突然ですが、
「業務用」
って言葉、めっちゃ惹かれませんか?
「業務用◯◯」ってあるとワクワクしちゃう。業務スーパーなんて行ったら楽しくてしょうがない。
そんな人にぜひおすすめしたいのが業務用のキッチン用品・食器などを扱う「テンポスバスターズ」というお店。
キッチン用品の業務用、それはつまり“飲食店をやる人向けのお店”というわけです。
だからやたらハイスペックな調理器具があったり、用途がさっぱりわからない機械があったり、「あ…!これ見たことある!」な食器・什器が所狭しと並んでいる。
正直、見ているだけでむちゃくちゃ楽しいです。
これから同棲するカップルはIKEAじゃなくて、ここへ行けって言いたいくらい楽しい。
そんな業務用の楽園、テンポスバスターズを今回はみっちり紹介したいと思います。
- ひっそりとした入り口、会員制だけど誰でも入れる
- 「あー!これ見たことある」ランキングベスト10
- 他にもすごいアイテムがたくさん
- そんなテンポスバスターズの中の人に聞いたおすすめ商品
- テンポスバスターズの店内を見ると、飲食業界のトレンドがわかる
- 最後に買い物をして帰りました。
- 著者プロフィール
ひっそりとした入り口、会員制だけど誰でも入れる
都内最大の店舗は意外と(?)都心にあって、新宿の明治通り沿いです。
東京メトロ副都心線を降りて、早稲田大学理工学部方面に3分ほど歩いたところにあります。ドン・キホーテ、マクドナルドと並ぶこの通り。
マクドナルドを左折するとすぐにテンポスバスターズが見えます。
ちょっと小さな入口、そしてその横に掲げてある「完全会員制」の文字。正直めちゃくちゃ入りづらいですが、大丈夫。誰でも入っていいんです(僕は大学が近所だったので、暇なときによく店内を散策していました)。
さて、店内に入ると雰囲気はホームセンターに近い。ただ、そこに置いてあるものが大変マニアック。ここは「新宿の合羽橋」なのだ。
「業務用はココがすごい」と書かれた低温調理器。どれもでかい。
「ドリンクはセルフサービスで」という張り紙とともに置いてありそうなサーバー各種。
たくさんの鍋!
鍋鍋鍋…!
中華鍋!
キッチンに置き場がないくらい巨大な中華鍋。引越し祝いに贈ると喜ばれそうですね。
テンポスバスターズはこれからお店を開く人、すでにお店をやっている人がいらっしゃるので、とにかくスペックがプロ仕様なのです。
「あー!これ見たことある」ランキングベスト10
このお店の楽しみ方の1つは既視感のあるアイテムを見つけること。僕が「あーこれよく見るアレだわあ」と思った商品を紹介させてください。こんなものが家にあると意外とテンション上がります。
10位:ラーメン屋で麺を湯切りするアレ
ラーメン屋さんとかで店主がよく茹で上がった麺を「バシャッ!」ってやってますね。こんな湯切りのかごを使っているように見えます。
家で麺を茹でるときは普通のザルを使う人が多いと思いますが、これがあると気分が全然違うと思います。
9位:学食とか社食とかにある箸が入ってるアレ
この茶色いお箸入れるやつ!これぞ「お前ここにいたのか」という商品。
こういう「買おうと思っても名前が何なのかわからないから探せないアイテム」こそテンポスバスターズの真骨頂。ダイニングテーブルの上にぽんと置いておくと、そこはもう学食です。
8位:レモンサワーのレモンを絞るアレ
居酒屋で死ぬほど絞ったやつ。半分に切ったレモンが乗っかって運ばれてくる。レモンに切り込みを入れておくと絞りやすいんよね。
家で美味しいレモンサワーを飲みたい人は1つ持っておくといいかも。
7位:お好み焼き屋とかでソースが入ってるアレ
お好み焼き屋以外では見たことがないレベルで入れるものを選ぶ壺。でも小物入れなんかにいいかもしれませんね。
このあたりのグッズと一緒に買うと相性が良さそうです。
6位:ホットドッグにつけるケチャップとマスタードのあれ
これ!屋台で買ったホットドッグに、自分で味付けするやつ。
容器のなかで水分が分離して溜まってたりするので、ホットドッグにかける前に水を軽くピュッっと出しておくのがコツ。これは元中日・立浪さんの気遣い伝説でも有名です。
5位:喫茶店で出てくるお水が入ってるアレ
このコップでお冷が出てくるとホッと落ち着きます。やっぱり水はこれじゃなきゃいけません。
なんと12個セットで2,160円。1個200円以下で買えます。よく「カフェっぽい暮らし」とか雑誌で言ってるじゃないですか。まずはこのコップを買えって話ですよ。
4位:やきとん屋で串焼きや一品ものが出てくるアレ
