いつの頃からか「ハンバーグ激戦区」と呼ばれるようになった東京・渋谷。
それもそのはず、渋谷にはオールドスタイルの洋食店や老舗のカフェはもちろん、ハンバーグ専門店や、焼きたてがいただけるニュータイプのハンバーグ専門店など、新旧さまざまな“ハンバーグスポット”が目白押しなんです!
ナイフを入れるとジュワっと肉汁があふれ出す、アツアツのハンバーグはごはんとの相性も最高(もちろんアルコールとも!)。そこで、いま渋谷で行くべきハンバーグのお店をライターの青山のりこがリポートします。
【もくじ】
- 【1軒目】変化する渋谷を見守り続ける「モガカフェ」の手のこんだ美味しさよ
- 【2軒目】名物「飲めるハンバーグ」の衝撃…!「肉バルSHOUTAIAN 渋谷店」
- 【3軒目】アットホームなのに本格的すぎる「山本のハンバーグ 渋谷食堂」
- 【4軒目】全国にファン多数、レジェンド的な奥渋谷の町洋食「キッチン ハセガワ」
- 【5軒目】またたく間に超行列店に!「挽肉と米」で炭焼と羽釜の美味しさを
では参ります!
【1軒目】変化する渋谷を見守り続ける「モガカフェ」の手のこんだ美味しさよ
東急ハンズの向かい、モンベルショップと仲屋むげん堂の間の坂道を登っていくと、すぐ見えてくるのが、くれたけビル。
こちらの2階にあるのが平成元年(1989年)オープンの「モガカフェ 渋谷」です。
ここにカフェがあるってことを知らないと、なかなかたどり着けない感じですが、店内に入るとあらかた席は埋まっており、聞けばその多くが常連さんとのこと。また、近隣に放送局があることから芸能人のお客様も多いといいます。アボカドを使ったメニューが豊富なこちらでいただくのは、「アボカドテリヤキハンバーグ」。大きめなお皿に、きざみ海苔がトッピングされたテリヤキハンバーグ、そこにゴロっとたっぷりのアボカド、サラダ、ごはんのワンプレートです。
合い挽き肉を使っているというテリヤキハンバーグは、甘辛ダレときざみ海苔が食欲をそそり、ごはんとの相性もバッチリ。さらにアボカドがまろやかさを追加してくれます。
また、葉野菜たっぷりのサラダも、しっかりと水切りがされて丁寧な仕事ぶりが際立ちます。ハンバーグの隣に隠れているポテトサラダ的なものを食べてみると、これが実はとってもクリーミーなマッシュポテト。“ざっくりワンプレート”のように見せかけて(?)、いちいち手がこんでいてすべてが美味しく、「モガカフェ」という店名から連想する、いわゆる“カフェめし”とは一線を画す味わいです。
店長でこちらのメニュー全体を取り仕切る佐々木厚夫さんによると、マッシュポテトは女性客に特に人気。これだけを食べたいという要望もあり、夜のおつまみメニューにはマッシュポテトを使ったメニューもあるとか。また、こちらのメニュー全体については
「この店がオープンしたのは1989年で、まだ今ほど渋谷に飲食店がなかったと聞いています。創業当時、厨房にいたスタッフはみな、フレンチやイタリアン、ホテルのレストランなどの本格的な世界での経験者ばかりで、その人たちが基礎となるものをつくりました。特別なことをしているつもりはないですが、それをしっかり引き継いでいることが、他店とやや異なるところかもしれません。また、当時から洋食などの王道メニューをカジュアルダウンするような感じでメニュー化するようにしていたようです」とのことでした。時代は変わっても、料理に対する本気な精神は受け継がれているよう。
「この店は終日営業で、時間帯によっては提供できないメニューもありますが、基本的にいつ来店されてもハンバーグが売り切れなんてことはないので、気負わずいらしていただきたいです」
1人で読書をしながら、誰かとLINEをしながら、気の置けない友人と語らいながら……。それぞれが自由に気負わず利用できて、しかもしっかり食事ができるカフェ。それはとても貴重な存在です。
【紹介したお店】
※価格はすべて税込価格です
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください
【2軒目】名物「飲めるハンバーグ」の衝撃…!「肉バルSHOUTAIAN 渋谷店」
