こんにちは。あなたはレンコンをどれくらい好きですか。
私は最近になってレンコンの魅力にパッチリと開眼しました。なぜならレンコン掘り放題に参加して(その模様はデイリーポータルZでどうぞ)、たくさん手に入れたので食べまくったら、どうやって食べてもおいしかったからです。レンコン大好き!
楽しかったレンコン掘り放題(卒業式の「呼びかけ」風に読もう)。
こんなに食べられるか心配でしたが、まったくの稀有でした。なぜならおいしいから。
ということで、レンコンを食べまくった記録を延々と紹介させていただきます。
ですがその前に、私が調理しながら学んだことを予備知識としてお伝えします。レンコンは場所によって食感が結構違います。先にある節はシャキシャキしてゴボウっぽく、根元側の節はホクホクしてイモっぽかったのです。
その理由を調べたところ、レンコンが澱粉を蓄えながら伸びていくため、同じレンコンでも最初に育った部分(根元側)は澱粉質、後から伸びた部分(先端側)は繊維質になるようです。
右側が根元側、左側が先端側。一般に流通しているのはこのレンコンだと真ん中の二節でしょうか。
先端側のカニ爪みたいな節を「芽ハス」と呼び(関節部分からヒョロリと出た細長い部分を芽ハスと呼ぶ場合もある)、成長途中だからこその柔らかさとシャキシャキ感を好む人も多いようです。
ただ傷みやすい部分のため、産地以外ではなかなか流通していません。食感にこだわりのある方は、直売所などで芽ハスを見かけたらぜひ試してみてください。
芽ハスの存在を私も初めて知りました。
繊維っぽさが強い。写真だとわからないですが。
丸ごとの新鮮なレンコンなら、水に浸けた状態で冷暗所で保管すれば1ヶ月くらい日持ちするそうです。2週間で食べきってしまいましたが。少量であれば濡れた新聞紙に包んで冷蔵庫に入れてください。
レンコンを揚げる
まずはレンコンを揚げまくりましょう。レッツ、フライ。
レンコンチップス
掘らせていただいた生産者の方にオススメのレンコン料理をうかがったところ、レンコンチップスが一番人気とのことでした。
作り方はとても簡単で、レンコンを薄くスライスして、ただ油で揚げるだけ。レンコンの厚さを確認しなかったのですが、まずはポテトチップス風にスライサーで薄く切ってみました。皮をむいたり、水にさらしたりはしていません。
180℃の油でサッと揚げてみます。
味付けは少量の塩だけ。
これがうまいんだ。
塩味によって引き立てられた自然な甘味がしっかりと感じられます。先端寄りの節を使ったこともあり、ポテトを超えるザクザク感が素晴らしい。さすが生産者さんが勧める食べ方だけあって、残り全部のレンコンをこれにしても食べ切ってしまいたくなりました。
レンコンの皮はむかずにタワシでよく洗っただけですが、まったく問題はなさそうです。皮の色が気になる料理以外は、わざわざむかなくてもよさそうです。
フライドレンコン
今度はフライドポテト風に厚切りで揚げてみましょう。皮ごと厚く輪切りにしたところ、このままだとちょっと一口には大きいので細切りにして揚げました。
170℃の油で、泡が小さくなるまでじっくり素揚げします。
漂白していないレンコンなのでちょっと黒くなっている部分もありますが、泥で育つのだからと気にしません。傷んでいなければ問題なし。
これがまたうまい。
厚切りだからこそ楽しめるねっとり感がいいですね。レンコンの味もすごく濃く感じられます。
フライドレンコンの縦切り
次は切り方を90度変えて、よりフライドポテト風の縦切りにしてみましょうか。使ったレンコンは澱粉たっぷりの根元側です。
レンコンを縦に切るのは人生初かもしれません。
揚げている様子はほとんどポテト。