四文屋、秋元屋。こんな名前にピンときた人はこのお皿が気になるはず。
あらゆるやきとん屋に配備されているあの「銀の小皿」です。焼き立ての串焼きがこれに乗せられてやってきて、浅漬やポテサラもこのお皿にしっかりとおさまる。
この串入れと一緒に揃えると家でシャリキンが飲みたくなりますね。
3位:お店でよく見かけるタバコの灰を落とすアレ
最近はすっかりお店で見かけなくなった灰皿。ちょっと前までは定番といえばこの何でもない灰皿でした。最初はピカピカだけどだんだんと味が出てくる。昔は2人とか3人で1つの灰皿を使って、煙もくもくでお酒を飲んだものです。
他にも見覚えのある灰皿があります。愛煙家の人はお店で吸えない寂しさを、せめてお店みたいな灰皿で癒やしてみては。
2位:とんこつラーメンのお店に置いてあるアレ
あのクルクルやってゴマをするやつです。これはとんこつラーメンのお店でよく見かけますね。延々とくるくるまわしてゴマをかけたくなります。
すりごまって普段の料理でも使うことが多いのでわりと実用的なアイテムです。
このにんにく絞りマシンと一緒に買うと完璧ですね。
1位:「一生懸命営業中」とか「心を込めて準備中」とか書いてあるアレ
繁華街でめっちゃ見かけますよね。みんなここで買ってたんじゃん…。
1つ2,000円前後なので玄関のドアにかけておくのもいい。
「カフェっぽい暮らし」をしたい人にはカフェっぽいものもあります。
他にもすごいアイテムがたくさん
これは…!よねすけが持っていたしゃもじ?
これも見たことあるんだけど何だっけ…!
あ、パンとかを入れるやつだ。
そんなテンポスバスターズの中の人に聞いたおすすめ商品
ここまでは僕が勝手に店内を歩き回って目についたものを紹介してきましたが、テンポスバスターズで働く人が「これがすごい」と推すアイテムを教えてくれました。
店内を案内してくれるのは調理道具担当の宮澤さん。
飲食店で働く人が買い物にくるお店、テンポスバスターズ。
そこで働く人はいったいどんなものに注目しているのだろうか?
「まずは業務用ラップです」
え、ラップ!?
意表を突かれましたが、業務用のラップだそうです。
テンポスオリジナルの商品で、一般的なラップが「50m」のところ、こちらは「100m」あるらしい。2倍の容量があるので買い替え頻度が少なく済むのがメリット。
たしかにラップってけっこうすぐなくなる。これは店舗関係者以外の一般客にも人気だそうです。
「自宅でお酒を楽しむグッズも人気ですね」
このコロナ禍にあって、自宅でお酒を飲む環境を整える人も多いそうです。
定番の品としてはグラス、計量カップ、マドラーあたり。
バラ売りされているお猪口を買っていく人も多いらしい。
あとは家でハイボールを飲む人はこの計量カップがあると飲みすぎないのでいいですよ。1杯30~45ccを目安にするのがいいかと思います。
「アウトドアが人気なので、BBQの前にお店に寄るお客さんもいます」
そこで人気なのがパエリヤ鍋だそう。たしかに焼き物の締めにパエリヤを作ると盛り上がりそうだ。
そして大量の割り箸や竹串類。これもあればあるほど便利だ。
そして「これはぜひお伝えしたかったやつです」と前置きしながら説明されたのは、この網のようなもの。
最近人気の「メスティン」と呼ばれる飯ごうにぴったり合うサイズらしい。
ご飯を炊くのが主な使いみちだが、この網を下に敷いて調理をすることで、燻製や蒸し料理ができるようになる。
メスティンユーザーがこの網を求めてくることが多いそうだ。
あとは「一般の人はいらないと思いますが…」と言いながら、“ギョーザ絞り器”なるものも見せくれた。
大量の野菜の水切りをする際に使うらしい。初めて見たが、餃子界隈では当たり前なのだろうか。
これはピザ窯にピザを入れるやつ。 むちゃくちゃでかい。
本当、なんでもあるんだな~。見ているだけで楽しいし、普通に家に欲しいものもありますね。
ところで、そもそもテンポスバスターズとはどのような会社なのだろうか。そして会員制とありますが、お店をやってない僕らも商品を買えるのか。気になるところを聞いてみました。
テンポスバスターズの店内を見ると、飲食業界のトレンドがわかる
営業本部部長の遠山さんです。
――基本は飲食店をやっている人向けのお店ですが、一般の人も買えるんですか。
遠山さん:はい、もちろんお買い上げいただけますよ。商品を買うときは無料の会員登録が必要ですが、店内を見るだけなら不要です。
――買い物には会員登録が必要なんですね。
そうですね。理由としては、ほとんどの商品が飲食店で使われるものなので、消耗品が多く、業務用の機械に関しても保証をつけているからです。お客様が購入された履歴が残るようにしています。
