナルレシピを考えてみてはどうでしょうか。

なお、旧シリーズはKindleで全巻買えますし、新シリーズの「ミドル」はモーニングで月イチ連載中。作品もぜひどうぞ。

※ちなみにこちらの公式アカウントで今後「大人のリトルグルメ」を募集していく予定だそうです!チェックしておきましょう。

著者プロフィール

narumi(@narumi)

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旧コンブ世代のライター。趣味はPodcast配信。noteでは手頃で美味しいお店について書くことが多い。西武線沿線で育った生粋の西武ライオンズファン。

Podcast:ドングリFM

note:Atsuyoshi Narumi|note

Twitter:@narumi

Source: ぐるなび みんなのごはん
あの“リトルグルメ”の数々はどう生まれたか? マンガ『OH!MYコンブ』誕生と復活のワケを作者に聞いた

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