ライターの斎藤充博です。最近、近所に「ヤオコー」ができました。ヤオコーとは埼玉県が本社で、関東地方に169店舗(2021年3月現在)ある地場のスーパーです。
そして、このヤオコーで売られている「おはぎ」が超うまいんです。……そして、おはぎがうまいということは、当然おはぎ以外の惣菜もうまい。今日はそんなヤオコーの話をさせてください。
「おはぎ」が超うまい
これがヤオコーのおはぎ(106円)です。機械ではちょっと出せないような、ぼてっとしたフォルムでしょう。
あんこは甘さ控えめ。食べていると豆の味がふんわりと香ってきて、なんかもう、すごく上品……! このあんこだけいくらでも食べられちゃう、って感じのあんこ。
あんこって安いヤツだとヌメヌメしたり、ちょっと変な臭いがしたりするじゃないですか。 これはそういうの一切ナシ。
ごはんは餅米で、ふっくらしているけど絶妙な塩梅で潰されていて、すごく食感がいいです。スーパーというよりも完全に和菓子店の味なのに、これがたったの106円。
もしもこのおはぎが1個300円で売られているパラレルワールドが存在していたとしても、そこに住まう人たちは特に気にせずに300円でおはぎを買い続けることでしょう……(そこから早く抜け出してこっちのユニバースに来て!)。なんてこった。
ずんだのおはぎ(106円)もあります。ペースト状に見えるずんだですが、口に入れてみると豆のつぶしかたがかなり「粗め」であることがわかります。まるで印象派の絵画のようにひとつひとつの粒が大きい。当然超うまいです。
きなこがまぶされているパターンもあります。使われているのは砂糖を混ぜていない、「豆の味しかしない」きなこ。そもそもヤオコーのおはぎは甘さ控えめなのですが、そこにきなこをかけることにより、よりいっそう甘さが抑えられます。
でも甘みが少ないからといって、満足感が足りないなんてことは全然ないんだよなあ! あんこがきなこを引き立て、きなこがあんこを引き立てるっていう狂気の合わせ鏡みたいな無限ループがあって、食べているとその中から抜け出せなくなります。
宮城県におはぎがおいしいことで有名なスーパー「主婦の店さいち」があります。「主婦の店さいち」は1店舗で1日に平均6,000個のおはぎを売っているという店です。
ヤオコーのおはぎはその「主婦の店さいち」から作り方を教えてもらったものです。スーパーがスーパーにおはぎの作り方を教えるんだ、ということに静かな感動があります。そうか、教えるんだ、と……。
筆者お気に入りのヤオコーのうまいもの
さて、この記事で一番言いたかったことは、ヤオコーのおはぎのうまさなのですが、これだけうまいおはぎを作る以上、他の食べものも当然うまいわけです。
だって、おはぎだけが異常にうまくて、その他の食べものがぜんぜんおいしくない、なんてことあったらおかしいじゃないですか……。この場を借りておはぎ以外の僕のお気に入りの食べものも紹介させてください。
スーパーっぽくない「プルドポークバーガー」
プルドポークバーガー(327円)です。
プルドポークとは肉を長時間焼いてフォークで引き裂けるくらいやわらかくしたももの(引き裂く=プル)。僕もプルドポークなんてぜんぜん知らなかったのですが、そういう「調べないと分からないもの」がスーパーで売られているってありがたくないですか。
このプルドポークが大量に入ってて、トマトも厚切り、レタスもみっちり。具がいっぱいです。箱から出すと形が崩れてしまうため、箱に入れたまま写真を撮りました。
こういうオシャレな箱に入っているのもいいです。スーパーってどうしても生活感があふれたものばかり見かけるから、ちょっとでもかっこいいものを見つけると気分が上がってしまう。
「ローストビーフ丼」はチームワークが光る
ローストビーフ丼(537円)です。ローストビーフといえばごちそうの代名詞であるのですが、それがなんともカジュアルな感じでごはんにのせられています。
こちら、ビーフはとてもやわらかく、かかっている塩ダレがたいへんに美味。薬味のネギは小口切りと白髪切りの二通りが添えられています。くし形のレモンが瑞々しさを演出。見えないところにコチュジャンが添えられています。ごはんには麦が混ぜられています。
なんというか……。単なる丼ではなくて、料理として、こってる!