穴の感じられないレンコン料理って斬新。
これもまたうまい。
ザックリだけどモッチモチ。食感は太切りのフライドポテトっぽいのに、サツマイモに近いほどの甘さで、その正体はまさかのレンコン。自分で作っておきながら脳が混乱してきました。
レンコンの唐揚げ
これまでは素揚げに塩というシンプルな食べ方でしたが、鶏の唐揚げ風に下味と衣をつけてみましょうか。竜田揚げと呼んだ方がいいかもしれません。唐揚げと竜田揚げの違いって難しいですよね。
切り方は食感重視で縦切りにしてみました。
ニンニク、ショウガ、醤油を揉みこみます。
片栗粉をまぶしてカラっと揚げましょう。
はい、揚がりました。
これがまあうまい。
しっかりとつけた下味がレンコンの風味を消すことなく、わかりやすくおいしさを引き上げてくれています。名古屋で手羽先の唐揚げを食べているくらいの満足感。なんらかの権力があれば居酒屋のメニューに追加したい味。
気分や飲み物に合わせて、素揚げか唐揚げか、選ぶ楽しみがレンコンにはあります。
ハッシュレンコン
朝マックでたまに食べるハッシュポテトが好きなのですが、先日、一部店舗で販売休止というニュースが流れていました。食べたいときに食べられないのは悲しすぎます。そんなときのためにハッシュレンコンを試してみましょう。正直に言えば、ただ作ってみたいだけですが。
これは実際に試してわかったのですが、レンコンはぶんぶんチョッパーなどの手動みじん切りマシンで、とても簡単に切ることができます。気持ちいい!
あっという間にみじん切り。紐を引く回数で細かさも調節可能!
ハッシュポテトを作ったことがないのに、いきなりハッシュレンコンというアレンジ料理を作っている訳ですが、あれってどうやって作るんですかね。そもそも家で作れるのでしょうか。
みじん切りだけだと油に入れた瞬間バラバラになりそうなので、おろしたレンコン、片栗粉、薄力粉を適当に混ぜてみましょうか。
こんなもんでどうでしょうか。
ハッシュポテト風に平べったく揚げたいので、クッキングペーパーにのせて油に滑り込ませる作戦を試します。
ジュワワワワ。固まったら油の中でクッキングペーパーをそっと剝がします。
ちょっと黒いな。皮をむけばもうちょっと近い見た目になったはず。
これが予想外にうまい。
ハッシュポテトというよりは浅草名物雷おこしっぽい姿とか珍しい鉱石みたいですが、みじん切りのザクザクとすりおろしのモチモチが見事に混在していて、一口で二度おいしい揚げ物になりました。
当たり前ですがポテトとはまったくの別物ながら、レンコンの新しい可能性を発見したといえるのでは。朝マックの期間限定メニューに登場する日は近いかもしれません。
レンコンのエビはさみ揚げ
レンコンの揚げ物といえば、エビのすり身をはさみがちなイメージはありませんか。私はあります。食べた覚えはほとんどないですが。
エビのはさみ揚げといっても、エビのハサミ(手)を揚げる訳ではないですよ。さあ、あなたも一緒にはさみましょう。
ネギとエビとショウガと塩をよく混ぜます。
輪切りにして片栗粉をふったレンコンで挟みます。
分裂しないことを祈りながら170℃の油でしっかり揚げます。
はい、揚がりました。レンコンがもう少しだけ薄い方がいいかな。
なるほど、うまい。
これを食べれば人類がレンコンにエビをはさみがちな理由を理解できることでしょう。上下で感じる厚切りレンコンのザックリ感からの、粗く刻んだエビのブリブリ感。顎に力を入れると変わっていく歯ごたえのコントラストがドラマチック。
途中でバラバラになるかと不安でしたが、意外と大丈夫だったので心地よい達成感を味わえたのもポイントです。
辛子レンコン
