美味しい食べ物に必要なのは美味しい飲み物である。その組み合わせによっては美味しい食べ物が何倍も美味しくなったりするのだ。
今回、簡単で美味しいニッスイのまんぞくプレートに、ピッタリとマッチした飲み物をプロに選んでもらった。ものすごく参考になるし、このあとの食人生が一変する可能性がある記事なので心して読んでください。
食事に合う飲み物をプロに選んでもらう
ニッスイがまた美味しい弁当を出したらしい。それがこちらの4種類である。
ニッスイまんぞくプレートの美味しさについては前回の記事でも確認済みなのだけれど、前回は正直レンチンしてもらうことにかなり気をとられて、ゆっくり味わうことができていなかった。
これ、本当にマッチした飲み物と一緒に、落ち着いて食べたらもっともっと美味しいんじゃないだろうか。食べ物を美味しく食べるのは作ってくれた人に対する礼儀である。
そこで今回は、ドリンクのプロにお願いして、ニッスイまんぞくプレート4種類それぞれに完全にマッチしたドリンクを選んでもらった。作ってくれたニッスイに敬意を表しながら、しかもトクする知識が得られそうなので楽しみでしかない。
今回ニッスイまんぞくプレートにピッタリくるドリンクを選んでくれたのはJUNERAYさん。JUNERAYさんは日本ソムリエ協会認定ワインエキスパートの資格を持ついわばドリンクのプロである。
ご自身でもドリンクレシピを開発して商品化しているJUNERAYさんなので、市販のドリンクに限らずオリジナルでもアリということにさせてもらった。これで可能性は無限である。
食事に合うドリンクを選んでください、というリクエストが自分のところに来たら、と考えてみてほしい。。僕なら悩みに悩んで寝られない夜を何度か過ごした末、目の下にクマをぶらさげながらウーロン茶を持ってくるだろう。
つまりこれは、選ぶ方もかなりのプレッシャーに違いないのだ。
【目次】
チキン南蛮にはジャスミンティーソーダを
最初にJUNERAYさんにお願いしたのはこちら。
チキン南蛮である。僕も事前に食べさせてもらったが、鶏肉はもちろんのこと、自家製タルタルソースがなにしろ美味しかった。単品で売ってくれたら食パンに塗って食べるのに、と思ったほど。
でもこれに合うドリンクって、と考えると本当に頭が真っ白になってしまう。今回、JUNERAYさんが用意してくれたドリンクと共に、チキン南蛮を食べるのはデイリーポータルZ編集部の石川である。
普段は食事時には麦茶か水を飲んでいるのだとか。
なんですかこのおしゃれな飲み物は。レモンが刺さってるじゃないですか。
ジャスミンティーソーダです。濃いめに煮だしたジャスミンティーに少しだけシロップを加えたものを炭酸水で割ってあります。レモンは絞ってもいいし、じゃぼんしてもいいし、お好きにどうぞ。
ジャスミンティーを炭酸で割る、という発想自体がなかったのだけれど、そこにシロップが入ってくるともう味の想像がまったくできない。そういえばこの夏、ペットボトル入りのフルーツティーをよく見かけた気がするが、あのタイプだろうか。
JUNERAYさん、もしかしてこのドリンク、チキン南蛮と色を合わせてきましたか?