さすがに537円という値段だけあって、ローストビーフの量はそこまで多いわけではありませんが、「みんなのチームワークでいい丼になっているな」と思わせます。僕も本当はこういう生き方をしたいんだ……。
パッケージでは「希少部位ともさんかく使用」が前面に押し出されております。これほどまでに文字を前面に出したお弁当のデザインも珍しくて好きです。
「寿司屋の魚介おつまみ タコキムチ」に目を奪われたら晩酌不可避
寿司屋の魚介おつまみ タコキムチ(327円)です。一見、なんてことのないあえものに見えて、大変気が利いているおつまみだと思います。白菜とキュウリとタコの食感が全部違って、ぜんぶおいしい。
売場でこいつに目を奪われたらもう最後で、いつのまにか缶ビールとレモンサワーを一緒にカゴに入れてしまい、その日の夜にはダイニングテーブルが一気に大衆居酒屋になってしまいます。こういうので酒飲むのが最高に気持ちいいんだよな。
「幸唐」がある人生でよかった
幸唐(画像の分量で567円)です。「幸唐」という名前がついているんですが、普通の唐揚げです。
いや、普通の唐揚げってのは嘘だ。脂っこくないし、ニンニクがキツくないし、肉が硬くない。トースターで温めると衣がパリッと仕上がる。一口じゃ食べきれないくらいのデカさがある。
ヤオコーの食べものって、突出した特徴があるというよりも、ひとつひとつの「食べものがおいしくなくなる要素を丁寧に取り除いている」印象を受けるのですが、この幸唐もそう。その結果、「言葉ではうまく言えないんだけど、めちゃうまい唐揚げ」になっています。
水道の蛇口をひねればいつでも安全な水が出るように、スーパーに行けばおいしい唐揚げが買える。これがあるのとないのとでは、人生の質そのものが変わってくるというものです。ありがてぇ……。ありがてぇよ……。
先ほどの「寿司屋の魚介おつまみ タコキムチ」と一緒にカゴに入れてしまうこと多数です。
ツイッターで教えてもらったヤオコーのうまい物
ここまでヤオコーのおすすめを語ってきましたが、膨大なヤオコーのうまいもののなかで、僕が食べたことがある物はほんの一握りに過ぎません。そこでツイッターでも「おすすめの製品」を聞いて食べてみました。
実家で食べていたヤツの強化版の「厚焼き玉子」がある
分厚くてふわふわで甘いタイプの玉子焼きです。実家で食べた玉子焼きの強化版という感じの食感と優しいお出汁の甘い味でお酒もいけます!
