コンビニのどら焼きから考える、現代における「どら焼き」の定義とは?

どら焼きという食べ物がある。簡単に言えばカステラ生地にあんこが挟まれた、焼き菓子の一種だ。江戸時代初期から庶民に愛され、ドラえもんの大好物であり、コンビニなどでも容易に買うことができる。

 

このどら焼きに近年はいろいろな変化が見られる。どら焼きとは何なのか、と考えさせられる変化もあるのだ。今回はコンビニで売っているどら焼きから、どら焼きと呼べる定義を考えていこうと思う。

 

どら焼きとは

どら焼きと言われると、我々はカステラ生地にあんこと考えるのではないだろうか。その歴史は古く、1187年に源義経が奥州に落ち延びた際に、弁慶が手傷を負い武蔵野の民家で療養中に銅鑼で焼いた菓子とする説もある。

どうもこの記事を書いている地主です!

他にも船のどらに似ているから命名された説などもあるが、どちらにしろ江戸で発達した焼き菓子で江戸時代初期から庶民に愛された焼き菓子ではあるようだ。江戸時代には四角いどら焼きもあったそうだけれど、現代では丸いことが多い。

これが「どら焼き」です!
丸いですね!
中にはあんこですね!

どら焼きと言えば、上記のようなものを思い浮かべるし、長らくこれをどら焼きと呼んできたと思う。どら焼き好きで知られる、ドラえもんも上記のようなどら焼きを食べている。カステラ生地で中にはあんこ、これがどら焼きなのだ。

英語だとこうなるんですね!

英語ではパンケーキということになる。生地はパンケーキなのだ。ここからはどら焼きの生地のことをパンケーキと呼ぶ。

原材料はこういう感じ!

最近、コンビニでどら焼きを見ていると、どら焼きが新たな時代に突入していることに気がついた。先の写真のようなどら焼きも売ってはいるが、それもどら焼きというのか、というどら焼きもあるのだ。今回は現代におけるどら焼きの定義を考えたいと思う。

コンビニでいろいろ買いました!

あんこにプラス

今回はセブン-イレブン、ローソン、ファミリーマートで売っているどら焼きを買った。どのお店にも基本的には私たちがどら焼きと言われた際に思い浮かべるどら焼きが売られていた。

これがファミマ
つぶあんとこしあんがあります!
美味しそうですね!

これがスタンダードだ。我々はこれをどら焼きと呼んでいた。ドラえもんもさぞ喜んで食べるだろう。ここからがどら焼きの変化とも言えるラインナップだ。あんこにプラスで何かが入るのだ。

栗どら焼き(セブン-イレブン)
栗が入っていますね!
塩どら焼き(ファミリーマート)
塩を使っているそうです!

この辺はまだ理解できる。羊羹に栗を入れた栗羊羹は有名だし、和菓子を作る際に塩を使うこともある。そうなると塩どら焼きも理解の範囲にある。この辺は順当な変化と言える。

つぶあん&ホイップ(セブン-イレブン)
あんことホイップですな!
どらもっち あんこ&ホイップ(ローソン)
あんことホイップは鉄板のようです!

あんことホイップは、現在のどら焼き界では鉄板の組み合わせのようだ。ホイップクリームは17世紀頃にパリ北部の牧畜の盛んなシャンティイ地方で創作されたものだ。これが小豆から作られるあんこと合うことに運命を感じる。

そして、(セブン-イレブン)
どらやきマリトッツォ

セブン-イレブンでは「どらやきマリトッツォ」が売られていた。ホイップの割合が増えた。マリトッツォがどら焼き界にも登場しているということだ。ただあんこは入っているし、英語で考えれば先のつぶあん&ホイップと変わらない。

つぶあん&ホイップ
どらやきマリトッツォ

ここまででわかることは、「パンケーキ」にあんこがサンドされればどら焼きであり、そこにホイップが入ろうともどら焼きであることは変わりないということだ。

どれも美味しいです!

新しい定義の誕生

パンケーキにあんこでどら焼きという概念は我々が今まで持っていたものだ。プラスで何かが入ってもあんことパンケーキさえあればどら焼きなのだ。

これをどう考えるか(セブン-イレブン)

「安納芋あんどら焼」が売られていた。ここで我々は少しばかりの疑問を持つべきだろう。先までに我々が認識していたどら焼きの「あんこ」は小豆から作られていた。ちなみに多くの場合、北海道産小豆ということを謳っている。しかし、これは小豆が使われていないのだ。

小豆が使われていない!

原材料を見ても小豆の文字はない。先程までのどら焼きには必ず「小豆」の文字が踊っていた。しかし、「安納芋あんどら焼」では小豆の代わりが「さつまいも」と「いんげん豆」なのだ。これは先までに書いたどら焼きの概念の外にあるものだ。

美味しいけどね!