セルリアンタワー東急ホテルの裏手、ヴィンテージマンションが建ち並ぶオシャレなエリア渋谷区南平台。このエリアに位置するのは、提供する牛肉はすべてA5ランクの和牛、しかもリーズナブルな価格でいただけると人気の「肉バル SHOUTAIAN 渋谷店」。こちらは船橋に本店があるA5ランク黒毛和牛の焼肉店「肉の匠将泰庵」の系列店です。
いただくのは、なめらか&ふわふわな食感で大人気の「飲めるハンバーグ」です。嬉しい衝撃なのは、ハンバーグも和牛100%、A5ランクの牛肉を使っていること。ハンバーグに使う牛肉は自社工場で赤身と脂の割合を決め、なめらかな食感にするために二度挽き。この手間をかけることにより、挽肉がペースト状になり、なめらかで“飲める”ような食感を生んでいます。一般的なハンバーグの挽肉は一度挽きのため、ここが異なる点だそう。
飲めるハンバーグのソースは、おろしポン酢、デミグラス、チーズデミグラス、自家製燻製醤油の温玉のせなどから選ぶことができ、この日は渋谷店発祥の「自家製燻製醤油のチーズのせ」をチョイス。
かくして、シンプルにクレソンが添えられ、まん丸でチーズがのったハンバーグが運ばれてきました。
箸を入れると、肉汁が溢れだし、ほんとにやわらか。飲めるハンバーグの名前のとおり、なめらかな食感で肉の甘みやら旨みやらとチーズが渾然一体となってグイグイ攻めてくるので、勢いがついて飲むように食べてしまうのです。
これだけでも十分ですが、お店のスモーカーで8時間燻製しているという自家製燻製醬油をかけてみるとこれまたより一層ごはんにあってなにしろ美味しい。燻製醬油は味が濃いので、味を見ながら少しずつかけるのがおすすめです。
ランチは飲めるハンバーグ(200g)に前菜、サラダ、スープ、おかわり自由のごはんで1,400円。ちなみにごはんは北海道産「ななつぼし」とのことで、さっぱりめの食べ心地がコクのあるハンバーグにぴったりでした。
ランチタイムはハンバーグのほか、黒毛和牛を低温調理した鉄火丼やユッケ丼、自家製ローストビーフ丼などいずれも1,400円。
飲めるハンバーグは、ランチ・ディナーともに一番人気で、休日は裏通りにあるこちらのお店を目指して来るお客様も多いとのこと。A5ランクの和牛が使われているハンバーグがこのお値段で、しかも渋谷でいただけるのはかなり希少。ハンバーグな気分になったら、裏通りのこちらをぜひ目指してください。
【紹介したお店】
※価格はすべて税込価格です
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください
【3軒目】アットホームなのに本格的すぎる「山本のハンバーグ 渋谷食堂」
渋谷警察署を左手に見ながら進み、はなまるうどんの手前の道を左折するとつきあたりに見えてくるのが「山本のハンバーグ 渋谷食堂」です。2016年3月にこの地に移転して以降、週末は開店の時間帯からずっとお客様が並んでいるという日もあるそうですが、現在は終日営業のため、平日の14時台後半~15時前後は比較的待たずに入れることが多いとのこと。そこでランチタイムの終わりごろにうかがいました。
こちらでいただくのは、一番人気の「山本のハンバーグ」。オーダーを済ませるとまず、「ひとくち自家製野菜ジュース」と、ランチタイム限定でサービスされるというしっかりめなサラダが運ばれてきました。
この日のひとくち自家製野菜ジュースはリンゴやレモン、ホワイトセロリ、ロマネスク、洋ナシとのこと。がっつりハンバーグをいただく前に、ベジファーストがかなうのはうれしい限りです。
ほどなくして、「山本のハンバーグ」がグラグラと煮立ちながら登場。味噌や和風だしを合わせて作ったという特製デミグラスソース、焼きメレンゲがのったハンバーグ、半熟卵や焼き野菜が添えられ、ほっこりアットホームなたたずまい。
アツアツで火がしっかり入った柔らかいハンバーグは、ごはんとの相性がバツグン。さらにチーズがインされているのでスプーンを入れると中からとろりと溶け出してきてテンションは爆上がりです。
