彼女ができたら最初のデートでどこに連れて行きたいか、という設定でお店を選んでもらいました。好きな人を連れて行きたいくらいだから、きっといいお店に違いないと思うんです。彼女役はデイリーポータルZ編集部安藤がつとめます。
僕たちだけでは正解がわからないので、最後に女性にも意見を聞きましたので今後の人生の参考にしてください。
「デートは戦いでもあるんです」
まずはライターの地主さんが選んだお店に一緒に行きました。渋谷にあるシェーキーズです。
ライター。九州出身、東京都在住。何もない広い場所に立つのが好き。
シェーキーズ
アメリカ発祥のピザ屋さん。ブランドメッセージは「We serve fun」
安藤 地主さんにとってのデートで選びたいお店の三大条件はなんですか。
地主 まずは値が張らないことですかね。最初から高いお店はお互いに気をつかうし、僕がおごるかもしれないことも考えて、大けがしないお店を選びます。
安藤 でもいきなり安いお店に行くというのもね、ほら、最初くらいかっこつけたいじゃないですか。
地主 その前に生活が傾いてしまってはどうしようもないですから。
安藤 なるほど。2つ目は?
地主 健康です。
安藤 いきなり老夫婦みたいになった。
地主 やっぱり大切なのはお金と健康、これだと思うんですよね。だから僕の場合、最初のデートはお店ではなく散歩に誘います。モデルコースを紹介しましょうか。
安藤 ちょっと今回の趣旨とずれるのでまた今度聞かせてください。デートで選ぶお店の条件、最後の1つは。
地主 お互いの幸福、ですかね。満腹感は幸福につながるので、量が多いところ、と言い換えることもできます。
安藤 総合するとシェーキーズなわけですね。
地主 そうです。シェーキーズにはこれらすべてがあります。村上春樹の小説『ダンスダンスダンス』でもシェーキーズが出てきました。村上春樹を読んでるって言えばたいていの場合がモテますから。さっそく行きましょうか。
安藤 そうですね、ここは自分でとりに行くバイキング形式でしたね。突っ込む隙を与えないのも地主さんらしいなと思いました。
地主 相手を冷静にさせないほうがいいですね。ポンポンポン!とテンポよくいきたいものです。
安藤 ガンガンいきますね。男らしいな。
地主 バイキング形式だと取り方でも性格が見えそうな気がします。安藤さん、すごく女子っぽいというか。足りるんですか、それで。
安藤 バイキングだからさ、足りなかったらまた取に行けばいいかなと思って。
地主 甘いですね。いつまでもあると思っていたらだめです。これはデートですがバイキングなので、そういう意味では戦いでもあるわけです。取るか取られるか、です。
安藤 バイキングっていうのは地主さんの中では本来の意味でのバイキングなんですね。海賊の方の。
地主 そうです。初回から食べたいものは迷わず盛る、それがバイキングです。
安藤 なんだかわからないけどかっこいいです。
安藤 ピザって基本的に手で食べるじゃないですか。彼女は嫌がりませんかね。
地主 違いますよ安藤さん、ピッツァです。
安藤 ピッチャ。
地主 ピッツァ。
安藤 わかってますよ、タイピングできないだけです。僕も学生の頃はデートでピザを食べに行った気がするんですが、その時も彼女はパスタを食べていました。今考えると手食べが嫌だったんじゃないのかな。
地主 イタリア人に叱られますよ。触り心地も楽しめるのがピッツァですからね。あと互いに食べさせ合ったりもできます。
安藤 そんなことしたことあるんですか。
地主 ないですね。
安藤 すみません、僕はもうおなか一杯になってしまったんですが。地主さんってよく食べるじゃないですか。先に彼女がおなか一杯になってしまったらどうするの?