そろそろ定番を外れてきたくなったので、聞いたことをはあるけれどまだ実物を一度も見たことがない憧れの料理、熊本名物の辛子レンコンに挑戦してみます。
レンコンの穴に練り辛子100%を詰めたものだとずっと勘違いしていたのですが、作り方を調べてみたところ、あえて辛子だけで作っている人がいるかもしれませんが、麦味噌に粉辛子を混ぜた「辛子味噌」を詰めるのが正解のようです。レシピによってはオカラを入れたりもするとか。
今回は麦味噌に重量比1割の練り辛子を混ぜたものを詰めてみます。ちょっと守りに入った割合かもしれませんが、初心者なので許してください。
辛子レンコンの辛子味噌には九州で愛されている麦味噌が定番だとか。
レンコンを12分茹でます。
よく見たら穴がたくさんあって花火みたい。
辛子味噌をグイグイと詰めます。がんばれば押し込めるくらいの粘度。
逆から出てきました。
思いのほか作るのが楽しい料理ですね。家庭で作る料理じゃないような気もしますが。
これで終わりではありません。辛子レンコンはなんと揚げ物なので、衣をつけて揚げます。衣も黄色くするのですが、ここは辛子でも味噌でもなく、ウコン(ターメリック)を使うのが定番のようです。
薄力粉と水を同量で混ぜて、ターメリックで色をつけました。
辛子マヨネーズみたい。
油の量が足りずに全体が浸かりませんでした。まったく家庭料理に向いていません。
一見するとサツマイモのスウィーツみたいな料理になりました。
さあ、断面を確認してみましょう!
どうかな?
ちゃんとできている!
手作りの辛子レンコン、意外と完成度が高い!
鼻にツーンとくる辛さがうまい。
いまだに本場の辛さがわからない料理ですが、個人的にはこれくらいの刺激がちょうどいい感じです。カレーで言うと大人向けの辛口くらいでしょうか。なんとも焼酎によく合いそうな味です。
わざわざ揚げる必要はないかなとも思ったのですが、ホックリと茹でたレンコンをサックリと包む衣も必須ですね。また機会があれば、今度はもう少し辛子の割合を増やして作ってみます。
簡易版辛子レンコンと明太レンコン
さすがは熊本で長らく愛されている辛子レンコンだけあって乙な味でしたが、作るのはちょっと面倒くさい。そこで簡易版の辛子レンコンを考えてみました。ついでに明太レンコンも作りましょう。熊本と福岡の超強力タッグ結成です。
下茹でをせず輪切りにしたレンコンに辛子味噌と明太子を詰めて、天婦羅にするという作戦です。
具が全部こぼれるかもと思いましたが、意外と大丈夫でした。
左が明太子、右が辛子味噌。ちょっと衣が薄かったかな。
簡単なのにちゃんとうまい。
まず辛子味噌詰めを食べてみると、ちゃんと辛子レンコンです。辛子味噌が焦げたことで香ばしさもプラスされています。下茹でしないからこそ実現したサックリした歯ごたえもいいですね。レンコンって天婦羅にあう野菜なんですね。ってそれはみんなもう知っていますね。
明太子ももちろん合います。何もつけなくてもちょうどよい味に仕上がってます。さすがは明太子、酒を飲ませる力、米を食わせる力がすごい。もし私が居酒屋を始めるとしたら、この2つをメニューに入れたいところです。
レンコンを焼く
続いてはレンコンを焼いていきましょう。それにしてもこの記事、どんなレンコンよりも長くなりそうな予感がしてきました。
レンコンの縦切り横切り焼き
レンコンは場所によって味が違うという話を最初にしましたが、切り方によって変わることも揚げ物で確認済み。
そこでさらに理解を深めるため、厚さ1センチの縦切りと横切り(輪切り)を、じっくりオリーブオイルで焼き比べてみましょう。
同じ節を縦と横に厚く切って食べくらべます。
ものすごくおいしそう!
