インド亜大陸の料理全般に詳しく、日本国内のディープな店を食べ歩いているアジアハンター(調理器具や食器のネット販売店)の小林真樹さんに、最近オススメの店を伺ったところ、2020年1月にオープンした経堂(小田急電鉄小田原線経堂駅/東京都世田谷区)の「スリマンガラム(Sri Mangalam)」を強く推薦していただいた。
日本ではまだ珍しい南インド料理を極めたシェフであるマハリンガムさんがトップに立つ店で、チェティナードの現地スタイルそのままが食べられるのだとか。
小林さんがここまで熱く語るのだから、きっと本物なのだろう。チェティナードがどこなのかさっぱりわからないが、とりあえず行ってみることにした。
「マハさんのワダ(豆で作るドーナツ)は全然違うんですよ……」と恍惚の表情で語る小林さん。著書に『日本の中のインド亜大陸食紀行』(阿佐ヶ谷書院)、『食べ歩くインド』(旅行人)があり、来年1月には『日本のインド・ネパール料理店(仮)』の出版も予定している。
土日限定のモーニングティファンがすごかった
小林さんの話によると、スリマンガラムでは土日限定でモーニングティファンをやっていて、それがなにやらすごいらしい。
ティファンとは朝食や昼過ぎの間食として食べる軽食のこと。その営業時間は朝の7時スタートでラストオーダーが9時と、まさにモーニングなティファンなのである。
小林 「シェフのマハさんは南インドのタミル・ナードゥ州南部のちょっと田舎が出身で、ヴィレッジスタイルと呼ばれる伝統を大切にしている。モーニングティファンはまさに現地スタイルそのままで、インドのローカルレストランを食べ歩いた人なら、このすごさはわかると思いますよ。
特におすすめなのがワダ。私もインドで名店を探してかなり食べ歩いたけれど、その中でもトップクラス。ちゃんと温度にもこだわっているから温かい状態で出してくれる。日本だとイカリングかよっていうワダを出す店もあるけれど、ここのは全然違います。ワダの良さがわからないっていう人にも食べてほしい」
早朝から経堂まで南インド料理を食べにくる人はどれくらいいるんだろうと不思議に思いながら早起きをして土曜日の午前8時に到着すると、店内はほぼ満席の状態だった。タイミングによってはお客さんが並ぶこともあるらしい。
一見するとよくあるインド料理店のようだが、小林さんに言わせると頭二つくらい飛び抜けた存在らしい。
トップシェフのマハリンガムさん、通称マハさん。安心してほしい、あくまで写真である。
スリマンガラムのモーニングティファンが大人気の理由は、私にもすぐ理解ができた。圧倒的に楽しく、そして美味しいのである。
まず手をよく洗って席に座ると、テーブルにバナナの葉っぱが直に敷かれる。どうしたらいいのかわからずにポカーンとしていると、この店に何度か来たことがある同行の友人から、コップの水を垂らして葉っぱを指でこすりあらいするのだと教えてもらった。
すごい、もはや私はインドに来たのでは。久しぶりの旅気分だ。
衛生的な意味よりも、お清め的な意味が強いのかな。
ティファンのメニューは、イドゥリ(米と豆を発酵させた蒸しパン)、ワダ(豆の甘くないドーナツ)、ドーサ(米と豆を発酵させた生地を薄焼きにしたもの)といった日本でも多少はおなじみになってきた料理に加えて、ポンガル(米と豆のおじや)、セミヤウプマ(砕いた細いパスタの炒り煮)、ウタパム(厚いドーサの生地に刻みタマネギを乗せて焼いたもの)など、味の想像がつかないマニアックなものまで揃っている。
胃袋が3つ欲しい。近所だったらテイクアウトするのだが。
いきなりセミヤウプマを攻めてみたい気持ちもあるが、とりあえず初回なのでイドゥリとワダのセットを注文。ドーサやポンガルもすごく気になる。次はいつ来られるかなと、もう2回目の来店を考え出している。