あとは「以前に買ったあのお皿なんだっけ?」とか「前回何枚買ったっけ?」というのをお客様にいちいち覚えておかなくても大丈夫というのもメリットですね。
お店に帰って確認していただかなくてもこちらで管理できているので、「この前に買った白いお皿、このサイズですね」って間違いなくお伝えできるんです。
――ということは、どの飲食店にどんな商品が置いてあるのかが把握できていると。
そういうことですね。社内にそういったデータが蓄積されています。お客様の傾向であったりとかトレンドも商品の購入からわかります。
――そういった情報を商品開発とか仕入れに活かしてるんでしょうね。
おっしゃるとおりです。最近の傾向でどういった業態が増えているか、業態も会員データのなかにありますのでわかります。
例えばいまは焼肉屋さんの出店傾向が多いなとか、この商品を購入されるお客さんはどんな業態が多いのかとか、新しいトレンドを狙って新商品を検討しています。
(実際、最近は焼肉屋の開業が増えているらしく、テンポスバスターズもその業態を意識した品揃えが充実している)
(タレ入れから、肉の皿、チゲ鍋用の器まで焼肉屋で使うアイテムがすべてまとまっていた)
――いまこの店内に焼肉屋や唐揚げ屋のコーナーがあるのは、世の中を反映した結果であると。ここは飲食のトレンドがわかる場所なんですね。
はい。そういった店作りを目指していますし、そのようにありたいと思っていますね。
ただ、そのトレンドというのはある程度広まってきたときにお客さんが購入して、だんだんと皆さんおっかけで買われて、いままで100だった購入点数が200に増えたりして、ようやく傾向としてつかめるわけです。
厳密にはトレンドの先端を行っているのではなく、トレンドを追いかけているところです。
なので今度は私たちがトレンドを作る側にならなくちゃいけない。そこでいまデータを集積して、この世情のさらに一歩先を進んでいけるようにしたいと思っています。
――テンポスさんはグループ会社で飲食店も経営されています。そういったノウハウも生かされているんですか。
「ステーキのあさくま」というレストランをやっておりまして、テンポスの商品やサービスなどを提供させてもらっています。その店舗経営のノウハウも当然あります。
私たちのこの商品販売というモデルは、結局メーカーさんには勝てないわけです。モノをつくっているわけじゃないので。
――テンポスバスターズは小売業ですからね。
そうなんです。真似しようと思ったら、仕入先さえ開拓すればどこでも真似できる形態ではあります。だから強みとしてはさらに先の飲食店運営に特化したサービスになります。
飲食店開業のスケジュールを見ると、だいたい半年から1年の準備をしてオープンするんですけど、一般のメーカーは納品してそこでおしまいです。
でも飲食店の方からするとお店のオープンはゴールではなくて、そこからがヨーイドンのスタートなんですね。
なので私たちはオープンした後の支援とか、オープン前からお店が実際に収益が上がるかどうかのコンサルティングサービスなどを強く打ち出しています。
例えばこの店内にはたくさんチラシが貼ってありますけど、集客のメニューとかクーポンとかホームページを無料で作りますよっていう支援をさせてもらっています。実は開業前と開業した後の販促支援をメインでやっている会社なんです。
(よく見ると、後ろの壁に貼ってあるのはすべて集客支援のメニューだった)
――こういうソリューション的な事業がけっこうな割合を占めているんですか。
そうですね。売上の件数に関してはまだ物販のほうがボリュームはありますが、サービス面にもとても力を入れています。
――店内をまわってると、「一生懸命営業中!」みたいな看板、ああ、どれも見たことあるなって思います。
そうそう。「あ、これだったんだ」って思いますよね。
――お店をつくりたいっていう人にとっては、知る人ぞ知るお店だったんですね。
そうだと思います。その代わり、一般の方からはほぼ知られていません。学生向けの新卒採用とかでテンポスを知ってますかって聞くと、9割は「知らない」と答えます。
知っている方は飲食店でアルバイトとかを経験していて、店長からのお使いでテンポスに行きましたとかいう方が多いですね。
一般の認知度はすごく低いですが、飲食業界でこれから開業する方にとってはテンポスという名前はある程度認知されているのかなと思います。
――ところでテンポスのお店に一般のお客さんがくるのは歓迎なんでしょうか?