さて味の違いはどれほどあるのでしょうか。
どっちもうまい。
繊維を生かした縦切りはホクホクのザクザク。繊維を断ち切った横切りはホクホクのネットリ。切り方だけでも食感の違いがはっきりと表れました。どっちが好みなのかは、一生迷い続けたいと思います。
じっくり焼いたことで、キャラメリゼしたかと思うほど表面がパリッパリなのもたまりません。レンコン好きなら今すぐに切り方の食べ比べを試しましょう。
糸くずかと思ったらレンコンの食物繊維でした。こんなにはっきりしているとは。
レンコンとラムのクミン炒め
ちょっとエスニックに舵を取り、縦切りしたレンコンをラムと一緒にクミンと塩で炒めてみました。
何も言わないでこれを出したら、まったくレンコンだと思わなそうです。
タケノコと間違えそう。
これも当然うまい。
レンコンは穴ありきなので輪切りにしがちでしたが、縦に切ることで他の食材と形を合わせることができるという発見。我々はレンコンの魅力を知らな過ぎたのかもしれません。
レンコンの青椒肉絲
クミン炒めを食べてタケノコっぽいなと思ったので、どうせならさらにタケノコに寄せてみましょう。もっと細く切って、青椒肉絲(チンジャオロース)にしてみました。
牛肉とピーマンとレンコンを、オイスターソースなどで適当に炒めます。
まさかこれがレンコンだなんて!
細切りにしてもうまい。
タケノコほどはっきりした歯ごたえではありませんが、この優しい仕上がりだからこそ、薄味でもおいしく食べられます。
レンコン入りペペロンチーノ
私は炭水化物が大好きなので、ペペロンチーノに歯ごたえ担当としてレンコンを加えてみたくなりました。そんなの食べる前からおいしいとわかってしまいますが、やってみましょう。
オリーブオイルでニンニクと唐辛子を炒め、歯ごたえ重視で角切りにしたレンコンを加えます。
ゆで汁を少し入れて煮詰めてから、パスタを合わせて塩だけで味を決めます。
ベランダに生えていたパセリを散らしてできあがり。
これがやっぱりうまい。
レンコンはペペロンチーノの持つ良さをまったく消すことなく、歯ごたえという大きなプラス要素を加えてくれます。足しましょう、レンコン。
レンコン入りチャーハン
パスタがアリならチャーハンだって間違いないおいしさのはず。冷蔵庫にあったチャーシューとパクチーの硬いところでサササっと作ってみます。
パクチーのチャーハンなんて作ったことないですが。定番のネギも卵は入れません(冷蔵庫になかったので)。
炊き込みご飯風の地味な色合いになりました。
これも当然うまい。
見た目はかなり地味ですが、レンゲでモリモリと口に運ぶ爽快感たるや。料理に歯ごたえって本当に大事ですね。
レンコンのチヂミ
炭水化物とレンコンの相性の良さが証明されたところで、韓国料理のチヂミを作ってみましょう。厚切りや角切りの歯ごたえにもう夢中ですが、チヂミなら薄切りレンコンのポテンシャルを生かすことができるはず。
チヂミに使う粉は米粉だったり片栗粉だったり多種多様ですが、今回は薄力粉でシンプルに作ってみます。どちらかといえばお好み焼きかもしれませんが、呼び方なんてレンコンの魅力の前ではどうでもいい話なのです。
薄力粉と薄切りにしたレンコンと水を適当に混ぜました。
たっぷりの胡麻油で焼きます。
チヂミにしては粉が多すぎたかもしれません。醤油をかけて食べます。
改良の余地はあるけれどうまい。
何も調べずに作ったのでチヂミとしての完成度はかなり低めですが、レンコンと粉を混ぜた薄い食べ物という方向性に無限の可能性を感じます。
生地にもっと工夫を凝らして具を増やせば、さらにおいしいレンコンチヂミがいくらでも作れそうです。
レンコンのチーズ焼き
チヂミの小麦粉をピザ用チーズに置き換えて、レンコンと一緒に焼いてみましょう。混ぜてから焼くと塊になってしまいそうなので、きれいに広げてから焼きます。
フッ素コーティングのフライパンにチーズを並べます。
スライサーで薄切りにしたレンコンを並べて、そのまま焼きます。
ひっくり返しました。美しい!