注文をすませると、しばらくして熱々の主食をマハさん自ら運んできてくれた。
モーニングティファンでは、どのメニューもメインとなる炭水化物に加えて、サンバル(豆と野菜のスパイス煮込み)とチャトニ(豆やスパイスのペーストでココナッツと週替わりの2種)がついてくる。
それらはメニューの写真通りカトリ(銀色の容器)に入れられて来るものだと思っていたが、圧倒的に良い意味で予想を裏切る展開が待っていた。
3連の容器に入ったサンバルとチャトニを、お玉ですくって豪快にバシャーっと掛けてくれるのだ。そしてサンバルとチャトニはおかわりのサービスがあるようで、なくなるとさらにバシャー。もう最高のエンタテインメントである。
これを食べるのは、もちろんよく洗った自分の手だ。フカフカかつモッチリと蒸されたイドゥリ、そして外側はカリっとしつつ内側はしっとりという最高の揚げ具合のワダは、持った瞬間にうまいということが指先から伝わってくる。マハさん曰く、ベーキングソーダなどを使わない無添加のティファンとのこと。
溶けた野菜の甘さを唐辛子がピリっと引き締めるドロドロのサンバルには、フレッシュのカレーリーフやトロトロのナスがたっぷり。5年間研究を重ねたサンバルパウダー(オリジナルミックススパイス)だからこその味らしい。ちなみにたまたま店にいたインド料理に詳しい知り合いによると、この店のサンバルは具や味付けにはバリエーションがたくさんあり、何度食べても飽きないのだとか。
白いココナッツのチャトニは、わざわざ生のココナッツを削って作るというこだわりの逸品で、口当たりが圧倒的に軽い。そしてオレンジ色の週替わりチャトニはちょっと辛く、これもまた食欲をアップさせる。サンバルとチャトニが混ざり合った境界線がまたうまい。
このように現地スタイルで出されるティファン、そりゃもう最高なのである。
ワダがとんでもなくうまい。この作り方を教わりたい。
ちなみに同行の友人は、ツイッター、インスタグラム、フェイスブックでお知らせする、メニューには載っていない限定メニューのモーニングスペシャル、マトンカレーとドーサのセットを注文していた。さすがリピーター。
あっさりしたスープながらマトン独特の旨味が濃く、これもまた最高だったそうだ。モーニングティファン、朝から食べたいものが多すぎる。ちなみに先週のスペシャルはエビカレーだったとか。
ドリンクメニューはカーピという南インドスタイルのミルクコーヒーと、ミルクティーのチャイ。
どちらもカップを細長く垂らして往復させて泡立てる、「エアブレンド」というマハさんの妙技が見られるよ。手早すぎて写真はない。
カーピ。甘くて苦くてフワフワで最高。
ランチにタミルスタイルのベジ・ミールスを堪能する
スリマンガラムで最高の朝食を食べた数時間後、今度は最高の昼食を食べるためにまた同じ店へとやってきた。同じ日に同じ店へと来るのは人生初の経験かもしれない。
南インド料理のランチといえばミールスだ。小林さん情報によると、この店のミールスは南インドの中でもタミル・ナードゥ州らしい味が楽しめるそうだ。
小林 「日本のインド料理店はインド各地の料理をミックスしたようなメニューが多いけど、マハさんのポリシーはノーミックス、オールタミル。厨房にもタミル人しかいません。
南インド料理とひとくくりにされがちですが、例えば隣り合ったケーララ州のミールスとはだいぶ違います。日本の料理だって関東と関西だと味付けが違うでしょ。いやもっと、日本と韓国くらい違うかもしれない」
もはや私の中では勝手に馴染みの店となったスリマンガラム。
ノンベジだと後述するカーラコロンブとポリヤルの代わりに、チキンかマトンのカレー、そしてチキンドライ(汁気の少ない鶏料理)となっている。たまにバナナリーフで特別なミールスを出すスペシャルデーもあるっぽいので、気になる人はSNSをチェック!