地主 コーヒーでも飲んでてもらいます。シェーキーズではコーヒーも飲み放題なので。
安藤 なにより食欲、という強い決意を感じますね。ご飯食べたあとはどこに行くんですか。
地主 おなかがいっぱいなので歩きますね。散歩です。
安藤 でましたね、健康。
地主 はい。君の健康を優先して考えているよ、というところを見せつけます。
安藤 徐々に地主さんの考えるデートが見えてきました。食事中とか散歩中とか、彼女とはどんな話をするんですか。
地主 浅いところを見られたくないので、なるべく考えなくてもいい話をしますね。天気とか花粉とか、そんな感じの。
安藤 コーヒーもらってきます。
地主 なんですか?なにか間違ったこと言いましたか?
紹介したお店
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください
カプリチョーザはあの頃のまま
翌日は立場を逆転させ、デイリーポータルZ編集部安藤がおすすめのお店にライター地主さんを誘いました。カプリチョーザです。
デイリーポータルZ編集部。愛知県出身。味のはっきりしたものが好き。
カプリチョーザ
株式会社 伊太利亜飯店 華婦里蝶座が運営するイタリア料理店。カプリチョーザはイタリア語で「気まぐれ」の意味。
安藤 初めてのデートではいろいろと策を練ると思いますね。というか僕はすでに結婚しているので当時を思い出してのことなんですが、いろいろと策を練ったと思います。
地主 その結果がここなわけですね。
安藤 はい。チェーン店なんだけどチェーン店ぽくないのが決め手です。
地主 落ち着いていておしゃれですね。
安藤 なんだかね、高級レストランみたいなところって気恥ずかしいんですよ。それを隠すためにあえてチェーン店を選ぶ、みたいなところがあります。あと、初めてのデートということで、あまり高すぎないのもポイントです。
地主 その感覚はいつまでも持っていたいですよね。
安藤 まず食べてほしいのはこのガーリックトーストです。
地主 デートなのにいきなりニンニク料理でいいんですか。
安藤 そこまったく考えてなかったよね。
地主 安藤さん、もう趣旨を忘れてるでしょう。でもこのガーリックトーストは美味そうですね。思った以上の厚みですよこれは。
安藤 これはね、そのまま食べてももちろんいいし、これから出てくるパスタの残りソースをつけて食べても美味いんです。
地主 本気のおすすめですね。よく来るんですか。
安藤 もちろん本気のおすすめで選んでますよ。だからこそ照れくさいんです。学生の頃によく彼女と来ていました。その時もガーリックトーストとパスタをよく注文してた。あと、当時付き合っていた彼女がライスコロッケ好きだったんですが、そこまでやると僕が泣くので今日はやめます。
地主 なんで泣くんですか。
安藤 話してもいいんですが記事には載せないですよ。
(このあと5分くらい本当に書けない話をしました。僕か地主さんに直接会う機会があったら聞いてみてください。)
安藤 見てくださいよこれ。
地主 この量は確かにすごい。
安藤 カプリチョーザにはシングルとダブルとがあって、ダブルだと2人で食べても多いんです。これをこうやって取り分けるんですよね。
地主 ニンニクを焦がしてるんですね。これは美味いなー。
安藤 でしょう。これ、言っちゃ悪いけどそこらの高級レストランとかで食べるよりも美味いと思うんですよね。行ったことないけど。この量でこの味でこの値段ってちょっとおかしくないですか。
地主 エビとか入れずに小細工してない感じが好感持てますね。
安藤 なんだよその上から目線。
地主 どうしたんですか。どこに地雷があるのかわからないな。
安藤 ところでいま一瞬地主さんが当時の彼女に見えました。
地主 やめてくださいよ。
安藤 料理って思い出すもんですね。当時はこれによく白ワイン飲んでたなー。
地主 ワインもありましたよ。注文しましょうか。
安藤 やめましょう。本当に泣いてしまう。ちょっと騙されたと思って残ったソースをガーリックトーストにつけて食べてみてください。