ピザ風に切ってみました。
この薄さがいいんですよ。
しょっぱいけどうまい。
チーズの塩分がちょっと多いですが、だからこそのおいしさがあります。久しぶりに白ワインでも買ってこようかという気分にさせる舶来風の味。オシャレ。
レンコンを超えるチーズのザックザク感も素晴らしい。これは見事な歯ごたえのツープラトン攻撃。ピーマンやサラミを追加して、もっとピザに寄せてもいいかも。なんならピザにレンコンを乗せたくなりました。
レンコンを煮る
レンコンといえば煮物でしょう。さあ、煮ましょう。
大丈夫、レンコンはまだまだたくさんありますから。
レンコン入りの煮物
干し椎茸と昆布でだしを取り、鶏肉、コンニャク、ニンジン、ゴボウ、そしてレンコンなどを煮ます。なんだか正月っぽい気分になりますね。
筑前煮とか、がめ煮とか、お煮しめとか、いり鶏とか、好きな呼び方でください。
醤油と味醂で味付けしました。
たまに食べるとおいしいですよね。
予想通りの味でうまい。
何度も食べたことのある味ですが、すっかりレンコンが好きになった私なので、記憶にある煮物よりもおいしく感じます。好きになるってこういうことなんですね。
味の染みた厚切りレンコンってしみじみおいしい。
レンコンと豚の塩煮
もっとレンコンをストレートに味わうために、大振りに切ったレンコンと骨付きの豚塊肉だけを塩で煮てみました。きっとレンコン好きにはたまらない味になるはず。
レンコンは芽ハスと根元部分を両方入れてみました。
はい、煮ました。
シンプルでおいしそう!言い換えると地味!
うまいけどちょっと飽きる。
先ほどの煮物に比べると、食事としての物足りなさがすごい。これをどうにかすれば、もっとおいしくなるんだろうなという味。レンコンがさすがに大きすぎました。
さて、どうしましょうか。
芽ハスが絶対商品として並ばないレベルで繊維質すぎるやつだったので、しっかり煮ても繊維が残ってしまう。
レンコンたっぷりスープカレー
豚との塩煮がもう一息ということで、急遽北海道名物のスープカレーに変換してみました。困ったらカレー粉です。
レンコンと豚肉を食べやすい大きさに切って、カレー粉とおろしニンニクを加えて煮なおし、適当な具を足します。繊維が強すぎた芽ハスは縦切りして素揚げにしてみました。
揚げたサバと炒めたキノコを追加招集。
ほっくりした澱粉質の煮込み根元レンコンと、ザクザクの歯ごたえが楽しめる煮揚げ芽ハス、両者が見事に花開きました。レンコン料理はやはり適材適所ですね。
カレー味という拠り所を見つけたことで、単調だった料理に突破口を見出した喜び。スープカレーとしてはまだまだ薄っぺらいですが、今後の人生を豊かにつながる一皿となることでしょう。
レンコンのパチャディ
北海道から急に南インド料理へと飛びましょう。大きめの角切りにしたレンコンを焼き、ココナッツやヨーグルトを煮込んだパチャディという料理に入れます。
なぜなら最近、南インド料理にハマっているからです。詳しい作り方はこちらをどうぞ。
これだけでもうおいしい焼きレンコン。
パチャディに入れて軽く煮ます。
なんだか竹輪に見えますね。
異国情緒がうまい。
インドでレンコンを食べるのかはちょっとわかりませんが、パチャディにレンコンはすごく合います。パチャディの味がイメージしづらいとは思いますが。レンコンの魅力は軽々と海を越えたことをご報告いたします。
レンコンを蒸す
揚げる、焼く、煮るときたら、そろそろ蒸したいですよね。
レンコン入り茶碗蒸しかと思ったらすり流し