ハンバーグ、そしてコクがあって深い味わいの特製デミグラスソースはもちろんのこと、テーブルに置かれている“ごはんのおとも”的存在の自家製食べるラー油のごはんにあうことといったら……! ここでごはんをおかわりして、あえて残しておいた半熟卵と食べるラー油をごはんにオンしていただきます。
お米は新潟産のひとめぼれで、そもそもごはんが美味しい…! それに加えてとにかく白米を美味しく食べさせてくれる工夫がすごくて、つい食べちゃってお腹がはち切れんばかりです。家庭の味を目指しているというハンバーグは、国産牛と国産豚の合い挽き肉で、つなぎもパン粉、卵、牛乳、玉ねぎと一般的ではあるものの、家庭ではなかなか食べられないハンバーグ、というのが正直なところ。「山本のハンバーグ 渋谷食堂」は家庭のぬくもりを感じつつ、本格的なハンバーグがいただけるお店なのでした。
【紹介したお店】
※価格はすべて税込価格です
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください
【4軒目】全国にファン多数、レジェンド的な奥渋谷の町洋食「キッチン ハセガワ」
渋谷駅南口から玉川通りを神泉方面へ。神泉駅からなら歩いてすぐ、オレンジ色の外観と看板が目印の洋食店が「キッチンハセガワ」です。テレビやラジオなどさまざまなメディアで紹介されているハンバーグをはじめ、ポークやチキンを使った洋食メニューが人気で、ランチタイムは常に満席&時間帯によっては行列も必至だとか。
メニューを見るとデミグラスソースを使ったハンバーグのほか、和風おろし、ホットチリなどに加えて、ジンジャーポークステーキや、チキンピカタなど魅力的なメニューが多数ラインアップ。そんな中、一番人気という「海老フライハンバーグ」1,380円をオーダーしました。こちらでは、すべてのメニューにサラダ、スープ、ライス、バジルアイスがつくほか、ライスは値段を変えずに大・中・小から選べます。
ほどなくして、赤大根や水菜、サニーレタス、紫キャベツなど数種類の野菜のサラダ(手作りのドレッシングが美味しい)と玉ねぎ&チーズのスープが。いずれも丁寧に作られていて野菜の美味しさで満たされます。
そして、有頭海老のフライがのったハンバーグが登場。
ナイフを入れると柔らかいハンバーグから肉汁がジュワッっと流れだし、デミグラスソースを絡めていただくと、とにかくごはんが進む美味しさ。
ハンバーグは牛豚の合い挽き肉に牛タンのミンチを加えることで、牛タンならではのコクや脂が感じられるそう。また、フライパンで焼き目を付けてからオーブンでじっくり火を通すことで、ふっくら柔らかな食感に。海老フライは薄めの衣でサクサク、タルタルソースとデミグラスソース両方絡ませるのが合う! そして当然ながらハンバーグも海老フライもごはんにあいます。
そして、デミグラスソースはたっぷりでもしつこさがないので、フライにつけたりごはんにかけたりといくらでも食べられる優しい味。その理由は“どうせ外食するなら健康になって帰らなきゃおかしい”というキッチンハセガワさんの考えのもと、デミグラスソースにもたっぷりの野菜が使われているから。コクがあるのに脂っこさがないその秘密は、玉ねぎやトマトなど一般的な材料のほかに、根菜類を多く使っているところにありそうです。
そして食後には一口サイズのバジルのアイスが。ミルキーなアイスにバジルのほんのり甘くさわやかな風味が絶妙、さっぱりした気分で食べ終えられるのもうれしい。
“街の洋食屋さん”な雰囲気をガンガン醸していますが、遠方からでもわざわざ出かけて行って食べたい味&全種類食べ尽くしたいメニューばかり。ハンバーグは日によっては早めに売り切れてしまうこともあるので、早めの時間帯を狙って行くのがおすすめです。
【紹介したお店】
※価格はすべて税込価格です
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください
【5軒目】またたく間に超行列店に!「挽肉と米」で炭焼と羽釜の美味しさを
