毎度、ご存じない方が多いお店の情報について書いているが、今回はあえて、よく見かけるお店について発見があったので書かせていただきたい。
東京にお住まいの方なら、「インド定食 ターリー屋」という店を都内のあちこちで見たことがあると思う。親しみやすい看板や「インド定食」というお店の名前から、本格的なインド料理を、定食屋で生姜焼き定食を頼むような感覚で気軽に食べられる店だというイメージが自然に浮かんでくる。実際、その通りではあるのだけれど、この店はそれだけではなかった。
わたしもそのことに気づいたのは最近のことなのだが、そのすばらしさについて説明させていただきたい。
親しみやすい店構えに誘われて中に入ると驚きのメニューが多数
わたしがよく行くようになったのが新宿センタービル店である。オフィスビルであるセンタービルのショッピング街はレンガが敷き詰めてあって、ランチタイムのウキウキ感の具現化のようで、休日に行ってもウキウキしてしまうのである。
先にターリー屋のすばらしさを一言でまとめると、「まさにこれが食べたかったと気づくような料理が実現されている」ことで、ふつうのインド料理店にはないメニューがあって、どれもわんぱく度100％なのである。
メニューを見ていると、あとで入ってきたお客さんがメニューを一瞥してカレーの定食を頼んでいる。しかしターリー屋のメニューは隅々まで読む必要がある。なぜなら、あちこちに驚きがあるから……。
「チキンケバブキーマ定食」は文字列だけでもおいしさが想像できる
わたしが初めてターリー屋で食べたのがこのメニュー。どこでランチをしようかと思って新宿西口を歩いていたら、チキンケバブキーマ定食の看板を見て、「これこそ食べたかったランチである！」と確信してターリー屋のドアを開けたのだった。
ケバブサンドはすっかり日本に定着して、あちこちでテイクアウトの店を見かけるようになったが、それをライスに合わせるだけでなく、さらにキーマカレーといっしょにして定食にするとは……ケバブとライスだけでもかなりの満足感なのだが、キーマカレーを好きなタイミングで好きなようにかけて楽しみたい。キーマカレーも主役らしくお肉がたっぷりなので、ライスはなるべく多めにすると具とごはんの比率的によいと思う。
また、目玉焼きがのっているメニューが多いのだが、「具＞＞＞ごはん」の構図を補強しており、特盛りにしても食べ飽きない。
「パクチーライスキーマ定食」は、パクチーへの愛がいっそう深まる
続いては、パクチーライスキーマ定食。これもまた文字列だけでおいしいことがわかるメニューで、やはり「これぞわたしが食べたかったものだ」とメニューを見て思った。単体でいただくとフレッシュすぎるパクチーの上にお肉たっぷりのキーマカレーをかけたら、味が濃いのに後味が爽やか……という感じかなと思って頼んでみたらやはりその通りだった。
想像以上だったのがパクチーの量。ごはん大盛りでお願いしたのだけれど、それでもほとんどごはんが見えない。薬味というレベルをはるかに超えている。お店的に利益が出ているのかなと心配になるボリュームだが、おそらくパクチー好きの人は中途半端な量だと満足しないだろうと思ってのことだろうし、実際のところそうである。パクチーとキーマカレーの組み合わせがすばらしく、毎週食べたい味。
ソフトドリンクも、インド的なものからそうでないものまで幅広くカバー
飲み物もぬかりがなく、チャイやラッシーはもちろんのこと、果ては少し前に流行したタピオカも用意。ラッシー＆タピオカの組み合わせも可能で、インド料理店ならではである。「そういえばタピオカを最近飲んでないけど単体で飲むほどの情熱は失われてしまった……」という気持ちに寄り添ってくれる。
そしてインドのレモネード、ニンブ・パニまであり、守備範囲の広さに唸ってしまう。
インド料理専門店でもあまり見かけないが、このお店は濃いカレーが多いので、さっぱりしたレモンの味が食後によい。
ドリンクのメニューを見ていると、「ここはカフェかな？」と思うほどの幅広さである。
きわめつけ、「ゴルゴンゾーラチーズナン」は、ハチミツもついているので究極の甘辛体験ができる
ライスのメニューをふたつ紹介したが、ターリー屋はナンの充実度もすばらしい。他の店にないのが、ゴルゴンゾーラチーズナンで、この文字列を見ただけで、チーズピザがナンになったらどれだけおいしいだろうと期待に胸が膨らむはずだ。やはり「これぞわたしが食べたかったものだ」とメニューを見て思ったのだった。
このナンを単体で食べてもおそらく満足するのだろうけれど、せっかくだからと思って、選べるカレー2種＆タンドーリ3種の定食にし、カレーはパラクパニールときのこミックスのカレーをつけた。情報量が多すぎるので手短にさせていただくが、ターリー屋は「本日のカレー」から定食につけるカレーを選ぶシステムで、そのカレーのメニューもよく読んで決めたい。この日のカレーに入っていた「きのこミックス」は、マッシュルームだけでなく、平茸や椎茸も入っていて、きのこ好きは見逃せない。
頼んでしばらくすると組み合わせた定食が登場。ナンのボリュームがすばらしすぎて、タンドーリたちが見えない。
ナンをめくるとタンドーリたちがこんにちは……。
そして頼んだ覚えのない謎の鉢……これはハチミツ！！！
ゴルゴンゾーラチーズのピザはよくハチミツをかけて食べるが、さすがにインド料理屋でそこまでは望めまいと思っていたのだが、ひたして食べられるなんて夢のようである。
ゴルゴンゾーラチーズナンにハチミツひたしたものだけで満たされるが、カレーとタンドーリで、ちょっとしたお祭り騒ぎである。
これを食べた日はこのあと一日何も食べなくても物理的精神的に満たされたのだった。
とにかくメニューは要熟読
どれもリーズナブルで、ライスを増やしても追加料金はないので、大や特盛にすれば満腹になれる。また、プレーンなナンは食べ放題である。
魅力的なメニューが着実に増えてきており、行くたびに何を食べるかかなり迷う。
看板どおり、気軽に入れる店だけれど、初めて行くと魅力的な情報が多すぎるので、混雑していない時間帯などに行って、メニューをじっくり読んで何を食べるか決めてほしい。わたしはいつも「次回行くときはこれを頼もう」とメニューを写真に撮っている。
出店はおもに東京だが、大阪にも2店舗、埼玉と神奈川にも店舗がある。近くにお住まいの方はもちろん、出張や旅行でお越しになったときは寄ってみるといいと思う。
紹介したお店
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください
※お酒の提供については、現在、国や自治体の要請に準じています
著者プロフィール
ライター。主著は『マイナス思考法講座』『忍耐力養成ドリル』『モテる小説』。ブログ「ココロ社」も運営中。
ブログ：ココロ社
Twitter：ココロ社 (@kokorosha) | Twitter
Source: ぐるなび みんなのごはん
よく見る「インド定食 ターリー屋」に入ってみたら、想像以上のメニューだらけで素晴らしかった
