インド・ネパール料理店が好きなココロ社です。
「インド・ネパール料理店」という業態をよく見かける。都心なら、インド・ネパール料理店以外に、インド料理の専門店やネパール料理の専門店がそれぞれあるが、都心以外だと、近所にあるのはインドネパール料理店のみという方も多いと思う。そして多くの人は、インド料理を食べにインド・ネパール料理店を訪れる。お店の名前は「タージ・マハール」など、インドの名所に寄せたものもあるが、「エベレスト」など、大胆にネパールに寄せた名前もある。
見慣れてしまっているから何も感じないが、外国に旅行に行ったとして、中国・日本料理の店があって、しかもそのお店の名前が「富士山」だったら……ゆかいな料理が期待できて、寄ってしまうことだろう。
「インド・ネパール料理店」には、インド料理専門店にも、ネパール料理専門店にもない、特別な魅力があり、その魅力が何であるかを究明するに至ったので、ここに記録しておく。
今回、わたしの中では指折りのインド・ネパール料理店である、「エベレストキッチン 聖蹟桜ヶ丘店」を例にしてお話させていただくけれど、みなさんの近所のインド・ネパール料理店に訪れるときの参考になれば幸いである。
このお店、「アジアンダイニング」と書いてあるが、随所にインドの国旗とネパールの国旗がある、事実上のインド・ネパール料理店である。店内も過剰に異国情緒がないところも好感度大。
昼のインド・ネパール料理店はカレー屋の顔をしている
インド・ネパール料理店のランチタイムはカレーのセットのみを供していることが多い。昼しかお店を利用しない人なら、そこがインド・ネパール料理店であることに気づくことすらないかもしれない。
この店でも昼のメニューはカレーセットが主体で、わたしも初めて訪問したときには「気軽にカレーを食べに行く店」と認識していた。
後述するけれど、その認識は間違っていたのだった。
昼についてもメニューをよく見ると、日本のカレーライスに寄せたインドカレーのような素敵な独自メニューがあった。
味はインドカレーそのものだが日本のカレースタンドのカレーのような体裁で、気兼ねなく食べられ、しかもサラダ・ドリンクがついて650円という、カレースタンドと比較してもかなり安い価格である。他のインド・ネパール料理店でも、カレーを推しながらも他にないメニューを用意していたりするので、メニューをじっくり見ておきたいところ。
インド・ネパール料理店の魅力は夜開く
インド・ネパール料理店の魅力が花開くのはディナーのメニューである。端的にいって、インド料理とネパール料理を自在に組み合わせて食べられるのはインド・ネパール料理店ならではである。
今回頼んだのは、ネパール寄りのチキンスープカレーとインド寄りのチーズナン、そしてネパール寄りのベジタブルチャオミンである。ふたりなどで行くならもっとあれこれインドとネパールを股にかけて楽しめるはずだ。
ネパールのチキンスープカレー。
同じチキンカレーでも、北インドのこってりとしたチキンカレーとはまったく別の味。
サラサラした感じが伝わるだろうか……。
ネパールならライスといっしょにいただくことが多いはずだが、重厚なチーズナンといっしょにいただく。
爽やかなスパイスの風味のカレーとほとんどピザのようなこってりしたチーズナンの組み合わせが最高である。
また、麺類が好きすぎる人がインド料理店に行くと麺類をキメたいと思ってしまうかもしれないが、そんな欲望もインド・ネパール料理店なら叶えてくれる。チャオミンである。
どの店でも「ネパール風焼きそば」と書いてあるが、日本の焼きそばのソースの味とはまったく別の味付けがしてあり、スパイシーではあるがクミンが中心で辛くはない。野菜中心なので、炭水化物といえど、比較的カロリーは低めなので罪悪感もあまりないのだが、たとえばタンドリーチキンとチャオミンという組み合わせもインド・ネパール料理店ならではの組み合わせで楽しい。
乳製品だらけになってしまうが、せっかくなのでブルーベリーラッシーもお願いした。
インド・ネパール料理店だとジョッキで出てきたりするが、そこがまたいい。
近所にネパール料理店がない人は、インド・ネパール料理店は格好のネパール料理入門である
また、インドカレーのセットに、モモを足したりすると、謎のお子様ランチのような豪華さを味わうことができる。
たいていのインド・ネパール料理店の夜のメニューにはモモが用意されていて、「ネパールの餃子」という説明がされている。わかりやすい表現だが、餃子よりも小籠包に近く、羊肉と野菜が包まれている。タレが爽やかな辛さで、たっぷりつけて食べるとおいしい。
モモはネパール料理の代表的なスターなので、気に入ったらさらに専門的な料理を供してくれるネパール料理の専門店に行ってみるとさらなる発見があるかもしれない。わたしもモモのデビューはインド・ネパール料理店からで、入門させてくれて感謝している。
国境を自在に超えた創作料理を発見することもある
インド・ネパール料理店は「本場である」ことにこだわらないので、時にミラクルな料理を発明する。この店の場合は、「ネパール風担担麺」。
先述のチャオミンをスープつきにし、さらに唐辛子を入れて辛味をつけているのだが、単なる思いつきをはるかに超えたレベルの味のハーモニーを醸し出していて、わたしは何度も食べている。グランドメニューからは外れてしまっているので、作ってもらえるか確認が必要ではあるが、わたしはほぼ毎回頼んでいて、カレーは頼まないことが多い。
「本格的ではない」というイメージがあるかもしれないインド・ネパール料理店。しかし多国籍料理店ならではの魅力を持っている。
外食をしたいが、「このご時世で、専門店は遠くにしかなくて行きづらい……」と思っている方は、ぜひ近くのエベレスト的な名前のインド・ネパール料理店に訪れて、目を皿のようにしてメニューを見てほしい。きっと新しい発見があるはずである。
紹介したお店
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください。
著者プロフィール
ライター。主著は『マイナス思考法講座』『忍耐力養成ドリル』『モテる小説』。ブログ「ココロ社」も運営中。
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Twitter:ココロ社 (@kokorosha) | Twitter
Source: ぐるなび みんなのごはん
「インド・ネパール料理店」にしかない特別な魅力について