レンコンの食べ方をSNSでざっくり聞いたところ、「茶碗蒸しにするとおいしいよ!」と数名から勧められたのですが、どうやって入れるのが正解でしょうか。
薄切りか、角切りか、あるいはすりおろしか。かなり迷いましたが、すりおろして卵液に加えてみることにしました。
いつも作る茶碗蒸しは卵と出汁を1:3で作りますが、卵と出汁とレンコンを1:2:1の割合にしてみます。
卵、おろしたレンコン、だし汁を混ぜます。
滑らかな口当たりにしようと濾したら、ザルにレンコンがたっぷりと残りました。不安しかありません。
ザルに残ったレンコンを先に入れます。これが具ということで。
アルミホイルでフタをして12分ほど蒸します。
彩りに三つ葉を乗せました。
プリンの空き容器で茶碗蒸しを作ろうとした罰が当たったのかも。
うまいけど全然固まってない。
おかしいですね。レンコンを入れる場合は卵の割合を増やさないとダメなのでしょうか。でもこれはトロトロでおいしい食べ物になったので、レンコンのすり流しということで消化していきましょう。これで来年度の課題ができたということで。
レンコンおこわ
蒸すといえばおこわです。レンコンたっぷりのおこわを作ってみましょう。
浸水させたもち米と、大きめに切ったレンコンを蒸します。
圧力鍋で35分蒸したら、なぜかレンコンに色が付きました。
塩をパラリとかけていただきます。
これだけで満足できるくらいうまい。
レンコンのおこわ、初めて食べましたけどいいですね。ホックリと蒸しあがって、クリやサツマイモのようですが、そこまで甘くないところが奥ゆかしい。おかずがなくてもバクバクいけるおいしさです。
糯米蓮根
中国には金木犀の香りがする糯米蓮根という、レンコンにもち米を詰めた甘い料理があるそうです。まったく味の想像ができませんが、そういう料理こそ作ってみたくなります。
浸水したもち米を穴に詰めます。穴に何かを詰めたくなるのは万国共通の本能でしょうか。
楊枝で固定して1時間しっかり蒸します。この料理はヴィジュアル重視で皮をむきました。
米が膨張しています。
金木犀の花を買ってきました。こんなことなら咲いている時期にどこかで集めておけばよかった。
砂糖、ハチミツ、水を8:1:1くらいの割合で混ぜて、金木犀を加えて煮立たせます。
もち米入りのレンコンにシロップをかけながら10分ほど煮ます。
常温まで冷めたら、袋に入れて冷蔵庫で一晩味を染みこませましょう。
シロップがちょっとゆるかったので、少し煮詰めて冷まします。
輪切りにしたら完成。シロップ自体は完熟の柿みたいな味がします。
甘いレンコンなのにうまい。
まったく初めて食べる料理ですが、たっぷりとシロップを吸ってサトイモのような歯ごたえに仕上がったレンコンには異文化感が煮詰まりまくり。穴に詰まったもち米は、ヤリイカやイイダコの卵のようにネチネチしています。これはすごい料理だ。
フワっと香る色鮮やかな金木犀の存在がなければ、見た目と味がまったく一致しないことでしょう。中華のコース料理にこれが一切れあると、場がすごく盛り上がりそうです。ただこの味で本当に正解なのかは、ちょっと自信がありません。
糯米蓮根、いつか本場で食べてみたいですね。
レンコンを混ぜる
ここまではレンコンを使った料理であることを前面にアピールしてきましたが、きっと姿を隠して影から支える存在に徹しても、レンコンは優秀な働きをすることでしょう。
あなたもいろいろな料理にこっそりレンコンを混ぜてみませんか?