もちろんメインターゲットは飲食のお客様なのですが、ご覧になってもらったように、ご家庭で使ったりしても面白いものも置いてあります。最近はお家の中で料理の質を上げたいとか、改装して業務用の冷蔵庫を入れたっていう方もいますので、もちろん歓迎ですよ。
――おおっぴらに宣伝してないけど、見に来て、買ってくれても大丈夫ですよって感じですかね。
そうですね。意外と面白いものもありますので、よかったら遊びに来てください。ちなみにお客様の割合でいうと、9割5分が飲食のプロの方、残りの5%が一般の方ですね。
――その5%はどんなニーズでいらっしゃるんでしょうか。
例えば好きな飲食店で使っているお皿を買いたいとか、あとは料理を趣味にしていて、いまよりもグレードアップしたキッチンツールを使いたい、プロ仕様の包丁がほしいという方もいらっしゃいますね。
プロ仕様だと耐久性が高かったり、切れ味が非常に良いのでそういうところを求める方も多いですね。まあ言ってみれば「物好きな方」が多いですね(笑)
きっと商品名のわからないモノもたくさんあると思うので、見に来てもらうと「あーこれこれ!」って楽しめると思います。
――いまコロナ禍で飲食店は困っていらっしゃると思います。テンポスに来る飲食のお客さんに何か変化というのはありますか。
購入する商品の層が変わりましたね。いままではお皿関係が売れていたんですが、この1年くらいはコロナの影響もあって、3~4割減になりました。
イートインのお客様が減った影響ですが、テイクアウト用のお弁当パックなどが非常に売れるようになりました。
(テイクアウト用の容器コーナーもとても充実していた)
あとはこの機会に設備投資をしようとか、機材をひとつ増やしてみようとか、デリバリーをするのに食材の確保をしないといけないから冷凍ストッカーを購入しようとか、そういった傾向も見えます。
その中でもちょっとでも安く買いたいと、リサイクル製品をお求めになるお客様も多いですね。
――ありがとうございます。テンポスって正直、謎なお店でしたが、謎がとけた気がしました。
最後に買い物をして帰りました。
ここに来ると必ず何か買ってしまう。
今日は何にしようか、釜飯もいいな。
もちろん僕は会員カードを作ってあります。
(レジカウンターですぐに無料発行できます)
この日買ったのはこれ。
やきとん屋でよく出る小皿と、飲酒用の計量カップ(料理にも使えそうだ)。
コンビニで買った焼き鳥を乗せるだけでちょっと気分が出ます。
料理好きな人、最近料理に凝り始めた人、無駄にキッチン用品を愛してる人はぜひ遊びにいってみるといいですよ。
今回取材に伺ったテンポス新宿店はこちら。
ぐるなび掲載の「ステーキのあさくま」店舗一覧はこちら。
著者プロフィール
narumi(@narumi)
コンビニ飯を愛するライター。趣味はポッドキャスト配信など。西武線沿線で生まれ育った西武ライオンズファンです。
ポッドキャスト:ドングリFM
Twitter:@narumi
Source: ぐるなび みんなのごはん
「おまえ、ここにいたのか!」が見つかるお店。業務用キッチンツールの楽園「テンポスバスターズ」に行ってきた