しかし、パッケージには大きく「どら焼」と書かれている。英語を見ると先までの同じくパンケーキと書かれている。しかし、小豆はない。ただ芋羊羹などもあるように、あんこと同じようにさつまいもが使われることはある。そう考えるとまだ「安納芋あんどら焼」はどら焼きの範疇にあると言える。

どらもっちバニラ&バニラ(ローソン)

「どらもっちバニラ&バニラ」がローソンに売られていた。これは「安納芋あんどら焼」ではフォローできたどら焼きの概念ではもはやフォローできない商品だ。だってあんこの要素がもはやないのだ。バニラ&バニラなのだから。

中はこのような感じです!

考え方の一つとして、これはどら焼きではなく「どらもっち」というどら焼きから派生した、新たなジャンルの焼き菓子ではないかとも考えられる。パンダとレッサーパンダが別物のようにどら焼きとどらもっちもまた別という考え方だ。

どら焼きだ!

しかし、「DORAYAKI(どら焼き)」と書いてある。どらもっちとどら焼きはイコールなのだ。もはやあんこ、つまり小豆がなくてもどら焼きということになる。

洋生菓子なんだね!

ここまでをまとめるとどら焼きとは、パンケーキということになる。あんこはもはや必要なく、パンケーキで何かを挟めばそれはどら焼きということになるのだ。現代におけるどら焼きとはそういうことなのだ。

これもどら焼きということです!

セブン-イレブンにはパンケーキにメープルとマーガリンがサンドされたものが売られている。我々は今日までこれを「パンケーキ」と認識してきた。しかし、それは同時にどら焼きでもあるということだ。パンケーキにメープルとマーガリンがサンドされている。そう、どら焼きなのだ。

サンドされていますね!

パンケーキはフライパンで焼けるパンの一種であり、何かをサンドしなければならない、という定義はない。しかし、上記はメープルとマーガリンがサンドされているけれど、名前は変わらずパンケーキとなっている。

パンケーキですね!

どら焼きは何かがサンドされたパンケーキであり、パンケーキはサンドされていても、されていなくてもパンケーキである。つまりどら焼きはもはやパンケーキと言えるのではないだろうか。

 

「どら焼き=サンドされたパンケーキ=パンケーキ」ということになる。全てがイコールでつながるのであれば、どら焼き=パンケーキとも言える。これで現代におけるどら焼きの定義が判明した。

どら焼きとはパンケーキです!

現代におけるどら焼きの定義が決まった。どら焼きとはパンケーキのことなのだ。そこにあんこの有無などはない。サンドされているかも実は必要ない。パンケーキこそがどら焼きなのだ。

 

今までのどら焼きを呼ぶ時は「オールドスタイルどら焼き」や「あんこがサンドされたどら焼き」「オールドスタイルジャパニーズパンケーキ」「あんこがサンドされたパンケーキ」などと呼ぶ必要があるだろう。

ちなみにこのようなものがある!

上記を見るとどら焼きに見えると思う。先までのどら焼きの写真と何も変わらない。誰もがどら焼きと思うだろう。

中はこんな感じ!

ただ中は塩バニラとなっており、あんこは入っていない。しかし、先に学んだように、どら焼きにあんこは必要ない。もはやなんでもどら焼きである。では、この商品はどら焼きなのかと言えば違う。この記事での再定義ではどら焼きではあるが、商品名は違うのだ。

ぱんけーき

そうパンケーキなのだ。やはりもはや「パンケーキ=どら焼き」であり、中身が何であろうと関係ない。そして、パンケーキは何も挟んでいなくてもパンケーキなので、「パンケーキ=どら焼き」は揺るぎないのである。

パンケーキです!

どら焼き=パンケーキ

どら焼きが好きでよく見ていたのだけれど、いろいろな種類のどら焼きの登場に私自身がどら焼きを見失っていた。そこで再定義しようと調べたものだった。その結果、どら焼きはパンケーキと定義することができた。同時にどら焼きの器が大きいことに。なんでもかんでもどら焼きということなのだ。

これもどら焼きと言えます!

参考文献

「たべもの起源事典」岡田哲 東京堂出版 2003

「たべもの起源事典 世界編」岡田哲 筑摩書房 2014

 

f:id:g-gourmedia:20170126111057j:plain

著者 地主恵亮
1985年福岡生まれ。基本的には運だけで生きているが取材日はだいたい雨になる。2014年より東京農業大学非常勤講師。著書に「妄想彼女」(鉄人社)、「インスタントリア充」(扶桑社)がある。
Twitter:@hitorimono

地主恵亮「みんなのごはん」過去記事一覧

Source: ぐるなび みんなのごはん
コンビニのどら焼きから考える、現代における「どら焼き」の定義とは?

タイトルとURLをコピーしました