レンコン焼売
餃子か焼売か迷いましたが、レンコンを楽しむためにより皮が薄い方ということで焼売をセレクト。具は豚挽肉6:レンコン4の割合でよく混ぜて、おろしショウガ、醤油、酒、塩、うま味調味料で味をつけます。
自分用にメモを残すと、豚300g、レンコン200g、ショウガ5g、醤油10g、酒10g、塩3g、うま味調味料少々。これで15個分になりました。
グリンピースの代わりにレンコンをのせておきましょう。
ハクサイを敷いて10分間蒸します。
できました。
醤油と自家製柚子胡椒でいただきます。
手作りの焼売って無茶苦茶うまい。
レンコンと関係なくおいしいのですが、食感で楽しませてくれるレンコンが入ることで、焼売を食べる喜びが二段階アップしています。もっと荒く切ってもよかったか。
焼売を手作りする機会はこれまでほとんどなかったのですが、これからは餃子以上に作ることになるかもしれません。そのときはもちろんレンコンを入れますよ。
レンコン餅
SNSで複数推薦されたレンコン餅という謎の料理、これはどんな食べ物なのでしょうか。あえて調べないで作ってみましょう。
おそらくすりおろしたレンコンに白玉粉や片栗粉を混ぜて焼いたものだと想像しますが、私の目に入ったのは食べ残しの鏡餅。レンコンと餅で作ってこそ本当のレンコン餅だと信じて進みます。
チーズを削るグレーターという道具で鏡餅を削ります。どうにか削れますが、鏡餅はかなり硬いため道具がダメになるので真似をしてはいけません。
レンコンは柔らかいのでおろしやすいですね。
餅100g、レンコン170gを混ぜます。
このままだと固まる気がしません。
つなぎに片栗粉10gを投入。ギリギリまとまってくれました。
戻りの悪いマッシュポテトのような生地を無理やり丸めて、フライパンで焼いてみましょう。
焼くことで餅が溶けて、意外とレンコン餅という名前らしい食べ物になりました。
海苔で巻いて醤油で食べましょう。
これがちゃんとうまい。
レンコン餅の正解はまったくわかりませんが、これをレンコン餅だと出されたら、作り方を聞きたくなるくらい気に入りました。「まず鏡餅をおろします」と言われたら作らないとは思いますが。
レンコンはすりおろしてもホクホク感とザクザク感があり、それでいて餅なのでネットリという新食感。昔の人が旧正月あたりに食べたご馳走は、こんな味だったのかもしれません。お年寄りが安心して食べられるお餅として人気が出るかも。
レンコン入りハンバーグ
ハンバーグに加えるという使い方もレンコン好きの間では定番のようです。合挽肉6:粗挽きレンコン4の割合で混ぜて、軽く塩胡椒をしておきます。あえてつなぎは入れません。
さすがにレンコンが多すぎるかな。
よく捏ねて小判型にまとめます。
肉を買う時にもらっておいた牛脂で焼きます。
肉汁にケチャップとソースを混ぜて煮詰めた懐かしいソースをかけてできあがり。
文句なくうまーい。
材料の4割が野菜というヘルシーハンバーグなのに、軟骨っぽい歯ごたえのレンコンなので肉100%よりも肉っぽく感じます。ちょっとレンコン、万能すぎやしませんか。
レンコン入り魚肉ハンバーグのようなもの
肉と合わせておいしいのならば、魚と一緒にしてもおいしいはず。季節の魚であるタラと合わせて魚肉ハンバーグにしてみましょう。
生のタラを使ってみます。
レンコンとタラをみじん切りにして、ふわっとさせるため卵を入れてみました。
卵がちょっと多かったかなと思いながら焼きます。
ショウガ醤油で食べてみましょう。
よくわからないけどうまい。
ハンバーグなのか、つみれなのか、お好み焼きなのか、卵焼きなのか、私は何を作りたかったのかまったくわからなくなりましたが、おいしいことは確かです。焼かずに揚げてもおいしい練り物になりそうですね。
地方の居酒屋にフラッと入っておまかせでつまみ頼み、こういう微妙に自分の持つ固定概念から外れた料理と出会うとうれしいものです。
レンコンから澱粉を取り出す
冬のレンコン祭りもそろそろクライマックスの時間がやってきました。根元側のレンコンを使って、澱粉を精製してみたいと思います。ちょっともったいないですが、私は澱粉づくりが趣味なのです。