道玄坂のほぼ入り口に位置するビルの2階にあるのが、近頃ハンバーグ界の話題をかっさらっていると評判の「挽肉と米 渋谷店」です。前年の吉祥寺店に続き2021年6月オープン、挽きたて・焼きたて・炊きたてがコンセプト、大人気店のこちらでハンバーグをいただくためには、やるべきことがいくつかあります。
まず、朝9時に始まる入店の順番待ちノートに利用したい時間帯を記帳、その日のランチないしディナーの予約をここでします。
無事記帳ができたら、自分の順番が来るころの時間にお店へ。ただし、朝9時からの記帳とはいえ早くから並んでいる人も多く、順番に記帳するため必ずしも希望の時間に予約ができるわけではありません。
無事にその日のいずれかの時間帯に予約ができたら、該当時間にビルの階段で少し待つと入店でき、食券を購入していざ席へ。という流れ。
重厚な木の扉を入り、券売機で食券を購入しますが、基本的なメニューは1種類。
ここでは「挽肉と米」1,500円を選びます。
この1,500円に含まれるのは、90gのハンバーグ3個、炊きたてごはんとお味噌汁。ごはんのおかわりと、生卵1個も無料です。ちなみに「おかわり肉」(ハンバーグ1個)は400円。
席について食券を渡すと、ハンバーグの個数を聞かれるので迷わず3個でお願い(数を少なくすることも可能です)。
ハンバーグは焼き上がりまで約15分、常に焼きたてが提供されるシステム。
カウンターごしに、炭火でハンバーグがコロコロと焼かれるところや、
大きな羽釜からホカホカのごはんがよそわれるのを見ながら待っていると、
ほどなくして、炊きたてごはんとお味噌汁が運ばれてきて、
いよいよ1個目のハンバーグが目の前に!
最初のひと口は何もつけずに、というアドバイスにしたがい、焼きたてハンバーグをなにもつけずにひと口。柔らかいけれどがっつりした肉感、炭火の香ばしさ、ほんのりとした甘み、そしてアツアツ。
テーブルに備えつけられている調味料(食べる醤油のほか、唐辛子ベースの香辛料や香味野菜がベースのもの、柑橘系のものなど)で味変しながら食べ進め、あっという間に1個目のハンバーグと1杯目のごはんが終了。
そして2個目とごはん2杯目。2個目では鬼おろしとポン酢、自家製の甘辛な挽肉味噌をすすめられるので、その通りにごはんといただきます。鬼おろしの大根とポン酢のさっぱり感やら、ごはんにめちゃ合う甘辛味噌の誘惑に勝てるはずもなく2個目と2杯目終了!
そして3個目と3杯目。ここでいよいよ1個無料の生卵の出番。ホカホカごはんに生卵をオン、その上にハンバーグをのっけて、食べる醤油や甘辛味噌ダレものせて超豪華なTKGが完成。卵かけごはん、家でも食べる機会は多いものの、ここまでイカしたコは初めてです。ハンバーグ3個目、ごはん3杯目で“そろそろお腹もキツいな”っていうのに食べるのをやめられない破壊力をお持ちでした。
こちらのハンバーグは、牛肉100%。仕入れた牛肉は店舗で赤身と脂の割合を決めて挽いていて、そこに卵や牛乳、玉ねぎなど一般的なつなぎを使用。常に味変できる楽しさがある焼きたてハンバーグに、ごはんはおかわり自由。さらに炭火で焼かれるハンバーグを見ながらというライブ感も相まって、お客様は高校生から上は50代くらいまでと幅広いそう。旅行の際に来店する人、同業者、リピーター……記帳のハードルを越えてさまざまなお客様が訪れるのも納得です。
少し前から、1席1,000円(税込)でネットから席が予約できる「ジュウジュウシート」が6席限定で登場。こちらも記帳や並ぶ時間を1,000円で買えると大人気なのだとか。
朝の記帳というイベントを踏まえてハンバーグをいただくのもよし、優先案内システムでいろいろ飛び越えるのもよし。とにかく一度は行って食べてほしいお店でありハンバーグです。
【紹介したお店】
※価格はすべて税込価格です
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください
以上、ハンバーグ激戦区渋谷の美味しいお店を5軒セレクトしてみました。皆さんも良いハンバーグ活動をお過ごしください!
Source: ぐるなび みんなのごはん
渋谷でハンバーグ!激戦区で本当にオススメの美味しい5軒を食べ歩く