モーニングティファンとは内容が違うけど、ランチタイムのメニューにもティファンは存在する。そしてディナータイムならティファンもミールスもあるよ。
奥のカウンター席に座り、さっそくメニューを確認。ランチメニューにはベジミールスとノンベジミールスがあり、じっくり迷ってベジを注文。モーニングティファンであれだけ満足度の高いベジ料理を食べさせてもらったで、ミールスへの期待は大きい。
主食をポロタ、チャパティ、ライスから選べるカレーのセットも魅力的だが、それは同行の友人に攻めてもらおう。ナンはタンドール窯を使った北インドの料理なので、この店では選択肢に並ばない。
あえてベジミールスにしたのは、レシピ本の同人誌を作るために勉強した、ケーララ州のベジミールスとの違いを確認したかったからというのもある。同人誌「作ろう!南インドの定食ミールス」が11月21日から頒布開始なので、ぜひ買って作ってスリマンガラムの味と比べてみてください。
マハさんの作るタミルスタイルのベジミールスは、スパイスの使い方が贅沢かつ華やかで、野菜と豆のとろみがしっかりあり、パーボイルドという日本のご飯を食べなれた人からするとちょっと癖を感じる現地のライスと相まって、とてもおいしかった。
私が知っているケーララスタイルのミールスとは味の組み立てが全く違って、それぞれのおかずが力強い。一見すると全部茶色い汁にみえるおかず達だが、それぞれが個性を持っていて、それらが自然と混ざり合うことで新しい味が楽しめる。
これならノンベジでも全然物足りなさがない。ちなみにサンバル、ラッサム、ライスはおかわりが1回できるので量も十二分だ。
私が彦摩呂さんなら「ミールスは味の曼陀羅や~」と叫んだことだろう。
ボルシチなどに使う真っ赤なカブみたいな野菜、ビーツのポリヤル(蒸し炒め)。土臭さがスパイスと相まってうまいんですよ。
カラコロンブはちょっと辛いカレーだが、野菜の旨味がしっかりとある。ベジなのに濃厚でライスが進む。
クートゥは豆と野菜を煮込んだポタージュ的なもの。優しい豆の甘さがうれしい。
黒胡椒がしっかりと効いたラッサム。サラサラの汁だが、スープとして飲むのではなくライスにかけて食べる。
豆の野菜を煮込んだサンバル。これはもう何度食べても毎回おいしい。モーニングとはちょっと味が違うかも。
細いパスタをミルクで甘く煮たパヤサム。練乳のように甘いが、この味のメリハリが楽しいのだ。
ライスは籾の状態で浸水させて、蒸気で蒸して乾燥させてから精米したパーボイルドのポンニライス(中粒でパラパラの品種)で、タミルのミールスではこれが定番。私のように食べなれていない人がこれだけで食べると籾殻の香りがちょっと気になるが、ミールスの個性的なおかずと食べることで独特の食感と風味が最高の相棒になる。
ライスに乗っているのは豆粉の揚げ煎餅のアッパラム。そのままパリパリと食べたり、崩してライスやおかずに混ぜて食べる。
十分な量のおかずがあるベジミールスだが、日替わりのナスカレーがおいしそうだったので追加注文。プリっとした丸いナスが丸ごと入っていて、これがトロリとしていて抜群にうまかった。頼んで正解。
ナスには切れ込みが入っていて、しっかり味が染みている。
撮影の都合で手食は断念したが、次回はぜひ挑戦してみよう。
友人が頼んだカレーセットは、チキンカレーとギーダル(豆の煮込みにインドの精製バターのギーが入ったもの)で、主食は油を塗りながら伸ばした生地をグルグルと巻いて焼くポロタをセレクト。こちらもすごくうまそうだ。
カレーを2つ選ぶセット。ポロタ、チャパティ、ライスから選ぶ主食は1回おかわり可。
チキンやマトンといった定番のカレーも絶対うまいんだろうな。
シンプルな料理であるダールの味も気になる。
ごちそうさまでした!1日2回きてよかった!※撮影のためにマスクを外していただきました。
日曜限定のビリヤニもすごく気になる。
お任せだからこそ開くトップシェフの引き出しを堪能するディナー
そして同じ日の夜……ではさすがになくて、実はティファンとミールスを食べる数日前に、スリマンガラムをよく知る男の小林さんとマハさんに全部お任せのディナーを楽しんでいたのだ。
だから順番としてはこの夜の取材が先で、話を聞いたら朝と昼も来なければスリマンガラムの魅力は伝えきれないぞとなり、このような長い記事になった次第である。
スリマンガラムは時間帯によって別の顔を見せてくれる店。
どこの店で会っても濃い目のラムコークを飲む小林さんから、メニューにはない特別メニューを味わいつつ、この店とマハさんの魅力を熱く語っていただいた。