あ! たしかに。とくに意識したわけではないんですが、合ってますね。そういうことにしておきます。ジャスミンティーにシロップを入れるのは海外だとわりとメジャーなんですよ。甘すぎないのでいろんな食事に、チキン南蛮にも合うと思うのでどうぞ。
これ、めちゃめちゃ美味しいです。
美味しいのはわかるんですが、チキン南蛮に合うかどうか教えてくださいよ。
合います、すごく合います。最初聞いたときはご飯と一緒に甘いお茶はどうかなと思ったんです。でも炭酸とレモンのさわやかさとジャスミンの香りが、ほんとまじでチキン南蛮に合いますね。
このチキン南蛮、タルタルソースのオニオンがしっかりと存在感あって香るので、飲み物もこのくらい強くて丁度いいと思うんです。あとはチキン南蛮の油をレモンと炭酸でさっぱりしてくれます。
なるほど、説得力がすごいな。あと余談なんですが、この付け合わせのナスがじゅわじゅわですごい美味しいですね。
このシリーズ、付け合わせにも手を抜かないんですよね。メインに負けないくらい美味しかったりしてびっくりするんです。お米も美味いですよね。
ほんとだ、お米も美味い。どうなってるのこれ。そしてドリンクも美味しい。ただオシャレなだけじゃなくて、ちゃんと合ってるのがいいですね。
生姜焼きにはウイスキーのウーロン割を
次はこちら、豚肉生姜焼きである。
生姜焼きは前回の記事でも食べているので美味しさは理解済みである。冷凍のワンプレートとは思えないくらいに美味しい。
でもこれに合うドリンクと言われるとなんだろう。僕なら安易に発泡酒とか選んでしまうのだけれど、でもそれだと今回の4種類全部に発泡酒を合わせてしまいそうでもある。
生姜焼きにJUNERAYさんが選んだドリンクがこちら。
ウイスキーはよく炭酸で割ったりすると思うんですが、実はお茶割りもかなりいけるんです。ルイボスティーなんかでもいいですね。今回は豚肉生姜焼きの味がしっかり濃かったので、それに負けないようにウーロン茶で割ってみました。
ウイスキーをウーロン茶で割るのって、美味しそうなんだけど、正直思いもよらなかった。
豚肉生姜焼きの試食は、この記事の筆者でもあるデイリーポータルZ編集部安藤が担当することに。実は僕は強い酒があまり得意ではなく、特にウイスキーのとげとげした感じがちょっと苦手なのだけれど大丈夫だろうか。
まずは豚肉生姜焼き。やはり今回も、本当にこれが冷凍なのか? と疑う美味しさである。出来たてと言われたら信じるだろう。お米とワンプレートでレンチンで、これが出来てしまうのならもう各家庭にキッチンとか要らないのではないか(極端)。
お腹が空いていたこともあってばくばく食べてしまったが、そうだ、今回はこれに合うドリンクを考えてもらったのだ。
大丈夫ですかね、まだ撮影終わってないけど、これ飲んだら寝ちゃうんじゃないかな。
え!ちょっとJUNERAYさん、これ相性抜群ですね!なんだろう、ウイスキーの尖った感じもなくて、どちらかというと大人のウーロン茶って感じです。そして生姜焼きに合う!!
でしょう!ウイスキーとウーロン茶はなじみがいいんですよね。同じ方向性、延長線上にあるというか。
あとまた付け合わせの話で恐縮なんですが、この味噌だれのナスが、これまたウイスキーウーロンが合う気がするんですよね。
いまウイスキーって和食と合わせるといい、っていう流れがあるんです。唐揚げにハイボールとか、よくありますよね。でも炭酸じゃなくてちょっとクセのあるウーロン茶で割ることで、ウイスキーのとげとげしさとお茶の渋さが打ち消し合ってくれるんです。油ものにもよく合いますよ。
なるほどー。ドリンクが合わさることでランチがディナーになったような気がします。ご褒美感がすごい。ウイスキーが入ることで、ウーロン茶単体よりもさっぱり感がありますね。不思議だなー。
ハンバーグには国産の赤ワインを
次はデミグラスハンバーグである。大人にも子どもにも一番人気だと思われるハンバーグだが、そういえば合う飲み物を考えたことがなかった。
このハンバーグ、食べてみたんですが、見た目よりも和食っぽさがあるんです。ワイルド寄りのハンバーグじゃなくて、もっと繊細な、つくねみたいな柔らかい食感で。あとデミグラスソースにもトマト感が残っていて、ほんとよくできた和食プレートって感じがするんですよね。なので今回は国産の軽めの赤ワインを合わせてみました。
ちょっと前までは国産のワインってあまり評価されていなかったんですが、日本でも栽培技術が進んでいいぶどうがとれるようになってきたことと、輸入のコストが抑えられることもあって、手軽に美味しいワインが手に入るんです。
ハンバーグに赤ワインを合わせて食べるのはデイリーポータルZ編集部古賀さんである。
お弁当にワインを合わせることなんてありますか。
ないですよ!一生なかったでしょうね。
美味しい物は大好きだけど、ほぼこだわりなく生きてきたという古賀さん。ちなみに普段の食事には麦茶かプーアール茶を飲んでいるらしい。僕とまったく同じスタンスである。
古賀さん、どうぞ!
このハンバーグ、JUNERAYさんの言う通りちょっとつくねっぽいというか、繊細な感じがしますね。へー、これ冷食なの?ご飯といっぺんに温めてなんで温めむらがでないんだろう。ふっしぎー。
その辺はきっと開発部の人がレンチンしまくって改良したんだと思いますよ。そんなことより古賀さん、JUNERAYさんおすすめの赤ワインと合わせてみてくださいよ。
わー。これさー、美味しいわー。私みたいなワイン飲みなれてない人でも楽しく飲める感じ。お弁当だったのが一気にお店にいるみたいになるね。
そうなんですよね。たとえば会社で嫌なことがあって、残業して夜中に帰ってきて、それでもこのセットが家にあったらそれでチャラだと思いませんか?