地主 うっわ、これはやばいですね。めちゃくちゃ合う。
安藤 でしょう。これに白ワインがまた最高に合うんです。
地主 注文しましょうか。
安藤 だからやめましょうってば。また記事に書けないことばかり話してしまうので。
会話のほとんどが記事に使えない内容だったため要約しますが、編集部安藤の初デートで彼女と行きたいお店の条件として
- あまり値が張らない
- わかりやすく美味しい
- 2人で同じものが食べられる
があげられます。あとカプリチョーザはデザートも美味しいので間違いないです(この日は日替わりデザートが僕のおすすめのかぼちゃのタルトではなかったので諦めました)。
紹介したお店
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ゲームでいつの間にか仲良くなっているのがいい
翌日はライター江ノ島さんに同じ条件でお店を選んで連れて行ってもらいました。中野にあるオムライスのお店kurumariさんです。
神奈川県出身。美味しいものは全部好き。
ボードゲームカフェ&オムライスkurumari
500種類以上のボードゲームが自由に遊べるお店。看板メニューのオムライスが人気。
店員さん こんなスピード勝負は初めて見ましたよ。
安藤 ゲームでも褒められるとうれしいもんですね。
江ノ島 僕が弱いのかなー。
江ノ島さんに連れてきてもらったお店は中野駅近くにあるボードゲームとオムライスのお店kurumari。店内には500種類以上のボードゲームがそろっていて、初心者でも店員さんがルールを教えてくれるので安心です。
安藤 今回は初めてのデートという設定なので、もしかしてわざと負けて相手を喜ばす作戦ですか。
江ノ島 ありますね。今のは違いますけどね。
安藤 江ノ島さんが初めてのデートでお店を選ぶ条件は?
江ノ島 高すぎない、ですかね。
安藤 「高すぎない」は3人とも共通だったなー。
江ノ島 本当は寿司が食べたかったんですが、ぐっとこらえたところがあります。
安藤 あとは。
江ノ島 2人で楽しく会話ができること、それから駅から近い、ですかね。
安藤 僕と地主さんが恥ずかしくなるくらいしっかりしてますね。食べ物の種類は?僕らはイタリアンがおしゃれだと刷り込まれていたわけですが。
江ノ島 お店で出すくらいだから、どこで何食べてもおいしいに決まってるじゃないですか。だからとくにこだわりません。
僕たちが「頭を使わなくてもいいやつ」とリクエストしたゲームで遊んでいると(STRIKEというゲームでした。これ本当に頭使わなくて面白かった!)、店員さんが声をかけてきた。
店員さん あちらのカウンターのお客さんが合席希望でして。もしよろしければ一緒にゲームに参加していただくことってできますか?
江ノ島 もちろんです!
僕たちの席に1人で来ていたお客さんが2人やってきた。もちろん僕と江ノ島さん以外は初対面。
安藤 面白いシステムですね。1人で来てカウンターで店員さんと遊ぶこともできるし、他のお客さんに混ざることもできるのか。
江ノ島 こういうところに出会いがあるんですね。いま目が覚めた思いです。
安藤 確かにこれはいい出会い方ですよね。ゲームが目的なので自然だし、それでいて仲良くなれそう。
江ノ島 ゲームって性格出るところあるじゃないですか。相手がどういう人かもわかると思います。
安藤 こいつ、絶望的にツキがないぞ、とか。
江ノ島 僕のことですよねそれ。
安藤 そもそもこういうお店を選ぶ人に悪い人いなさそうですよ。
江ノ島 安藤さんと地主さんは悪そうですもんね。
安藤 そんなことないですよ。僕らはあえてチェーン店を選んだみたいなところがあって。
江ノ島 あえてなんですね。
安藤 そう。ほら、僕とか地主さんってもうそこそこいい大人なので(江ノ島さんが一番年下です)、こういう可愛くておしゃれなところを選ぶのが恥ずかしくなってしまっているんです。
江ノ島 大人だからこそおしゃれな店を選んでいいんじゃないんだ!
