手作りの専用包丁で、たまに刀削麺を作っています
15年くらい前から、ちょっとした遊びで刀削麺を作っています。小麦粉を練って作った生地の塊を、湾曲した包丁で削って直接鍋に放り込んでいくアレです。専用の包丁は売っていなかったので手作りしました。
生地を削ってすぐ茹でるからこそ、エッヂの立ったツルンとした断面が楽しめます。均一的な麺のうどんやきしめんとは違い、一口ごとに変化するドラマチックな啜り心地がたまりません。削るのがヘタだからこそ変化があるのですが。
これは私が愛用してる手作りの刀削麺用包丁。
気が向くとたまに生地を削っています。あまり上達はしていませんが。
私みたいな素人が作っても、それなりに美味しいんですよ。
ということで、皆さんもステンレスの板を曲げたり削ったりして専用包丁を作って刀削麺に挑みましょう!
……という話ではなく、ピーラー(野菜の皮むき)で超簡単に作れる刀削麺風の麺料理を紹介します。名前を付けるとしたら『ピーラーメン』ですかね。放送禁止用語の具を使ったラーメンみたいですが。
【もくじ】
生地の材料はお好みで
生地の材料ですが、基本的にはうどんと同じように小麦粉を塩水で捏ねて作ります(塩を入れない場合も)。中華麺に必須の『かんすい』は入れません。でも入れてもいいです。自炊 is 自由。
小麦粉の種類ですが、私が15年前によく行っていたお店では、強力粉と薄力粉を半々で混ぜていると教えてくれました。うどん用の中力粉でも大丈夫。刀で削るのに比べてピーラーだとどうしてもペラペラになってしまうので、薄くても歯ごたえのある強力粉だけで作るガッチリした生地もおいしいです。
また麺棒で伸ばすうどん用の生地に比べて、固め(水少なめ)が削りやすいです。一食あたり粉は100gくらい。
強力粉はスーパーなどで買える安いパン用を使用しました。
これは邪道かもしれませんが、小麦粉に片栗粉を混ぜると弾力がアップして、麺が冷凍うどんみたいなモチモチのツルツルになります。ただし生地をまとめるのがちょっと難しくなりますが。さらに塩ではなくかんすい代わりの重曹を入れると、中華麺っぽい仕上がりにもなります。
お好みの食感にするにはどうすればいいかを予測して、粉と打ち水を配合してください。
■ムッチリ生地の例:粉(中力粉300g)+打ち水(水120g+塩6g)
■ガッチリ生地の例:粉(強力粉300g)+打ち水(水120g+塩6g)
■モッチリ生地の例:粉(強力粉250g+片栗粉50g)+打ち水(水120g+塩6g)
■中華風生地の例:粉(お好みを300g)+打ち水(水120g+重曹3g)
粉と水を合わせる
それでは生地を作りましょう。まず粉をザルでふるっておきます。
このひと手間でダマがなくなり、この後の作業がぐっと楽になります。
削りやすい量ということで、粉300g(三人前)で作りました。
水と塩(あるいは重曹)をよく混ぜておき、少しずつ加えながら、泡だて器でシャカシャカと無心になってかき混ぜます。『水回し』と呼ばれる作業です。
5分くらいしっかり混ぜ続けて、オカラ状に仕上げましょう。
3回くらいに分けて入れます。
オカラみたいな状態にしてください。
泡だて器なんて使いたくないという人は、がんばって指で粉と混ぜましょう。指が濡れると粉がベトベトくっついてしまうので、できるだけ濡らさないようにするのがコツです。
かき混ぜる手の指先をボウルにつけて、機械になった気分でグルグルと混ぜます。水分が少ない部分を多い部分に寄せて、均一な状態にしていきます。
指やボウルについた粉を落としながら、グルングルンとかき混ぜます。
全部の水を加えて、オカラのようになった状態。
続いて掌に生地を挟んで力を込めずにスリスリと揉んだり、下から上へとフワッフワかき混ぜたり、オカラ状のままで生地を育てて、グルテンを生成して粘りを出します。
なにいっているのかよくわからないと思いますが、お菓子作りと違って適当にやっても最終的にはどうにかなります。
美味しくなるように拝みましょう。
力を入れすぎると生地がくっついてしまうの注意。
オカラ状をキープしつつ、パサつきがまったく無く、細かい粒が伸びた感じになっているのがわかりますか。
生地を捏ねて寝かせる
こうして泡だて器なり手なりで粉と水を合わせたら、力を込めて掌で一つにまとめて捏ねたら、乾燥しないようにビニール袋に入れて30分程度寝かせて、また捏ねて生地が硬くなってきたら、また寝かせます。
オカラ状だった生地をまとめて捏ねた状態。
この捏ねて寝かせる作業を3~4回くらいやって、滑らかな肌艶になったら生地の完成です。できればさらに冷蔵庫で一晩寝かせると完璧!