厚焼き玉子(217円)です。甘いけど、甘すぎない。ダシの味がするけど、ダシの味が効きすぎていない。一口目より二口目の方がうまい、本当に優しい味の玉子焼きですよね。たしかに実家で食べていたヤツの強化版という感じです(テキさんと僕の実家は違うはずなのにそう思えるの謎ですね)。
甘い厚焼き玉子って、おかずにはならないので、食卓の中で「あってもなくてもいい」くらいのポジションではなってしまうことがあるじゃないですか……。でもこういうのがひとつあると気持ちがものすごく豊かになりますね。
「甘熟紅優甘のフランス産発酵バター香る カリカリ大学芋」は、「美味しい」
美味しい
「甘熟紅優甘のフランス産発酵バター香る カリカリ大学芋」(327円、)です。
おすすめの理由がひとこと「美味しい」なのがいいですね。僕はここまでヤオコーの商品を語るときに「甘すぎない」「油っこすぎない」いう言い回しをしてきましたが、この大学芋はこれまでのパターンと違いました。
めっちゃ甘いしバターの油感ある。
そもそも大学芋って、ただでさえ甘いサツマイモを油でこってりと揚げて、甘い蜜をからめたものですよね。だからこういう方向の味の打ち出し方というのは10000%正しいわけです。
もちろん単に甘くて油っこいだけではありません。甘みにはハチミツが使われているし、油にはバターが使われていて、なんだかすごく複雑でゴージャスな味わい。正直かなりうまいです。
パッケージにみょうな迫力が宿っているのもすごいです。特に深紅の地に画面外から垂らされている一筋のハチミツ、これってまるっきり芥川龍之介 の『蜘蛛の糸』だ……。まるで大学芋を食べるという「罪」を象徴しているかのよう……。
「ヨ-グルト好きにかけてほしいブルーベリーフルーツソース」でヨーグルトがワンランクアップ
自分の調査範囲ではありますが、ヤオコープライベートブランドののフルーツソースで人工甘味料が使われていない、数少ない商品です。果実味が強くてちょうどいい甘さ、人工甘味料特有の後追い苦味もないので、いつものプレーンヨーグルトがワンランク上の味に早変わり。ヨーグルト好きは本当に買ったほうがいい商品です。ストロベリー、ブルーベリー、マンゴーの3種類があります。
「ヨ-グルト好きにかけてほしいブルーベリーフルーツソース」(217円)です。これずっと気になっていたんですが、買っていませんでした。だって、ヨーグルトに入れるのなら「ブルーベリージャム」でもいいじゃないですか。安いし、ジャムならパンに塗ってもいいわけですしね。
まあ、試してみるか……ということでヨーグルトにかけて食べてみたのですが
うめー。ジャムとぜんぜん違うんですね。おすすめしてもらったとおり、かなり果実感が強くて本物のブルーベリーの味に近いです。かなり「いいもの食べている」感じがありますね。
甘さは控えめでさっぱりしているんですが、甘さが足りないという人はここにハチミツなど足してみたら、相当ゴージャスな味わいになりそう。
「いちごが4粒入ったダブルクリームサンド」がみょうにハイレベル
今更すみません、でもどうしてもおすすめしたいものがあるのです。フルーツサンドを、フルーツサンドをたべてください。特にダブルクリームのミックスがおすすめですが、他も美味しいです。クリームの質が価格の割にかなりいいと思います。ベーカリーのパンがそもそも美味しいので、トータルにハイレベルです。季節により変わる果物も嬉しいところです。
「いちごが4粒入ったダブルクリームサンド」(429円)を買ってみました。これは超絶うまいですね!!!
右側が生クリーム、左側がカスタードクリームの2種類のクリームが使われているのがわかるでしょうか。カスタードクリームも、生クリームもかなりレベル高いです。イチゴも当然おいしい。
いままでお菓子屋さんなどでフルーツサンドを食べたことがありますが、正直ヤオコーのものの方がうまいかもしれない……。
ヤオコーと私
今回は「おはぎ」を皮切りにヤオコーのおいしい食べものを紹介させていただきました。最後に僕とヤオコーの思い出をほんの少し語らせてください。
いまから20年前の話です。僕が大学生だった頃、近所にヤオコーがありました。でもその時はまだ「いくつあるスーパーの一つ」という感じでした。まだそのころは「おはぎがおいしい」という評判もなく、ヤオコーに対してなんとも思っていなかったんです。
やがて僕は大学を卒業して引越し、しばらくヤオコーに行く機会もなくなりました。その間、僕もいろいろあったのですが、ヤオコーもきっといろいろあったんでしょうね。いつの間にかヤオコーはすごく「うまいもの」が売られているスーパーになっていました。
このようにヤオコーに行くと時の流れを感じざるを得ません。これからもヤオコーに行き続けると思います。
(ツイッターでヤオコーのおいしいものを教えてくれたみなさん、ありがとうございました! )
紹介したスーパーマーケット
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著者プロフィール
Source: ぐるなび みんなのごはん
ヤオコーの「おはぎ」が超うまい。当然おはぎ以外のやつもうまい。