一匹のアニマルに戻るべく、街の焼肉屋で巨大ハンバーグを食べてきた話【フミコフミオのサラリーマン御祝膳問答第8回】

グルメまとめ

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「社内調整は私に任せて、大船に乗った気分で、この案件に全力を尽くしてほしい」と会社上層部に言われた。やっと認められた、と感慨深かった。だが、大船沈没。上司の言葉を信じた自分がバカでした。ポイントオブノーリターンな地点まで進めたあと、当該上司が社内調整をしていないことが判明し、さらに、会議の席で「私も聞いていませんでした」などと手のひら返しをキメられ、その結果「相談もなく話をすすめて組織を乱す者」扱いされたのである。

もし、事業の展望が暗黒地獄で、数字をあげられる見込みも将来性もないものであったなら、会社内での立場的に僕は死んでいただろう。今回も生き残った。とはいえ、一度はアホを信用してしまった怒り、悲しみ、嘆きは消えない。そういう自分を許せないという気持ちが、肉に向かっていくのは僕にとって必然のものであった。肉を食べることで野性を取り戻して、不届き者の上司に噛みつくアニマルになる。それが、ただの想像の世界であったとしても。そうやって自分に折り合いをつけて進んでいくのは、社会人として生きていくうえでは必要な能力であろう。

だが、野性を取り戻す肉とは何だろう。決して高級な肉ではない。そりゃ高いお金を払って食べる高級な肉を食せば野性を取り戻せるかもしれない。だが、「高い金を払っているのだから、美味しいのは当たり前じゃないか?」という当然と、サラリーマンの限られた財布から高級肉を食した場合、次の給料日(あるいは小遣い支給日)が近づくにつれひもじい気持ちが強くなっていき、その結果、退職届を叩きつける気概が失われていってしまう悲哀が、僕を高い肉から遠ざけた。

どういったお店で肉を食べるかも、サラリーマン視点で考えた場合、とても重要だ。チェーン店と個人店がある。チェーン店のステーキやハンバーグは、昨今、とても美味しい。大外れもない。だが、チェーンのお店でお肉を食べると、どうしても決められたメニュー(ルール)、組織(システム)という会社を連想する要素が頭に浮かんでしまう。会社から離れられない。ランチタイムくらいは、会社を忘れて、一匹のアニマルに戻りたい。会社から精神的に解放された肉を思う存分に喰らいたい。それも安価で!それが偽らざる気持ちであった。

 

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サラリーマンの魂の叫びにしたがって僕が目をつけたのが、昼間から営業している町の焼肉屋さんである。肉のプロであると同時にそれぞれのお店が工夫して圧倒的ボリュームとコスパを出している。というわけで今回は、茅ヶ崎で営業しているときに見かけた、いい感じな町の焼肉屋さん「赤とんがらし」さんでランチである。

 

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▲ザ・焼肉屋の象徴。神々しい。全盛期の岩下志麻さまのような後光が。

お店を訪れた日は、平日であったが、開店直後にあっという間に席が埋まってしまうほどの知る人ぞ知るお店であった。事前チェックでボリュームランチとジャンボハンバーグとの間で揺れ動いていたが、僕の前にいたお客さんが全員ジャンボハンバーグをオーダーしていたので、流れに乗って僕もジャンボハンバーグを頼んだ。しばらく待っていると、ジャンボハンバーグ、どーん。

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▲ジャンボハンバーグ。ほぼほぼ噴煙。

ジャンボハンバーグ、アツアツ。海底火山の噴火レベルの煙。煙にさえぎられて、うまく、写真が撮れなくてさーせん。鉄板熱々のジャンボハンバーグを見ているだけで、時間が経つとともに冷めていった会社上層部への反抗の気持ちが再加熱されていくようである。

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▲高さは3センチくらいあったぞ…。岩下志麻さん全盛期レベルの美しさ。

 

煙の向こう側にあるハンバーグ本体も立派。お店のホームページには300gサイズとあったが、見た目はそれ以上のボリュームがあるように見える。

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▲圧倒的ボリューム。魅惑のビジュアル。この角度からだと岩下志麻さんではなく、アグネス・ラムですね。

 

全体にデミグラスソースがかけられているうえにクリームもかけられている見事なビジュアル。厚さも3センチくらいはあった。この巨大ハンバーグを、ナイフとフォークを使わずに、お箸で食べてみる。すると、昨今流行っている肉汁ブシャータイプのハンバーグではなく、お肉感しっかりタイプであることに気付く。食べ応え満点。

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▲肉肉しいハンバーグで食べごたえあり。

 

粗挽きのお肉でつくられていて、濃いめのソースに負けないぐらい肉の味がしてとても美味しい。お約束としてハンバーグオンライス。

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▲HORをキメた。

 

アラフィフになり胃が小さくなったことを自覚する毎日であるが、赤とんがらしのジャンボハンバーグは美味しく完食できた。お肉感たっぷりのハンバーグを食べることで、長年の会社員生活で失われた野性を取り戻せた(気がする)。同時に会社で戦うスタミナとパワーがついた(気がした)。

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▲美味しくて完食。

 

驚かされるのが食後のアイスコーヒーも加えた、このジャンボハンバーグセットがライス、スープ、キムチがついて税込み1,000円という圧倒的コスパである。このクオリティとサイズのハンバーグが1,000円。はっきりいってチェーン店で同じレベルのものをこの価格では出せないのではないか。街の焼肉屋さんの工夫と気概に感動した僕なのであった。みなさんも街の焼肉屋さんでランチしてみませんか。思わぬ発見があるかもよ。

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▲加山雄三さん。ハンバーグを食べたら「幸せだなぁ」と言いたくなるよね。

 

最後に。上司や同僚がいなくなっても全く問題ないが、街の個人店は暖簾をおろしてしまったら、二度とその味は食べられない。だから、気に入ったお店があったら、積極的に利用するスタンスでよろしく。では。

 

紹介したお店

 

書いた人

f:id:g-gourmedia:20140811094752j:plainフミコフミオ

海辺の町でロックンロールを叫ぶ不惑の会社員です。90年代末からWeb日記で恥を綴り続けて15年、現在の主戦場ははてなブログ。内容はナッシング、更新はおっさんの不整脈並みに不定期。でも、それがロックってもんだろう?一昨年に本も出しました。ピース!

ブログ「Everything you’ve ever Dreamed」:http://delete-all.hatenablog.com/
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Source: ぐるなび みんなのごはん
一匹のアニマルに戻るべく、街の焼肉屋で巨大ハンバーグを食べてきた話【フミコフミオのサラリーマン御祝膳問答第8回】

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