うどんを一度でも打ったことがある人なら、問題なくできると思います。
ツルッツルになるまで鍛えてください。
この生地を削りやすいように細長いカマボコ型にして、まな板などに乗せます。
上は塩水で捏ねた生地、下は重曹入りの水で捏ねた生地。色だけではなく弾力の質が全然違います。
これにてピーラーメンの準備完了。
ピーラーで生地を削る
それでは生地を削っていきましょう。普通の刀削麺では削った麺を熱湯に直接飛ばしますが、ピーラーだと麺が飛んでいきません。そこで削った麺を手作業で重ならないようお皿に並べていきます。
ピーラーの刃部分より広い平らな生地は構造上削りにくいので、生地の形を整えつつ丸みがある部分をピュ~~~っと削りましょう。生地さえ滑らかにできていれば、意外と簡単に削れてくれます。
この作業はピーラーの切れ味がとても大切なので、できれば新しいものを使ってください。100均のやつでも大丈夫です。
ピュ~~~。
打ち粉をしない麺なので、面倒でも重ならないように並べましょう。
どうやって食べてもうまい、ピーラーメン
麺ができたら、エッヂが丸くなる前にさっさと茹でて食べましょう。料理の方法は、うどん風でもラーメン風でもお好みで。ピーラーメンはどんな味付けでも受け止めてくれます。
麺の太さや厚さがバラバラなので、茹で加減は適当で大丈夫。フニャフニャと柔らかいところがあったり、ちょっと硬いところがあったりするのがいいんです。一応目安は2~3分くらいですが、時間にとらわれず食べて自分の舌で確認してください。
たっぷりのお湯で茹でましょう。
刀削麺といえばピリ辛の味付けというイメージがあるので、まずは『汁なしカレー担々麺』にしてみました。
ペロペロでモチモチでツルツルのピーラーメンにカレー風味のタレを絡めて、花椒を効かせたミンチと一緒にいただきます。普通の麺では味わえない舌触りに悶えますよ。小麦粉と挽肉なので、水餃子を食べている気分にもなります。
好きなんですよ、カレー担々麺。
普通の中華麺で作っても美味しいですが、この麺だからこそのうまさもあるのです。
カレー担々麺のレシピは以下を参考にしてください。スパイスの加減や具はお好みでどうぞ。
かんすいの代わりに重曹を加えて作った麺をラーメンのスープに入れれば、『皮だけのワンタン』風になります。これがまたツルっとしてうまいんだ。
ワンタン好きには堪らない一杯!
続いてはもっと麺の味をシンプルに楽しむため、茹でてから水でよく洗って、ざるうどんならぬ『ざるピーラーメン』で食べてみました。略して『ざるピー』。
きしめんよりも幅広のピーラーメンが、水で締めることでトゥルントゥルンになって最高の啜り心地です。これからの季節には最高ですよ。
ピーラーメンは冷やして食べてもうまいんだ。
めんつゆも合いますよ。
ピーラーメンの薄さを逆手にとって『しゃぶしゃぶピーラーメン』も試してみましょう。白くて幅広の麺をふぐ刺しをイメージして麺を盛り付けると、気持ちがとっても盛り上がります。
せっかくだからニンジンとダイコンもピーラーで麺と同じように薄くして、薄切り肉(これはピーラーではなく薄切りされたものを購入)と昆布だしでサッと煮ます。
形状は同じでも食感や味が違う麺と肉と野菜を、自由に組み合わせて食べる楽しさ。一口ごとに味の表情が変わる喜びが待っていました。
遠くから見るとふぐ刺しに見えるかもしれません。
薄い具で揃えてみました。ホウレンソウ、エノキタケ、レタスなども合いそうですね。
食感が違う麺状のものを一緒に食べるという贅沢。
ポン酢であっさりと。これからの暑い時期にも食べたい鍋です。
余った生地は餃子の皮にしよう
生地を削っていくと、だんだん量が減って削りにくくなっていきます。その場合は無理に削ろうとせず、包丁でスライスして麺棒で薄く伸ばし、餃子の皮にするのも楽しいですよ。
普通の皮に比べて水分が少ない生地なので、どうしても厚い皮になってしまいますが、それがまた食べ応えがあってうまいんです。ピーラーメンと同じ生地とは思えない食感の違いを楽しみましょう。
余った生地をスライスしました。
片栗粉で打ち粉をして、麺棒で薄く伸ばせば餃子の皮になります。
厚くてしっかりした皮がうまいんですよ。
水餃子にもぴったり。
餃子を作るのが面倒だったら、適当に薄く伸ばしてすいとん風にするのもオススメ。これもまた噛み応えがあってうまい。
うどんを手打ちするよりも簡単なピーラーメン、自由なアイデアで楽しんでみてください!
著者プロフィール
Source: ぐるなび みんなのごはん
一口ごとに変わるすすり心地が超楽しい!ピーラーで作るカンタン刀削麺、「ピーラーメン」のすすめ