全国1億2,500万人のカレー好きなみなさん! 朗報です!!
めちゃくちゃ美味しい南インド&パキスタン料理のお店を見つけましたよ!!
それも、カレーの聖地と呼ばれるような神保町や下北沢ではなく……
イオンモール多摩平の森のフードコートで見つけちゃいました!!
「フードコートかいwww」と思ったそこのあなた!
言いたいことはわかります。確かにフードコートといえばファミリー向けのチェーン店が多いですもんね。カレーやビリヤニに代表される南インド料理やパキスタン料理のイメージからは程遠い場所だということは理解しているつもりです。
でも、記事、いや写真だけでも見ていってください。
たとえば、こちらの「ラムビリヤニセット」(850円)。スパイスの風味豊かでふんわりとした食感のパスマティライスの中に、
骨つきのラム肉がゴロッゴロ!!
フードコートで骨付きラム肉を扱っているなんてそれだけでも本気度合いが伝わってきませんか? そして、これがめちゃくちゃ美味しいんです。
たまに、あるじゃないですか。めちゃくちゃスパイスの効いた料理が食べたいとき。でも、家族連れで、しかも小さい子どもがいるとスパイスカレーの店はなかなか選択肢になりにくい。
そんなときでもフードコートなら色々メニューがあるので心配ご無用! 子連れファミリーのスパイス欲を存分に満たしてくれる場所が、日野市のイオンモールにありました!
フードコートなのに本格的すぎる。パキスタン料理「ラムニハリ」で汗だく
さて、今回ご紹介するのがイオンモール多摩平の森にある南インド・パキスタン料理の専門店「アナスドーサビリヤニ」というお店です。
勘の鋭い方はすでにお気づきかもしれませんが、実は品川や上野、銀座などで「○○ビリヤニ」という屋号で人気の通称ビリヤニグループが展開する店舗のひとつ。
都心の一等地に展開する超人気店の味が、なぜかフードコートで楽しめちゃうのです。
ビリヤニグループのお店がフードコートに出店している理由は後ほど聞くとして、まぁ見てくださいよ、このメニュー。先ほど紹介したビリヤニはもちろん、定番のバターチキンカレーセット(770円)などはありつつも、
「ラムニハリ」や「カラヒ」といった街のインドカレー店では見たことのないメニューも。
定番のカレーも気になるけど、やっぱりここでしか食べられないメニューを食べてみたいので、まずはメニュー表の左上にある「ラムニハリセット」(944円)を注文してみましょう!
注文が入ると、おもむろにナンを焼きはじめます。こちらの生地には牛乳を使用していて、優しい甘さが特徴だそうです。伸びる伸びる〜!
タンドールという土窯の側面に貼り付けて焼き上げます。時間としては約30秒。表面がいかにもパリッパリで美味しそう。
ちなみにタンドールでは、タンドリーチキンやチキンティッカといったチキン料理も焼いています。タンドールで焼くチキンだから、タンドリーチキンってわけね。
そうこうしているうちに、ものの4~5分で完成。このスピード感は、やっぱりフードコートですね。
でーん! 出ました!
ラムニハリは、ラム肉をスパイスで煮込んだパキスタン料理。
食欲をそそるいい香り……!
早速ひと口食べてみるとスパイス由来と思われる酸味、辛味、そして旨味が一気に押し寄せてきてすごく複雑だけど、美味しいってことはわかります。
焼きたてでパリパリのナンとの相性も抜群。食感が軽いからサクサク食べられるし、牛乳による甘さのおかげかスパイスの風味が引き立ちます。
「ナン=カレーとセット」のイメージが強いですが、パキスタンでもラムニハリと一緒に食べるのが一般的だそう。
そしてこれ! 成人男性のゲンコツサイズの骨付きラム。ホロホロで柔らかいけれど、肉の味もしっかり残っています。これだけでお腹いっぱいになる。ワンパンKOです。
いやはや、大大満足。どんな料理かわからないので最初はちょっと不安だったラムニハリですが、汗だくになりながら夢中で完食してしまいました。
続いては店名にもあるドーサを味わうために「プレーンドーサセット」(770円)を注文してみましょう。ドーサとは水に浸した米と豆をペースト状にし、さらに発酵させた生地をクレープのように薄く焼いた南インド料理です。
こちらもあっという間に出来上がり!
豆と野菜の煮込みカレー「サンバル」(左)と南インド料理の定番「ココナツチャツネ」(右)とセットです。どんな味がするんだろう……?
うん……! よい!!
ひと口目はパリッとしているんですが、食感はもっちり。発酵しているからかふんわりと酸味も感じます。個人的にはココナツチャツネとのセットが爽やかで美味しかったです!
いや~ごちそうさまでした!!
ビリヤニグループが、フードコートに出店した理由
それにしても、なぜ「アナスドーサビリヤニ」では、これほどまでに本格的な料理をフードコートで提供しているのでしょうか?
ビリヤニグループを展開するGH Khaza Garib Nawaz Enterprise株式会社・CFO/MDのジャウエド・サリムさんに話を聞いてみました。
――本題に入る前に、ラムニハリについて教えてください。スパイス効いていてすごく美味しかったし、くせになりそうです。パキスタンではどういった料理なのでしょうか?
