おはぎを主食として食べたら、おいしいを通り越して別の高揚感がやってきた

グルメまとめ

甘いもの以外も別腹のココロ社です。今日はデザート界で異彩を放っている黒くておいしい、おはぎについての話。

 

おはぎ。

 

つくづく不思議な食べ物である。デザートとしていただくことが多いが、食後にいただくにはボリュームが大きい。あんこにくるまれているのは、もち米とはいえ、ごはんである。まるで主食のような存在感。

 

――などと30年ほどの間、おはぎを見かけるたびに思ってきたのだが、先日、スーパーでおはぎとおかずを買って帰宅したとき、疲れ果てていてごはんを準備するのが面倒になり、自然におかずとおはぎを交互に口に運んでいた。食べ終わったあと振りかえって、主食としてのおはぎの可能性を発見し、その可能性を追求したいと思ったのだった。

 

おはぎにもいろいろ種類がある。デザートに特化した、小さくてバリエーションのあるおはぎなどもあるが、今回は主食と呼ぶにふさわしいクラシカルなおはぎをいただきたいので、「甘味おかめ」の有楽町店で購入することにした。

 

クラシカルなおはぎを買って家路へ

11時の開店直後に伺った。1個300円で、店内でいただくことも可能だが、家でおかずたちが寂しがっているので可及的速やかに帰宅せねばならずテイクアウトした。多摩ニュータウンの家に着くころに、ちょうどお昼である。

 

こちらのお店では作りたてを提供してくれるのだが、電車で膝の上に置くとじんわりと温かい。早く食べて~というメッセージを勝手に受け取ってしまうし、とにかく早く食べたい。

 

箱の中で偏ったりしませんように……と、気をつけて家まで運んだのだが、まったく心配無用だった。

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おはぎたちは自らの力で自分を支えていた。

 

ひとまず、おはぎだけをひとついただく。

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小豆のホクホクした餡としっとりとしたもち米の組み合わせがすばらしい。

「柏餅の方が食べやすくていいのでは」などと思っていたこともあったが、餡を中に詰めてしまうと、ふんわりした感じがなくなってしまうので、小豆そのものを味わいたいときな、外側に餡があるというこの形の方が適しているように思う。ひとことでまとめると「おいしい」。

 

以下、あらかじめ準備しておいた、おはぎに合うと思ったおかずたちといっしょにいただいた結果を報告させていただきたい。

 

筑前煮・きんぴらごぼう……そして、おはぎ

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おせち料理は、煮物と甘いものが混じっていて、いっしょにいただくとハッピーな気分になる。同様に筑前煮やきんぴらごぼうとおはぎも相性がよいのではないかと思い、いっしょにいただくことにした。

実際にいただいてみると、別々の方がおいしいかも、という印象。おせち料理に出てくる甘いものは黒豆や栗など、ボリュームがほどほどのものだからバランスがよいが、煮物とおはぎだと、おはぎの存在感だけが印象に残った。

また、小さなプレートの上に載せると、最小のランチみたいな見た目になって楽しい。

 

合鴨のパストラミ……そして、おはぎ

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味が濃いものと合いそうなので、肉はどうだろう、と思って、合鴨のパストラミといっしょにいただいてみた。合鴨のパストラミは好きなのだけど、ごはんといっしょに食べると物足りない感じがするので、おはぎならいいのでは、と思ったのだった。

結果は、スモーキーな香りとジューシーな肉汁とおはぎのもっちりした食感、おはぎの甘さとパストラミの塩辛さのマッチング具合が非常によかった。

 

銀ひらすの西京焼き……そして、おはぎ

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続いて焼き魚との相性もたしかめたい。味が濃いものがよいと思い、銀ひらすの西京焼きといっしょにいただいてみた。

焦げた皮の香ばしさ、脂の乗った身と、おはぎの甘さ、双方のよさがいっそう感じられた。

さきほどおせち料理の話をしたが、この組み合わせはおせち料理をさらにリッチにしたような魅力がある。

 

鶏の唐揚げ……そして、おはぎ

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ジューシーな肉汁と脂、濃い味、衣のクリスピーな食感……鶏もも肉の唐揚げはおはぎとの相性が抜群に違いないと予測していたのだが、予測以上によい組み合わせだった。この組み合わせで食べてから、唐揚げを普通のごはんで食べると少々物足りなくなってしまった。味もすばらしいのだけれど、味覚が広範囲に刺激されるのか、食べたあとにほかの食べ物では得られない、独特な高揚感がある。

 

スパイシーなフライドチキン……そして、おはぎ

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唐揚げがよかったので、スパイシーなフライドチキンなら最高なのでは、と思って追加で購入してきたのだが、それぞれ別にいただいた方がよかった。唐辛子の辛さは、あとからやってくることが多いけれど、おはぎ甘~いおいし~いのあとに突然辛さだけが後味としてやってきて驚いてしまった。

 

おはぎが主食であることが(わたしの脳内で)証明された

やはり仮説通り、わたしにとって、おはぎは主食になった。とくに唐揚げをおかずにしたら、おいしいを通り越して気持ちいいの境地に達した。

どのおかずと食べても、おはぎがよければ、良質の小豆と米の存在感が引き立ってくる。また、当然といえば当然なのだが、おはぎを主食にしたときに、デザートは不要で、食事に十分な満足感が得られた。今後、食が細くなるようなことがあれば、この組み合わせにすればいいと思った。

かくして、わたしの中でおはぎは、ときどき食べるおやつから、パン・ごはん・ナンなどに並ぶ存在へと変化したのだった。

とくに、甘いものと辛いものを合わせて食べるのが好きな人にはおすすめである。

デザートには大きすぎると思っておはぎを敬遠してきた人にも、主食として見直してみると、新しい世界が見えてくるはずである。

 

紹介したお店

 

著者プロフィール

ココロ社
ライター。主著は『マイナス思考法講座』『忍耐力養成ドリル』『モテる小説』。ブログ「ココロ社」も運営中。 

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Source: ぐるなび みんなのごはん
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