――料理人の看板がここまで大きいインド料理店って珍しいですね。
小林 「マハさんはすごくファンが多いシェフだから。幼少期からチャイ屋の掃除をやっていたような叩き上げの料理人で、まだ41歳だけど料理人生活は33年。インド時代の同僚に誘われて日本に来て、もう10年以上が経っている。彼くらいの実力があれば、アメリカとか中東へ行けばもっと稼げると思うけど、日本が気に入っているのかな。
向こうでは故郷のチェティナードはもちろん、バンガロール、カルターナタ、北インドなど、各地方でスタイルの違う仕事をしていたから、どんなインド料理も作れる凄腕シェフ。インド人はティファンならティファン、タンドールならタンドールと、ずっと同じスタイルで働くものという職業意識のコックが多いから、すごく貴重な人材です」
ファンの方から送られた素敵なポスター。
小林 「以前マハさんが勤めていた店に私がよく通っていて、そこで仲良くなったんだけど、コロナ前はよく人を集めて、彼にこれとこれを作ってくれって、メニューにないインド料理を作ってもらう会を頻繁にしていました。イレギュラーな注文にいい顔をしないシェフも多いけど、彼は頼まれると腕を振るってくれるタイプ。
何でも作れるけれど、この店でトップシェフとしてメニューを考えることになって、こだわったのが故郷であるタミル・ナードゥ州のチェティナードスタイルだった。多くのインド人は地元の料理こそがナンバーワンだと誇りに思っていますから。
だからライスも日本だと割高になるパーボイルドライスだし、生のココナッツも贅沢に使っています」
――かなり原価は高くなっても、そこはしっかりこだわるんですね。
瓶詰を出す店が多いピックル(ウルガイやアチャールとも呼ばれる酸っぱ辛い漬物)も手作り。ドラムスティック(モリンガの鞘で中の柔らかい部分だけを食べる)とアムラ(すごくすっぱい果物)がどっちも驚きのうまさ。味付けは料理人だったおかあさん直伝だとか。
――チェティナードの料理とは、いったいどんなものですか。
小林 「チェティナードはタミル南部の地域で、東南アジアなど海外との貿易で財を成した商人(チェッティヤール)が多く、いわゆるインド伝統の味とはちょっと違う、変わった食材やスパイスを贅沢に使った味が特徴。
昔のインドはどこにでもレストランがある国ではなかった。あっても軽食の店や屋台くらいで、外食が一般的になったのは最近の話。かつてはどうしていたかというと、誰かの家に集まって宴会をしていた。チェティナードの商人は財があるので、輸入した珍しい食べ物やスパイスを贅沢に使った料理を作らせる。
それがチェティナード料理のはじまりで、昔から地元で食べられている郷土料理みたいなものではなく、海外を含めて様々な地域の良いところを取り入れたフュージョン料理。現在の庶民が食べるような店にも、その流れは息づいています」
マハさんの作る「ときにチャーミングな料理」が気になる。
アジのタワフライ。鉄板で焼いたスパイシーなアジがうまいんですよ。
小林 「インド料理には〈広さ〉と〈深さ〉がある。広さは地域による味の差です。日本ではちょっと前までナンやタンドリーチキンといった北インドでも一部の料理がインド料理のほとんどだったけど、だんだん北インドと南インドに分かれてきた。そこから南インドがケーララやタミルといった州の味、さらにチェティナードやバンガロールといった地域の味と、どんどんエリアを狭めた店が登場する。おかげで解像度が上がり、インドの広さを日本でも楽しめるようになってきました。
深さは階層による食文化の違い。日本では南インドといえばベジタリアン料理というイメージがあります。もちろん南インドにはベジタリアンもいるけど、そういう人は僧侶など社会の上層部に多い。目立つんだけど意外と少数で、一般大衆はノンベジタリアンが多数派なんです。お金のない庶民ほど肉や魚を食べる。
だから同じ地域でも身分が高い人向けの高級店と、庶民が行く町の食堂では、値段だけでなく出している料理の内容が全然違う。それが深さというか層の厚さ。特にチェティナードのあたりはインドでも肉食文化が深く根付いている地域です。宗教的とか体質的に支障がなければ、わざわざベジだけをピックアップして南インド料理を食べる必要はない。間口を狭くするのは非常にもったいないですよ」
ドーンと置かれた骨のスープ。肉がほとんどついていないと思ったら、骨の中の髄を食べるそうだ。
慣れた手つきで骨髄を出すマハさん。京都土産の竹筒水ようかんを思い出した。
これがトロリとしてうまい。マハさんにお任せだからこそ出会えた味だ。