澱粉作りといっても難しいことはありません。小学生の頃に理科の実験でジャガイモから澱粉を作ったことがありませんか。あれと全く同じ作り方で大丈夫。
適量の水とレンコン530gを強力なミキサーで砕きます。澱粉の白さにこだわるなら皮はむいてください。
砕けました。
不織布の袋に入れて、水を入れたボウルの中で揉んで澱粉を絞り出します。
この白いモヤモヤが澱粉です。
よーく揉んでから硬く絞ります。
一晩沈殿させて上澄みの水を捨て、もう一度水を加えて、よく混ぜて沈殿させます。
ボウルの底には乳白色の澱粉がたっぷり。
ベランダに置いて乾燥させると、53gの澱粉が精製できました。ちょうどレンコンの10%、なかなかの成績だと思います。
わらび餅のようなレンコン餅
このようにして作ったレンコンの澱粉を使って、わらび餅のようなものを作ってみましょう。これをレンコン餅って呼ぶと、この記事で何回目のレンコン餅だよってなりますね。
ちなみに本来のわらび餅は山菜のわらびの根から作った澱粉で作りますが、近年はサツマイモやキャッサバの澱粉から作られることも多いとか。レンコンの澱粉が配合されることもあるようです。
レンコン澱粉50g、砂糖25g、水250gでやってみましょう。
よく混ぜます。
フライパンで温めながら練ると、だんだんモッタリとした半透明のスライムみたいになってきます。
水に入れて冷やして、適当に切ります。
金木犀のシロップが余っていたので使っちゃいましょう。
これは上品でうまい。
当たり前ですがこれまでのレンコン料理にはないクニュクニュとした食感がたまりません。歯で押した分だけ素直に沈む超低反発。これで枕を作ったらぐっすりと眠れそうです。
一部白く硬くなってしまったのは、加熱のし過ぎか、混ぜ方が悪かったからか。令和のレンコン餅職人になるには、まだまだ修業が足りないようです。
葛切りのようなレンコン切り
まだ澱粉が残っているので、今度は葛切りの作り方でレンコン切りを作ってみましょう。レンコン切り、名前だけ聞くと意味が分かりませんね。
熱湯に浮かべたバットに、レンコン澱粉35gと水80gをよく混ぜて流し込んで湯煎します。固まったら全体をお湯に入れちゃいます。
半透明になったら水に入れて、優しく剥がします。
片栗粉や本葛粉に比べると、かなり粘りが強いかも。
適当な幅に切ります。
これも同じく金木犀のシロップでいただきましょう。
食感が独特でうまい。
すっごいクニャクニャ。薄いんだけど噛み応えがあって、意外と暴れん坊なのがレンコン切り。それでいて実態がなく、深海に潜むクラゲみたいな謎食感。なんだこれ。
ずいぶん粘りの強い澱粉ですね。クリームあんみつに入れるとおいしそう。
レンコンの搾りかす餅
澱粉の搾りかすももったいないので食べました。これもレンコンですからね。
おいしくなさそうですが、捨てるのはちょっとね。
失われた澱粉を片栗粉(ジャガイモ澱粉)で移植するという、神をも恐れる所業。搾りかす180g、片栗粉80g、水100gを混ぜます。
牛乳パックから再生紙を作るエコな実験みたいになってきました。
適当に丸めて焼きます。
おや、おいしそう。醤油をかけて食べましょう。
捨てようか迷ったけどうまい。
腐ってもタイ、絞ってもレンコン。ジャガイモの澱粉に助けられたこともあり、もっちりした食感に仕上がっています。なんだ、おいしいじゃないですか。レンコン澱粉の業者は絞った残りをどうしているんですかね。
ありがとう、ジャガイモ!
ということで、飽きるよりも早くレンコンがなくなったのでした。
これだけたくさん食べたのに、振り返ってみればレンコン料理の定番であるキンピラとか酢の物を全く作っていませんね。それに内臓肉とレンコンを一緒に煮て「どちらもホルモン(掘るもん)」と言えばよかった。他にも試してみたい料理はたくさんあるので、来シーズンにでもまたレンコン料理を作りまくりたいと思います!
Source: ぐるなび みんなのごはん
可能性は無限大! レンコン料理を思いつくままに作りまくってみた