安藤 あまりおしゃれすぎると重いかなとか思っちゃって。だからあえてファミレスとかチェーン店なんかを選んで冗談ぽくするというか。恥ずかしいなこの話。
江ノ島 婚活エピソード読むより勉強になります。
安藤 そういうの読むんですね。ポパイの恋愛特集ですか。
江ノ島 インターネットです。
安藤 また若いふりをして。
江ノ島 そういうサイト見るとですね、最初はちょっと金持ってるアピールした方がいいって書いてまして。
安藤 それはキャラとか年代にもよるんじゃないかな。さっきも言ったけど僕らみたいなキャラでそれをやると痛々しいくなっちゃいそうで。
安藤 でも江ノ島さんのチョイスは僕らからみても明らかに正解に近いと思いますよ。もうね、恋愛に関しては僕らのアドバイスとか無視した方がいいです。
江ノ島 今のうちに寿司食べておこうと思います。
紹介したお店
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです
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女性からアドバイスをもらいました
僕たち3人が選んだお店について、女性の目線から感想をもらいました。デイリーポータルZライターの小堺丸子さんです。
デイリーポータルZライター。人当たりの良さに定評あり。いきなり現地に行って地元の人に頼り切って旅をする「地元の人頼りの旅」シリーズも人気。
女性代表みたいで少しプレッシャーですが。あくまで私の意見として、参考程度に聞いてくださいね。
まず地主さんと安藤さんは、ほぼ同じ印象でした。私は2人の性格を知っているので「ぽいなあ」と苦笑いしましたよ。なのであえて言います。
必ずしも量が多い=幸福ではないんですよ(私の場合は、ですよ)。量よりもむしろ手間暇だったり、演出の仕方だったり、会話を楽しめる雰囲気に価値を置いてる気がします。
地主さんのように「バイキングは戦いだ」っていうのなら、もう今回みたいに男性同士で行ってください。楽しそうだから。
安藤さんの「高級レストランみたいなところって気恥ずかしい」も、なんとなく分かります。今回のメンバーと付き合う女性なら(何度も言うけど私ならですよ!)、その感覚わかる、となる気もしますが、でもやっぱり「どんなところなんだろう?」とか「どんなメニューがあるんだろう」とか想像をかきたてるワクワク感もほしいかなあ。
その点、江ノ島さんは「2人で楽しい思い出を作ろう」という気持ちが伝わってきてよかったです。「ボードゲームも楽しそうだし、そういうお店のオムライスってどんなだろう?」とワクワクするんですよね。駅から近いというのも、彼女が疲れないようにとか帰りやすいことを考えてですよね。優しいなー。
いろいろ言いましたが、地主さん安藤さんがもし、苦手とする「オシャレすぎる店」を選んでみたら、そのギャップで女性からの印象もがらりと変わって、すごく素敵に思われるかもしれませんよ!「こういうのきっと苦手なのに、私のために調べて選んでくれたんだなー」ってなるかも。
わたしなら最初はのんびりと2人で会話を楽しめるような、ある程度静かな喫茶店とかがいいかなー。喫茶店もご飯が美味しいところたくさんあるので。神保町とか、いいお店たくさんありますよ。
ということでした。このあと3人でシェーキーズで反省会したいと思います。小堺さん、ありがとうございました!
著者プロフィール
安藤昌教(あんどうまさのり)
愛知県出身。前職は国立研究所にて高速炉の研究に従事。その後、氣志團バックダンサー、コーヒーショップ経営、等を経てデイリーポータルZ編集部に。ものをむかずに食べる「むかない安藤」としても活動中。
Twitter:https://twitter.com/andomasanori
むかない安藤
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デイリーポータルZでの記事いちらん
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Source: ぐるなび みんなのごはん
最初のデートで彼女を連れて行きたいお店に、今日は僕を連れて行ってください