――日本でも、和食だったら懐石料理、割烹料理、居酒屋、立ち飲み屋みたいな縦のラインがありますね。どれがうまいとかえらいとかの話ではなく、それぞれ別のジャンルとして魅力がある。今日の料理は、下町の煮込みとかモツ焼きみたいな力強さを感じました。すごく好みです。
小林 「本来の南インド料理っていうのは、こうだったんじゃないかなという力強さがマハさんの料理にはある。そもそもベジタリアン文化は、私の個人的な考えだと北インドから南へと伝わってきた比較的新しい宗教的思想じゃないかな。
南インドなんてアラビア海とベンガル湾に挟まれた地域なんだから、地理的にも魚を食べない方がおかしいでしょ。イカとかエビもすごくおいしいんですよ」
マトンの挽肉をまとめて焼いたものは、あえての北インド風料理だとか。これが「チャーミングな料理」というやつだろう。
小林 「今日マハさんが作ってくれたような料理は、それこそ一般大衆が食べる御馳走。一番活気のある料理。ベジの楽しさももちろんありますが、自分がベジタリアンでないのなら、インド好きでこれを知らないのは損。
ヘルシーなベジ料理もおいしいですが、そうじゃない世界もある。せっかくだからインドの食文化はもっと多様だということを知るべきです。むしろなんでも食べられる日本人なら、そっちの方を土着の文化として注目してもいいんじゃないかな」
――でも今日の料理はメニューにないんですよね。
小林 「常に用意できる食材じゃないし、メニューにあっても一般受けはしないんじゃないかな。マハさんが作れる料理は何百種類もあって、メニューに載っているのは実力の十分の一、いや五十分の一でしかない。料理をお任せで予約することで、普段は閉じている引き出しを開いて、私も知らないような料理を食べさせてもらえる。それが楽しくて、最近はお任せばっかりになりました。
マハさんに限らず、インドの料理人が考えたメニューって『日本人はこういうのが好きかな』っていう定番を載せているだけであって、本当に自分が得意な料理、作りたい料理は別にある可能性が高い。
カレーマニアとかインド料理マニアはよく食べ歩きをするじゃないですか。私もその1人で、いろいろな店を回ってそこの名物料理を食べ歩くのはすごく楽しいですが、それだけではもったいない。気にいった店ができたら何度も通って、こっちもシェフの出身地を聞いて得意そうな料理を勉強して、きちんとお任せを相談できるようにする。そうやってお互いが高めあうことで食べられる料理を導き出すのも1つの楽しみ方じゃないかな」
マハさんが厨房で小麦粉の生地を伸ばしはじめた。ええと、カレーピザ?
丸い鉄板の上で焼かれる生地。よくわからないけどあの鉄板が欲しい。
畳まれてルマーリーロティが完成。タオルのようなロティ(薄焼きのパン)という意味。メニューにはない隠し炭水化物だ。
それを北インド風に調理したパニーニのマサラでいただく。チャーミングすぎるぜ。小林さんは「南インド人の料理を作る時のクセのようなものは、実は南インド料理を作る際ではなく、むしろスタンダードな北インドのホテル式インド料理を作る際に際立って現れる。それを強く感じる事が出来たのがこの日のハイライト」と感動していた。おそらく本場の人が作ると、もっとコッテリするのだろう。
そして数日後、2人は仲良く福岡で行われるマハさんの料理イベントへと向かったのであった。※撮影のためにマスクを外していただきました。
スリマンガラムは朝も昼も夜も、すごく魅力的な店だった。
今回は小林さんと一緒だったので特別な料理を食べさせもらったが、夜通常メニューの料理を食べても、絶対にうまいのだと思う。
今度は1日でティファン、ミールス、ディナーと攻めてみようかなとすら思っている。
駅から店に向かう途中には直営の南インド食材店「スリマンジャル」もあるよ。このマンションの2階奥です。
まったく読めないけど黄色い看板がスリマンジャル。
手作りのドラムスティックアチャールなどをゲット。今後はマハさん特製サンバルマサラなどの販売も予定されているようです。
紹介したお店
※本記事に掲載された情報は、取材日時点のものです
※電話番号、営業時間、定休日、メニュー、価格など店舗情報については変更する場合がございますので、店舗にご確認ください
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Source: ぐるなび みんなのごはん
南インド・チェティナード料理の「スリマンガラム」は、朝のティファンも昼のミールスも夜のディナーも現地感がすごかった