サリムさん:パキスタンのソウルフードです。日本人にとっての味噌汁やラーメンに似たような存在ですね。ちなみに「ラムニハリ」の「ニハリ」には「朝」という意味があるので、毎朝家を出て、屋台でナンやライスと一緒に食べるのがポピュラーです。
――いろいろなスパイスの香りがしたのですが、カレーとの違いはなんですか?
サリムさん:玉ねぎを一切使っていないことです。一般的にカレーは炒めた玉ねぎがベースになるのですが、ラムニハリは水とスパイス、そして骨付き肉だけでつくっています。毎日弱火で7~8時間じっくり火にかけているので、骨付き肉から旨味が溶け出しているし、肉自体もすごく柔らかくなるんですよ。
――確かに骨付きラム肉の美味しさったらなかったです。それにしても、毎日弱火で7~8時間ですか!?
サリムさん:そう、実は人気メニューなのです。日によってはオープンから1時間で売り切れてしまうこともありますよ。カレーももちろん美味しいけれど、スパイスの美味しさをダイレクトに感じたい方は「ラムニハリ」が断然おすすめです。
――お店のことも教えてください。都心を中心に展開していたのに、なぜイオンモールのフードコートに出店することになったんですか?
サリムさん:理由は、大きく分けて2つあります。
1つは、「お酒を提供しない業態で勝負してみたい」という気持ちがあったからです。
そもそもわたしたちはイスラム教なので、宗教としてはお酒は禁止されているんですよ。でも、日本でお店を出そうと思ったらどうしても料理とお酒はセットになる。カレーのようにスパイスを使った料理を扱うとなれば尚更です。
ただ、料理には自信があったので、お酒を提供しなくてもお客さんに満足してもらえる気がしていて。そんなときにイオングループの方から声をかけていただいたことが、出店のきっかけです。
もう1つは、スタッフの存在です。日本語がそこまで上手ではないスタッフでも、フードコートならレストランのように長い時間接客しなくてもいいですからね。
あ、もちろん、フードコートでの接客をないがしろにしているわけではありませんよ。私は教育係でもあるので「日本語が苦手な点は清潔感と笑顔でカバーしてください」と日々伝えています。
――先ほど料理に自信があるというお話がありましたが、街中でネパール人やバングラディシュ人の方たちが経営しているインドカレー店の料理と違いがあるとしたらどのあたりですか?
サリムさん:原価率は違うと思います。他が15~25%程度だとしたら、わたしたちは30~35%程度。たとえばチーズナンに使用するチーズもオリジナルでブレンドしていますし、セットメニューを注文いただいた方にサービスしているラッシーも店内でつくっています。
ほうれん草カレーに使用するほうれん草もコリアンダーセットに使用するパクチーも、すでにペースト状になっている業務用のものではなく、フレッシュなものを仕入れて店内でペーストにしていますからね。
わたしたちは7店舗を運営(2021年8月時点)しており、食材も大量に仕入れることができるのでこれでも原価は抑えているんです。
――食材にこだわり、かつめちゃくちゃ手間ひまをかけているんですね!
サリムさん:特に顕著なのがスパイスです。料理に使用するスパイスは、社長自ら新鮮なものを世界中から仕入れて、門外不出のレシピでブレンド。ひと月に300~400kgぐらいブレンドして、毎週店舗に発送しています。
――門外不出のレシピ!?
サリムさん:そう、わたしも立ち入ることのできない領域です(笑)。ただ、カレーやビリヤニ、先ほどのラムニハリのような料理に使うスパイスが新鮮ではないとわたしたちが提供したい辛味、酸味、旨味、そして深みが出ないんですよ。
――確かにビリヤニにもラムニハリにも、フレッシュなホールスパイスがゴロゴロ入っていましたね。
サリムさん:食べ比べてみたら、新鮮ではないスパイスを使っているカレーとの差は歴然です。わたしたちはこちらの3種のカレーセットを950円で提供しているのですが、他の店舗でこの値段だと中にはスパイスから調理していないところもありますからね。いいものを使って、手間ひまをかける。シンプルですが、それが美味しさの秘密です。
――ただ、それだとなかなか利益にもつながりにくいような気がするのですが……。
サリムさん:利益は大事だけど、目的ではありません。わたしたちにとってお客さんは家族と同じ。家族には美味しいもの、体にいいものをお腹いっぱい食べてほしいですよね。お客さんに喜んでもらえて、わたしたちはちょっと稼げて、みんなが少しずつ幸せになっていけば充分です。
――なんて尊い……素敵なお話と美味しい料理、ありがとうございました!
サリムさん:こちらこそ、ありがとうございました。また来てくださいね。
「家族をテーマにしている店なので、お子さん連れでも気軽に足を運んでみてください」と結んでくれたサリムさん。
日野・八王子方面へお出かけの際は、ぜひアナスドーサビリヤニに足を運んでみてください!
今回ご紹介したお店はこちら。
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください
著者プロフィール
田中嘉人
1983年生まれ。静岡県出身。静岡文化芸術大学大学院修了後、2008年にエン・ジャパンへ入社。求人広告のコピーライター、Webメディア編集などを経て、2017年5月1日独立。ジモコロ、SPOTなどを担当しつつ、ラジオドラマ脚本も書く。
Source: ぐるなび みんなのごはん
ラム肉ゴロッゴロのビリヤニをイオンのフードコートで食べられるとは…!本気で多摩方面に引っ越したくなった