わかる!なんだろうな、ワインと一緒に食べることで食事が体験になってるんだよ。これは簡単なのにやったことなかったなー。
国産のワインってちょっとベリー系の香りがするものがあって、このワインもそうなんですけど、その感じも繊細なハンバーグに合うかなと。これより重い赤だとあっさり目のハンバーグに勝っちゃうと思うんです。
このワイン自体、かなり洒落た味がして美味しいんだけど、このハンバーグと合わせると急にランクが上がるというか。このワイン、お高いんでしょ?
そんなでもないですよ。たぶん2,000円くらいです。
なんとーー!!もう今まで知らなかった自分を恥じたいですな。
中華には日本酒を
読者のみなさまにおいては、ここまでの成功例を見ていて、そろそろ「ハズレ」が出るんじゃないかと期待してしまうところではないだろうか。期待してほしい。最後の一品は今回いちばん難しいであろう四川風麻婆豆腐なのだ。
麻婆豆腐と合わせるドリンクってなんだろう。発泡酒かウーロン茶以外に心底思いつかない僕は中学からやり直した方がいいのかもしれないが、今回はデイリーポータルZ編集部橋田が食べて判定する。ちなみに橋田さんは普段の食事には麦茶かノンアルビールが定番とのこと。
四川風麻婆豆腐には熱燗を合わせてみました!
え?
熱燗って日本酒の?ですか??中華に???
そうです。私の出身の宮城県の一ノ蔵というお酒をぬるめに燗にしてみました。
ちょっとまったく想像がつかないので、橋田さん食べてみて忌憚のない感想をください。ニッスイにもJUNERAYさんにも遠慮はいらないので、正直なところを。
わかった!まずこの麻婆豆腐、超いいにおいしますね。
この麻婆豆腐、あとからじわじわと隠れてたスパイスが顔を出してくる!しっかり辛いし、お店で食べるしびれる美味しさですよ。
そこで熱燗をどうぞ。
あ、これすごい合う!
ええ!
わたし、日本酒の香りがちょっと苦手っていうか、グッとくるじゃない、特に熱燗だと。でもこのお酒にはそういう嫌さがいっさいないですね。しかも麻婆豆腐の辛さにすごい合う。
中華のスパイスと日本酒って実はよく合うんですよ。しかもちょっとぬるめの熱燗がおすすめです。これは私の個人的な意見なんですけど、スパイスの辛さって温度によって感じ方が変わると思うんですよね。このくらいのぬるめの熱燗だと、麻婆豆腐の美味しい辛さを消してしまわないんです。
そうだ!熱燗のおかげでスパイスの味が続くというか、よりクリアになるというか。麻婆豆腐の美味しさと日本酒ががっちり合わさって高め合ってる気がして。これはすごい!
日本酒ならなんでもいいんですか?
こうやって飲むなら純米酒がおすすめですね。香りがワイルドなので、熱燗にすると中華料理にもお米にも合うと思います。
これに関しては食べてみないと信じられない、ということで、編集部みんなで体験してみることにした。
これはくやしいくらいにJUNERAYさんの言う通りだった。四川風麻婆豆腐のしびれる辛さが、熱燗で保たれながら美味しく深まるのだ。
きっとここで冷たいお茶とかビールなんかを飲んでしまうと、それはそれで爽快で美味しいだろうけど、せっかくの麻婆豆腐のスパイスを弱めてしまうのだろう。熱燗だとそうはならない。すごい。
紹興酒なんかも温めて飲みますよね。同じ方向なのかも。他の中華料理にも日本酒は意外と合うのでいろいろ試してみてください!
食べ物と飲み物の組み合わせは大切
今回の企画でわかったことは、合わせる飲み物をおろそかにしてはいけない、ということだ。だいたいの人って食事に合わせる飲み物が固定化されていないだろうか。お水、お茶、ビールとか。
それを料理に合わせてすこし考えて変えてみるだけで、美味しい食事がさらに美味しくなるのだ。これは知ってしまうとほんとに人生が豊かになるので試してみてもらいたい。
ニッスイのまんぞくプレートについては、おすすめドリンクが今回の記事で確定したのでそのまま試して驚いてください。
まんぞくプレート4種はこちらからどうぞ
著者プロフィール
安藤昌教(あんどうまさのり)
愛知県出身。前職は国立研究所にて高速炉の研究に従事。その後、氣志團バックダンサー、コーヒーショップ経営、等を経てデイリーポータルZ編集部に。ものをむかずに食べる「むかない安藤」としても活動中。
Twitter:https://twitter.com/andomasanori
むかない安藤
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